2009年01月14日
梅田芸術劇場『鉄人28号』01/10-25天王洲 銀河劇場
アニメ映画の監督として有名な押井守さんが『鉄人28号』を舞台化されました。押井さんが作る舞台に興味を持って観に行ったのですが、自称演劇オタクの私にとってはほぼ拷問・・・。上演時間は約1時間40分。
でも、終盤になってからメッセージが伝わってきたので(私の勘違いかもしれませんが)、それを受け取れたのは良かったです。押井さんのファンなら楽しめるのかしら・・・。
⇒舞台写真(毎日新聞・ネタバレしています)
⇒南果歩さんインタビュー(毎日新聞)
⇒CoRich舞台芸術!『鉄人28号』
≪あらすじ≫
昭和39年の東京。オリンピック開催を間近に控え、治安維持を目的とした野犬捕獲隊が暗躍していた。詳しい物語はこちら。
≪ここまで≫
なんと音楽劇でした。歌手もキャスティングされているとはいえ、マッチしていたとは思えず。役者さんの配置や出ハケがひどい。演出家ご自身が「変な舞台にしたい」とおっしゃっているので仕方ないのかな。
≪チラシにも掲載されている押井守さんの言葉≫ 公式サイトより
いつ頃からだろう。舞台を演出する機会に遭遇したら、宝塚風にしたいと思っていた。
あの独特のレビューである。いずれにしても「変な舞台」にしたい。――押井守(談)
≪ここまで≫
池田成志さん、田鍋謙一郎さんら舞台俳優の皆さんのがんばりにほだされました。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
「人狼」「立喰師列伝」などの押井さんのアニメのキャラクターが登場したり、パロディーのようになっていることに閉口。特に南果歩さんが演じた女立喰師“けつねコロッケのお銀”はコスプレにしか見えず(映画「立喰師列伝」は拝見しています)。
南果歩さんが鉄人を操縦する正太郎君と女立喰師の2役を演じたのは、正義と悪の間で揺れ動く純情を描くという点では、意味として理解できないわけではありません。でも2人同時に登場するシーンで、代役が白い面を被って無言のまま正太郎を演じ、お銀が正太郎のセリフを想定した一人芝居をするのは・・・観ていられませんでした。そして謎の踊りとお世辞にも上手とは言えない歌が続き・・・もうどうしていいやら。南さんはストレート・プレイでのご活躍をよく拝見していますので、この配役はお気の毒な気がしました。
正太郎君が人狼党のリーダー(ダイアモンド☆ユカイ)と敷島博士(池田成志)の間で揺れ動く様を、2人のテーマソングが混ざっていく様で表現したのが面白かったです。途中で帰りたくなっていたのですが(どちらにしろ休憩がないので出られなかったけど)、このシーンを観て帰るのを止めました。「悪にも正義にも頼らない。自分で自分のやりたいことをする」という決断は現代を表しているとも思います。
開幕からずーっと舞台中央に鎮座している鉄人が、正太郎の操作で動いたときはさすがに興奮しました。目が光るし足が伸びて立ち上がるし。
正太郎が鉄人を飛ばして五輪の雲を描きますが、その形がオリンピックのマークにはなっていなかったのが良かった。付け焼刃でやったって成功しませんよね。
売り上げランキング: 22533
売り上げランキング: 12275
≪東京、大阪≫
出演 南果歩, 池田成志, ダイアモンド☆ユカイ サンプラザ中野くん 田鍋謙一郎 藤木義勝 載寧龍二 永田彬(RUN&GUN) 小野健斗 吉田友一 鈴木雄貴 西田佳づ美(1月15日~17日西田りさ) ※私が拝見したのは西田佳づ美さん。
原作:横山光輝 脚本・演出/押井守 美術/磯見俊裕 黒川通利 鉄人デザイン/末弥純 照明/佐藤啓 音楽/川井憲次 作詞/児島由美 音響効果制作/伊悪道廣 音響/若林和弘 松山典弘 衣装/竹田団吾 振付/竹下宏太郎 ボイスコーディネーター/浦崎直邦 鉄人制作/秋山直樹 光井清陽 道具制作/桜井敏郎 唐崎修 グリーンコーディネーター/櫻井忍 特殊効果/糸田正志 演出助手/高梨由 舞台監督/森下紀彦 キャスティング/オガワシンジ 制作/安積智子 アシスタントプロデューサー/黒田仁子(デイズ) プロデューサー/村上洋志(梅田芸術劇場) 久保淳(デイズ) エグゼクティブプロデューサー/小川友次(梅田芸術劇場) 企画協力/光プロダクション 企画協力制作/デイズ 企画・製作/梅田芸術劇場
【発売日】2008/11/22 S席11,000円 A席8,000円 (全席指定・税込)
※未就学児童のご入場はご遠慮下さい。
http://www.umegei.com/s2009/tetsujin28.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガも発行しております。
【お知らせ】CoRich舞台芸術!「注目インタビュー・月船さらら&出口結美子」2009年1月
女優の月船さららさんと出口結美子さんにインタビューさせていただきました。お2人で演劇ユニットmétro(メトロ)を結成し、ノウハウ・ゼロのところから立ち上げる旗揚げ公演『陰獣 INSIDE BEAST』は、1/22(木)より神楽坂die platzeにて上演されます。
⇒原作本のご紹介
⇒CoRich舞台芸術!『陰獣 INSIDE BEAST』 ★CoRichでカンタン予約!
⇒métro公式ブログが熱い!最初から読むと凄いです(笑)。
【写真レポート】王子小劇場『2009年新年会・2008年佐藤佐吉賞授賞式』01/13王子小劇
劇場玄関の「新」額縁
昨年に続いて佐藤佐吉賞授賞式に伺いました。100人以上の演劇人が集まり、プロの落語をじっくり楽しむ時間も設けられた豪華イベントでした。
僭越ながら最優秀脚本賞のプレゼンターを務めさせていただきました。受賞された皆様、おめでとうございます!
⇒結果は公式サイトでどうぞ!
≪佐藤佐吉賞とは≫ 公式サイトより
佐藤佐吉賞とは、王子小劇場で年間上演されたすべての公演を対象に、優れた作品・戯曲・演出・舞台美術・照明・音響・衣装・宣伝美術・主演男優/女優・助演男優/女優の各部門を表彰するものです。選考は、佐藤佐吉賞選考委員会(委員長・王子小劇場代表玉山悟)が行います。
≪ここまで≫
代表の玉山悟さんの乾杯のご発声により開会。「今年の目標はCoRich舞台芸術アワード!で1位を取る事です」とおっしゃっていました。ぜひがんばってもらいたいです!
佐藤電機株式会社の社長から「メセナアワード2008 たたかう劇場賞」受賞の報告もあり、王子小劇場が文化の発信地として広く認められていることを、王子小劇場を使用している作り手の方々と共有しあえて嬉しく思いました。
最優優秀賞を受賞された方々です↓ おめでとうございます!
私が2008年に王子小劇場で拝見したのは18作品でした。その中で、質が高いストレート・プレイとして誰にでもお薦めできると思ったコロブチカ『proof』が、どの賞にもノミネートされていなかったことは残念。佐藤佐吉賞選考委員会の皆さんのセンスと、私の好みが離れているのかもしれません。そうだとしても、劇場が独自のカラーを打ち出していることは、一観客としてありがたいと思いますし、信用できるところだとも思います。
18作品しか拝見していないのですが、個人的に最も納得がいったのは、最優秀主演男優賞を空想組曲『僕らの声の届かない場所』に主演された狩野和馬さん(InnocentSphere)が受賞されたことでした。おめでとうございました!
王子小劇場:http://www.en-geki.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガも発行しております。