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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年03月08日

フジテレビジョン/銀河劇場/劇団Studio Life『フルーツバスケット』02/26-03/08天王洲 銀河劇場

 高屋奈月原作の人気漫画『フルーツバスケット』(白泉社刊・全23巻)が、劇団Studio Lifeにより初舞台化されました。⇒出演者オーディション情報 ⇒記者発表

 ストロベリー・チーム、チェリー・チームの一部ダブルキャスト上演で、私はストロベリー千秋楽を拝見。上演時間は約3時間(途中休憩15分を含む)。

 当日券に長蛇の列が出来ており、キャンセル待ちも出てましたね。パンフレットをはじめさまざまな物販商品はほとんど完売。この盛り上がりだと、続編もアリ?

 ⇒公式サイト ⇒出演者動画・舞台動画など
 ⇒CoRich舞台芸術!『フルーツバスケット

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。※ストロベリー・チームです。
 愛情に賞味期限はありません。
 "交通事故で家族を失い、訳あってテントで暮らす女子高生・本田透(三上俊)。ひょんなことから家事の腕を買われ、同級生で王子様的存在である草摩由希(松本慎也)の家で居候することになる。ところが、草摩家の一族は重大な秘密を抱えていた。それは異性に抱きつかれると十二支の動物に変身してしまうという呪いだった。
 明るくひたむきに生きる少女と、悲しき宿命を背負った一族の触れ合いを描く心温まるヒューマン・ストーリー。
 ≪ここまで≫

 “異性と抱き合ったら十二支の動物に変身してしまう”って、少女漫画として素晴らしい設定ですね。どんなに恋しても手をつなぐ以上には進まないので(笑)、ずっと恋を夢見ていられます。恋に育つ前の、誰かを好きだと思う気持ちの芽生えを、じっくり味わうことができるんですよね。

 Studio Lifeの演出家・倉田淳さんは、舞台化する漫画や小説をご自身で脚本にされます。原作の大切な部分を抽出して、誠実に、愛情こめてお芝居にしてくださるので、私はその点をすっかり信用しきっている劇団ファンの1人です。今作も、呪われた草摩家の人々の心の傷に焦点をしぼり、無償の愛と癒し、そして再生を描く感動の物語になっていました。私は原作を読んでいませんが、同行した原作ファンの方々も満足だったようです。
 ただ、歌と踊りの入ったイケメン娯楽芝居の演出としては不満が残りました。特にオープニングはもっと仕掛けを考えてもらいたいですね。リピーターは楽しめるかもしれませんけど(リピーターが多そうでした)。

 役者さんは役を自分のものにして地に足の着いた演技をされている方と、そうでない方の差が激しかったです。若い男の子を育てる目的もあるのでしょうから、それは仕方ないのかもしれませんが。
 しっかり劇の世界を作ってくださってるな~と感じたのは、メインキャストだと由希役の松本慎也さん、医師・はとり役の曽世海司さん。猫にとりつかれた夾(キョウ)役の上山竜司さん(RUN&GUN)の熱演に胸打たれました。ヒロイン・本田透役の三上俊さんはちょっと固かったように思います。透のお友達・花ちゃん役のSHOWTA.さんは、本当に女の子みたいでした。歌もきれいだったし、演技も客席と息が合っていて面白かった。メガネ女子高生、夾の母を演じた舟見和利さんもさすがの存在感。チェリー・チームで謎めいた悪役・慊人(あきと)役を演じられてるんですね。他はハーフの紅葉役の荒木健太朗さん、はとりの恋人・佳菜役の吉田隆太さんなど。
 
 ここからネタバレします。

 透にいやされた十二支は、ネズミ(松本慎也)、イノシシ(米原幸佑)、タツノオトシゴ(曽世海司)、ウサギ(荒木健太朗)、ウシ(加藤義宗)、そして猫(上山竜司)など。これは続編が作れますね。

 異性に抱きつかれて動物になるシーンは、俳優とぬいぐるみを入れ替えるというアナログな演出でしたが(笑)、これがなかなか可愛らしかったです。
 猫の夾(キョウ)が本来の恐ろしい姿になってしまう場面では、特に効果的でした。泣き叫ぶ夾を透が抱きしめて、夾は彼女の胸の中でぬいぐるみになります(夾役の上山さんはいったん袖にはける)。ぬいぐるみの猫を抱いた透の背後に、上山さんが再び登場して、猫の気持ちを生の声で吐露します。演劇ならではの立体的な演出で、ぐっと引き込まれました。

出演:上山竜司(RUN&GUN) 三上俊 真山明大 岩﨑大 米原幸佑(RUN&GUN) 松本慎也 SHOWTA. 荒木健太朗 古川洋介 加藤義宗 吉田隆太 内山翔人 青木隆敏 鈴木聡、舟見和利 曽世海司 藤原啓児 河内喜一朗 榎本悠輝 加藤真央 亀山浩史 寺元健一郎 田邉明宏 荒川結 中村勇太 花田雄一郎
【原作】 高屋奈月(白泉社刊) 【脚本・演出】 倉田淳 【美術】 松野潤 【照明】 森田三郎 【舞台監督】 清水浩志 【音楽監督】 竹下亮 【衣装】 竹原典子 【ヘアメイク】 角田和子 【アクション】 渥美 博 【振付】 TAKASHI 【声楽指導】 カサノボー晃 【美術助手】 渡辺景子 【演出助手】 平河夏 荒川真寿美 【宣伝美術】 成田久 【宣伝写真】 川上明 【宣伝スタイリスト】 塩畑美由喜 【プロデューサー】 玉塚充 八巻綾(フジテレビジョン) 【制作】 若松美香 津田輝義(フジテレビジョン) 浅野裕美子(フジテレビジョン) 大古安里(銀河劇場) 【宣伝】 瀬津丸砂織 川野純子(る・ひまわり) 【票券】 揖斐圭子 【主催】 フジテレビジョン・スタジオライフ・銀河劇場 お問い合わせ:グラフィックノベル・プロダクション(スタジオライフ内)
club LIFE会員◇前売・当日S席¥6,200/A席¥5,200/B席¥4,500 一般◇前売・当日S席¥6,900/A席¥5,600/B席¥4,900 ウィークデイマチネ◇前売・当日S席¥4,500/A席¥4,000/B席¥3,500 ※3/3(火)4(水)5(木)のマチネ公演がウィークデイマチネとなります。 ※未就学児のご入場はご遠慮ください。
http://www.studio-life.com/stage/furuba/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:37 | TrackBack

快快『MY NAME IS I LOVE YOU』03/07-08 5TANDA SONIC

 「ポップ化する演劇」をテーマに活動する若手演劇制作チーム“快快(ファイファイ)”。2005年初演の『MY NAME IS I LOVE YOU』を全編英語で再演する今回は、2009年のブダペスト公演のプレ公演という位置づけのようです。

 いっそのこと字幕付き上演で観たかったかも。上演時間は1時間弱だったと思います。

 ⇒CoRich舞台芸術!『MY NAME IS I LOVE YOU

 舞台は渋谷ハチ公前。体を売る女の子たちと、その周囲の男の子たち。金儲けのためのセックス、愛のあるセックスなどなど、若者ならではのセックスについての素朴な疑問。・・・私が受け取れた筋道はそれぐらいでしょうか。

 海外上演のためにストーリーを英語で伝えたいという気持ちはわかります。でもそれを作品へと昇華するのは、そんなに手軽なことではないんですよね。日本語、英語を同時に使う演劇はもちろん、手話、日本語、英語を同時に舞台に乗せて成功させる舞台もあります。快快はそこにダンスなどの身体表現も加えたスタイルを生み出そうとしたのかな~。そうだとしても、最初のステップを間違ったんじゃないかと思います。言葉の意味を英語訳してそれを日本語と重ねるだけでは、作品としては成立しづらいですよね。残念ながら、快快作品の大きな魅力であるグルーブ感やリズムが失われていました。

 野上絹代さんの存在感およびダンスが目を引きました。やはり大舞台を経験すると、俳優(ダンサー)としての何かが一気に変わるのかしら。きれいだった~。

 ここからネタバレします。

 OLGAさんがマイクを使ってセリフを英語で話し、それに合わせてキャストが体を動かします。時に日本語を交えながら。

 ハチ公像とハチ公像(2体あるのがヘンなのですが)の間がタイムトンネルになっていて、未来から女の子(中林舞)がやってきます。そのダサイ(?)女とオタク男(天野史朗)の恋のシーンは可愛かった。

※私が拝見したのは初日前日の公開ゲネプロです。
「MY NAME IS I LOVE YOU」(英語版リマスター) 東京芸術見本市2009参加・ハンガリープレ公演
出演:天野史朗/大道寺梨乃/中林舞/野上絹代/山崎皓司/NAGY OLGA
作:北川陽子 演出:篠田千明 舞台監督:佐藤恵 美術/映像:佐々木文美 音響/照明:快快 衣装:藤谷香子 振付:野上絹代 宣伝美術:天野史朗 写真:加藤和也 会場デコレーション:佐々木文美/KANATIN+rinoooooooooo faifaiせーさく/ウィンドウディスプレイ:山本ゆい 協力:株式会社A.C.O
【発売日】2009/02/01 前売¥2,500/当日¥2,800
http://www.faifai.tv/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 16:43 | TrackBack