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2009年04月24日

キレなかった14才♥りたーんず『学芸会レーベル』04/21-05/04こまばアゴラ劇場

 【キレなかった14才♥りたーんず】の4本目です(他作品のレビュー⇒)。柿喰う客の中屋敷法仁さんの新作です。上演時間は約1時間15分。

 青年団、快快、ひょっとこ乱舞などと、柿喰う客の見事な“コラボ”というか(笑)。こまばアゴラ劇場に中屋敷ワールドが元気いっぱいに繰り広げられました。老若男女問わず楽しめる娯楽作になっているのではないでしょうか。

 ⇒シアターガイドWEBの特集
 ⇒CoRich舞台芸術!『学芸会レーベル

 ≪作品紹介≫
 みゆき先生(伊東沙保)が幼稚園に戻ってきた。彼女は1年前にある事件を起こし、園から追放されていたのだが・・・。
 ≪ここまで≫

 役者さんがぴょんぴょん飛びながら人形みたいに登場するオープニングが可愛いくて、すんなり作品に入っていけました。あぁ、中屋敷作品ではじめて最初から気持ちよかった気がする(笑)。

 早口すぎてところどころ聞き取れないんだけど、そんなの気にしてられない!どんどん先へ先へと進んでいく大急ぎの展開に、誘われるがままに付いて行きました。
 客席に向かって大きな声で語り、細かい振付をどんどんこなしていく役者さんたちの、そのがんばりを見るだけでも退屈はしません。セリフまわしや動きが達者な役者さんだからこそ、成立させられるものだよなと思います。

 幕開けから色々と盛りだくさんですが、メインは学芸会。学芸会(つまり演劇)は誰もが何にでもなれる、つまり夢がかなうので、参加した子供は誰もが幸せになれるのです(・・・というだけでは終わらないのですが)。演劇の効能について演劇で示すという王道も、ギャグ満載の形式でガッチリ固めることで、いやみなく伝わってきました。

 ただ、こんなにすっきりと楽しめるなんて・・・私には不満(笑)!すみません、自分勝手で。グサっとショックを受けたり、むずむず考えさせられたりしたいですね。柿喰う客カラーに慣れすぎなのかしら。

 終演後のトークのおかげで、中屋敷さんにとってのこの作品の位置づけがわかり、すごくすっきりしました。
 観客からの質問がとても面白くて、しかも勉強になるものが多く、楽しかったです♪質問された皆様、ありがとうございました!

 ここからネタバレします。

 ダニエル君(今村圭佑)のぬぼーっとした演技が可笑しいです。これもまた計算済みなんですね。

 終幕はカーテンコールの拍手を挟んだ後、オープニングと同じ動きで役者さんが退場していきました。「この作品自体が学芸会だった」という入れ子構造にしてくれて良かった。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ ※下記はメモしたことの覚書程度。言葉は正確ではありません。
 出演(下手より):中屋敷法仁 三澤さき 永島敬三
 
 中屋敷「今回はセルフ・プロデュースをしない方向で作っています。今までは『パルコに行きてーっ!コクーンでやりてーっ!』といった気持ちを、作品(演出)の前面に出していた(笑)。でも今回は、この企画のメンバーからの要望もあり、観客にこびたりせず、自分の原体験から作品作りをした。」

 中屋敷「僕は幼稚園で“フック船長”を演じて、ものすごく楽しかった(一生懸命やった)ので、それが今でも続いている感じ。ふわふわしてるんです(つまり、現人生自体が学芸会である状態)。」

 観客「神話や諸星大二郎(漫画家)の世界に通じるものがあった気がする。現実では呪文なんて実在しない(ことになっている)けれど、物語(神話など)の世界では、呪文に絶対的な力がある(歌やおゆうぎで他人を動かすシーンは、それに通じる)。」

 観客「使われた“呪文”は比較的可愛いらしいもので、怖いものはなかったように思う(例:エンガチョ等)。」
 中屋敷「呪文といってもいたずら程度のもので、人を陥れる方法は入れないようにしました。悪い魔法はダメ。小学校に上がるといじめなどが出てくるので、幼稚園程度のものにした。(劇中に出てきた)“まねっこ”は愛なんです。自分よりも下に見ているの人(下等だと思う対象)の真似はしないものだから(つまり、いじめとは、自分よりも下等なものを作って、それを陥れようとするものである)。」

 観客「装置がマトリックスみたい。」
 中屋敷「僕としては原稿用紙のつもりです。虚構の世界なのでマトリックスだと捉えるのも合ってますよね。」

※企画全体の上演期間:4/16~5/6
出演:伊東沙保 今村圭佑(Mrs.fictions) 荻野友里(青年団) 川口聡 川田希 大道寺梨乃(快快)  武谷公雄 田中佑弥 永島敬三 三澤さき
作・演出:中屋敷法仁(柿喰う客)  企画:柴幸男(青年団演出部)・篠田千明(快快)・中屋敷法仁(柿喰う客) 舞台監督:佐藤恵 舞台美術:佐々木文美 照明:富山貴之 音響:星野大輔 衣裳協力:飯田裕幸 宣伝美術:天野史朗 web:加藤和也 制作統括:野村政之 宮永琢生 制作:木元太郎 山本ゆい 企画協力:岸井大輔(playworks) 制作協力:佐藤泰紀 制作クルー:赤羽ひろみ 細木香代子 土屋和歌子 雑誌編集:藤原ちから 雑誌デザイン:加藤賢策(東京ピストル) 雑誌チーム:かなちん&ポギャル(徳本彩花&内田優花&鈴木美香子&矢島寛子) 武田砂鉄 特別協力:熊井玲(シアターガイド) 企画制作:キレなかった14才・りた一んず/(有)アゴラ企画・こまぱアゴラ劇場 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 平成21年度文化庁芸術拠点形成事業
全演目共通・日時指定・全席自由・整理番号付 一般:予約 2,500円 当日 2,800円 / 高校生以下:予約・当日共 1,000円 [平日昼割引] 一般:予約 2,000円 当日2,500円 / 高校生以下:予約・当日共 1,000円
《スタンプラリー》5演目以上見たら演出家からプレゼントあり
http://kr-14.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 15:52 | TrackBack

劇団コーヒー牛乳『男の60分 -東京場所-』04/22-29江古田ストアハウス

 劇団コーヒー牛乳は柿ノ木タケヲさんが作・演出される劇団です。作品を観るのはこれで3度目。「CoRich舞台芸術まつり!2009春」審査員として観に行きました(⇒応募内容)。

 愛知県で開催中の演劇博覧会「カラフル3」参加のために作った新作の、東京凱旋公演です。5月2~4日の「カラフル3」2nd.stageのへの進出も決まっています。上演時間は約1時間10分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『男の60分 -東京場所-』★CoRichでカンタン予約!
 ※レビューはCoRich舞台芸術!に書きました。

 ≪あらすじ≫ CoRich舞台芸術!より
 母が亡くなり久しぶりに実家へと帰ってきた「俺」。
 セミの音のとどろく夕暮れに、ふと少年の日を思い出す。
 仲間と遊んだ野原、無茶して溺れた川、無性に冒険心を掻き立てられた山。
 当時とは変わってしまったもの、けして変わらないもの。
 そして母への想い。
 ≪ここまで≫

出演:西川康太郎、石黒圭一郎、鈴木ハルニ、伊藤今人、中山貴裕、渡辺毅、持永雄恵
脚本・演出:柿ノ木タケヲ 舞台監督:大畑豪次郎 音響:佐藤春平 照明:宮崎正輝 衣裳:車杏里 題字・写真:高円寺是盛 撮影:和知明 制作:浅倉良徳 吉田千尋 企画・製作:劇団コーヒー牛乳
前売り2500円、当日3000円 割引:大学・専門学校生 2000円 高校生以下 0円(各回限定数のみ、通常2000円) その他、割り引きあり。未就学児童入場不可。
http://www.coffee-milk.com

Posted by shinobu at 12:17 | TrackBack