2009年05月09日
パルコ・大人計画『大パルコ人 メカロックオペラ「R2C2~サイボーグなのでバンド辞めます!~」』04/27-05/31パルコ劇場
宮藤官九郎さんが作・演出・出演される、パルコと大人計画のプロデュース公演です。大人計画&グループ魂の面々に、森山未來さん、松田龍平さん、片桐はいりさんが加わった豪華キャスト。
ロックオペラの名の通り、バンドの生演奏が物語に大きくからんだ音楽劇でした。下ネタを含むギャグもいつもどおり満載。舞台上のどの役者さんもかっこ良くて、面白くて、歌も演奏も楽しくて、全く飽きない約2時間20分でした。
⇒CoRich舞台芸術!『R2C2』
レビューは短めです。ちょっと体力なくなってます・・・
≪あらすじ≫
舞台は2044年の東京・渋谷。パルコはすべてハンバーグ・レストラン“びっくり!ドンキー”に買収されていた。“びっくり…”のオーナーは、今は世間から姿を消している大ロックスター・パルコム(阿部サダヲ)の息子・クワトロ(森山未來)だ。彼は日本からアメリカの戦地へ送り出す、戦闘用サイボーグの製造も手がけていた。
≪ここまで≫
楽器が演奏できるって、歌えるって、凄いことですね。森山未來さんは歌えるし踊れるしピアノ弾けるし。は~・・・かっこえーわ。
ここからネタバレします。
「戦争反対」と発言するのも違法、バンドを組むのも違法となった渋谷で、冷凍睡眠(?)から目覚めたパルコム(阿部サダヲ)が、ロックの叫びを上げたのには涙が出そうになりました。めっさかっこえーっす。
「誰のギターだろうが同じ」というセリフが引っかかりました。打ち込みの演奏はずっと前からありましたけど、最近は歌もボーカロイドがいますものね。音楽、どうなるんだろう。
≪東京、大阪≫
出演:阿部サダヲ 森山未來 三宅弘城 皆川猿時 近藤公園 平岩紙 宮藤官九郎 片桐はいり 松田龍平
脚本・演出:宮藤官九郎 作曲:富澤タク 美術:小泉博康 照明:吉川ひろ子 音響:山本浩一 衣裳:伊賀大介 ヘアメイク:大和田一美 振付:八反田リコ 映像:上田大樹 演出助手:大堀光威 佐藤涼子 衣裳助手:戸田京子 伊澤潤子 梅田和加子 舞台監督:舛田勝敏 制作:河端ナツキ 北條智子 赤堀あづさ プロデューサー:長坂まき子 田中希世子 企画:大人計画 プロデュース・製作:(株)パルコ/大人計画
【発売日】2009/03/01 全席指定・税込 8,800円 ※未就学児のご入場はお断りいたします。
http://www.parco-play.com/web/page/information/r2c2/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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DULL-COLORED POP『ショート7』04/29-05/06 pit北/区域
谷賢一さんが作・演出されるDULL-COLORED POP(ダル・カラード・ポップ)の短編集2本立て公演(合計7本)です。4本上演するAプログラム、3本上演するBプログラムがランダムに上演されます。
「CoRich舞台芸術まつり!2009春」審査員としてA、B両プログラムを拝見しました(⇒応募内容)。上演時間はAプログラムが約2時間、Bプログラムは・・・失念しました。すみません。
⇒CoRich舞台芸術!『ショート7』
※レビューはCoRich舞台芸術!に書きました。
■Aプログラム
・『ソヴァージュばあさん』(35分)
原作:ギ・ド・モーパッサン『ソヴァージュはあさん』
出演:堀川炎、和知龍範、佐野功、堀越涼
・『Bloody Sauce Sandwich』(20分)
出演:ハマカワフミエ、佐々木なふみ、千葉淳
休憩(10分)
・『15分しかないの』(15分)
出演:堀奈津美、桑島亜希、境宏子、千葉淳
・『アムカと長い鳥』(30分)
出演:清水那保
【アフタートークイベント】
4/29(水)出演:谷賢一 中屋敷法仁(柿喰う客・代表)
■Bプログラム
・『息をひそめて』(25分)
出演:堀奈津美、佐野功、田中のり子
セットチェンジ(5分)
・『エリクシールの味わい』(40分) ※新作
出演:岡田あがさ、小林タクシー、清水那保、千葉淳、桑島亜希、佐々木なふみ、田中のり子、ハマカワフミエ 演奏:伊藤靖浩
休憩(10分)
・『藪の中』(30分) 原作:芥川龍之介『藪の中』
出演:堀越涼
【アフタートークイベント】
4/30(木)出演:谷賢一 船岩祐太(演劇集団 砂地・演出)
DULL-COLORED POP #7.7『しょーと×しょーと×しょーと×しょーと×しょーと×しょーと×しょーと』
出演:清水那保、堀奈津美(以上DULL-COLORED POP)、岡田あがさ、桑島亜希、小林タクシー(ZOKKY)、境宏子(リュカ.)、佐々木なふみ(東京ネジ)、佐野功、千葉淳(東京タンバリン)、田中のり子(reset-N)、ハマカワフミエ(国道五十八号戦線)、堀川炎(世田谷シルク)、堀越涼(花組芝居)、和知龍範
脚本・演出:谷賢一 舞台監督:小林慧輔/音響:長谷川ふな蔵/照明:松本大介(enjin-light)/照明オペレーター:朝日一真/作曲・演奏・音楽監修(『エリクシールの味わい』):伊藤靖浩/アクティングコーチ(『ソヴァージュばあさん』):黒渾世莉(時間堂)/衣裳:中埜愛子/衣裳協力(『藪の中』):花組芝居/舞台美術:鮫島あゆ&グラマラスキャッツ/宣伝美術・Web制作:小林タクシー(ZOKKY)/制作:池田智哉(feblabo)、北沢芙未子(KOEKIMO)、鮫島あゆ
【発売日】2009/03/29 前売:2,500円 当日:3,000円 学生割引:500円引き(受付にて学生証をご提示下さい) リピーター割引:半券ご提示で1,000円引き ※Aを観た後にB、Bを観た後にAなど、別グループのご観劇でもご利用できます。リピーター割引をご利用頂けば、A・Bあわせて7作品が前売4,000円にてご観劇頂けます。
http://www.dcpop.org/short7
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【ワークショップ】芸団協・新国立劇場NNTドラマスタジオ「現役の俳優のためのリフレッシュコースVol.4<役づくりのプロセス>」07/03-11芸能花伝舎
2006年度より、芸団協と新国立劇場との共催で行われている「現役の俳優のためのリフレッシュコース」の募集情報です(過去記事⇒1、2、3、4、5)。
8日間84,000円という受講料は安価とは言えないかもしれませんが、ご興味のある方で対象になる現役俳優の方々には、お勧めしたい期間集中ワークショップです。
【日時】2009年7月3日(金)~11日(土)の10:30~18:45
【対象】舞台俳優として5~6年以上のキャリアがある俳優
【応募期間】2009年5月15日(金)~6月24日(水)の間に郵送必着
⇒若干名追加募集・6/30〆切
【募集人数 】16名程度 ※書類選考が有ります
■「現役の俳優のためのリフレッシュコースVol.4<役づくりのプロセス>」※公式サイトより
【日時】2009年7月3日(金)~11日(土) ※8日(水)は休み
10:30-18:45
※終了時間は日によって異なります。詳細は6月中にWeb上で告知します。
【会場】芸能花伝舎内 創造スペース
【受講料】84,000円
【対象】舞台俳優として5~6年以上のキャリアがある俳優 (全日程参加できる方のみ)
【募集人数 】16名程度 ※書類選考が有ります
【講師・内容】
・ローナ・マーシャル(新国立劇場演劇研修所 主任講師)⇒写真レポート(記録のみ)
「役づくりのプロセスCharacter Development」
・池内美奈子(新国立劇場演劇研修所ヘッドコーチ)
「声と身体をつなげるトレーニング」
・橋本佳子(新国立劇場演劇研修所 主任講師)
「ボディーワークス」
・栗山民也(新国立劇場演劇研修所所長・演出家)⇒「MA」ドイツ公演のロングインタビュー①
「いろんな自分と出会うために」
※その他にもゲスト講師を複数お招きします。
【応募方法】
・受講希望の方は、申込み用紙(PDF版またはWORD版を公式サイトにてダウンロード)に記入の上、顔写真(バストアップ)を添えて、応募期間内に下記送付先まで郵送してください。
・選考結果は遅くとも6月29日(月)までにはお知らせします。
・なお、提出書類の返却はいたしませんので予めご了承ください。
【応募期間】
2009年5月15日(金)~6月24日(水)の間に必着
遅くとも6月29日(月)までにはご参加いただけるかどうかのご連絡を差し上げます。
【宛先】
〒160-8374 新宿区西新宿6-12-30 芸能花伝舎2F
芸団協・芸能文化振興部リフレッシュコース係 宛
【お問合せ】
芸団協・芸能文化振興部 担当:米屋・日比谷
TEL:03-5909-3060 FAX:03-5909-3061
E-mail:seminar(アットマーク)geidankyo.or.jp
芸団協内公式サイト:http://www.geidankyo.or.jp/12kaden/04pro/jitsuenka/refresh_090703.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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イキウメ『関数ドミノ』05/08-24赤坂RED/THEATER
前川知大さんが作・演出される劇団イキウメの公演です。小空間で贅沢なSFワールドを堪能。お話が面白くって、手放しに楽しんでしまいました。演出も洗練。上演時間は約1時間45分。
前川さんは昨年の『表と裏と、その向こう』で読売演劇大賞優秀作品賞、優秀演出家賞を受賞され、紀伊國屋ホールの『相思双愛』(本日開幕/脚本提供)、世田谷パブリックシアターの『奇ッ怪~小泉八雲から聞いた話』(7月/作・演出)、パルコ劇場の『狭き門より入れ』(8月/作・演出)に連続登場する、今、最も注目される若手劇作・演出家の一人です。
劇団としても、『イキウメ短篇集』(関連レビュー⇒1、2)が5/1(金)にNHK教育「芸術劇場」で放送されたばかり。
公演期間は長い目ですが小さな劇場ですので、ご興味ある方は早めに予約された方がいいかも。近くに座ってたお客様が「3500円は安すぎる!」って連発してました(笑)。
⇒CoRich舞台芸術!『関数ドミノ』
≪あらすじ≫ 当日パンフレットより。改行を変更。(役者名)を追加。
ある地方都市で奇妙な交通事故が起きる。
車はゆるいカーブをスピードを落とさず曲がってきた、信号のない横断歩道に歩行者(緒方健児)を発見するが、既に停止できる距離ではない。しかし車は歩行者の5cm手前で、まるで透明な壁に衝突するように大破した。歩行者は無傷。運転手(窪田道聡)はエアバッグのおかげで軽傷、助手席の彼女は頭部を激しく打ち重傷。目撃者は三人(浜田信也、ともさと衣、古河耕史)。
この事件の担当になった保険調査員(安井順平)は不可解な事故に手を焼き、当事者と目撃者を集めて検証をする。
≪ここまで≫
本気で望んだことなら何でもすべて叶う“期間限定の神様・ドミノ”なる人物をめぐるお話です。端から見ていて、順風満帆すぎる人生を送っている人っていますよね。反対に、驚くほど不運続きでお気の毒な人もいます。運の良さが本人の意志や能力に関係なく、神様から与えられた運命のように定まったものだとしたら、そしてその人物が目の前にいるアイツだとわかったら・・・。
舞台美術は大きく分けて、手前と奥の2つの演技スペースから成っていました。手前(客席面側)は上下(かみしも)、天井、床の四方向をベージュ色(?)の板で囲んだ、奥行き浅い目のステージ。その奥に、手前よりも1段ほど床のレベルを下げた空間があります。
説明する言葉なしに、次々とスピーディーに場面転換していく演出(脚本の構成も?)が洗練されていました。特に、前のシーンの人物を残して次のシーンに移るところは、意味が幾層にも負荷されて素晴らしかったです。
ストーリーにすっかり引き込まれて楽しく鑑賞しながら、人間の欲望について考えました。人間の欲望を実行した結果が、今わたしたちが生きている世界なのだと思います。でも欲望って一体何なのか。目先の欲望と将来の夢は別物だし、性欲と愛情はいつもセットではないし、私が今望んでいることって、本当の本当に、私自身が心の底から欲していることなのかしら・・・などなど。SFの世界を通じて人間、すなわち自分自身について深く考えさせてくれました。さらに娯楽作でもあるところが、前川作品の凄いところだと思います。
保険調査員役の安井順平さんの言葉がとっても可笑しくて、何度も笑わせていただきました。お笑い芸人さんのネタとしてではなく、会話の中の呼吸や心の機微を表す方向での笑いなので、大満足。
“ドミノ”の存在を証明しようとする真壁役・古河耕史さんの独白が良かったです。古河さんの顔(演技)があまりに柔軟に変化するので、古河耕史という役者ではなく、真壁その人がそこに居るような気持ちで観られました。
ここからネタバレします。※これからご覧になる方は読まないで下さいね!
“ドミノ”が見つかった。事故の目撃者である駆け出しの小説家・森魚(浜田信也)がそうなのだ。あの交通事故で「透明な壁」を出したのは森魚だと見込んだ事故関係者らは、ドミノである彼の力を利用して、自分たちの望みをかなえようとする。
HIVキャリアである土呂(盛隆二)は、森魚に自分の病気が治って欲しいと思ってもらうよう、彼の友人になるべく急接近するが…。
一体どうなるんだろう!?と物語の中に没頭して、わくわくしながら観ていた先に待っていた結末は、ドミノのせいで人生は不公平で、自分はいつも損ばかりしていると思い込んでいた真壁(古河耕史)こそが、実はドミノだったというどんでん返しでした(ドミノは期間限定なのだから、森魚もある時期はドミノだったかもしれないし、真壁もあの瞬間にドミノになったのかもしれない・・・な~んて後から頭の中でぐるぐる考えたりもしました・笑)。
耳から血を出して倒れてしまった秋山(ともさと衣)の手をとり、真壁は彼女の回復を、心から願うのか、どうか・・・というところで暗転して終幕。とても良かったです。前川さんは人間への愛情が深いと思います。
婚約者が重症(しかも顔面ヘルレイザー状態)なら、新田(窪田道聡)はもっと切羽詰っていてもいいんじゃないか。森魚(浜田信也)に好きな女(大久保綾乃)を取られたなら、田宮(緒方健児)は怒るだけじゃなく、落胆や嫉妬の陰影をもっと濃くしてもいいんじゃないか。命がけの賭けに出た土呂(盛隆二)と森魚の会話は、押したり引いたりだけじゃなく、浮かんだり沈んだり、ソレたり様子見したり、もっと広く揺らいでもいいんじゃないか。秋山(ともさと衣)は真壁(古河耕史)をドミノを信じる同志として守りたいのかもしれないけど、恋愛がらみの色っぽい、切ない空気も漂わせていいんじゃないか。などなど、役者さんの演技については厚みを増して欲しい気もしました。私が拝見したのは初日ですので、回を増すごとに良くなることと思います。
出演:浜田信也 盛隆二 岩本幸子 緒方健児 森下創 窪田道聡 安井順平 ともさと衣 古河耕史 大久保綾乃
脚本・演出:前川知大 舞台美術:土岐研一 照明:松本大介 音響:鏑木知宏 楽曲提供:安東克人 衣裳:今村あずさ ヘアメイク:前原大祐 演出助手:石内エイコ 舞台監督:谷澤拓巳 制作:中島隆裕 吉田直美 大道具製作:C-COM舞台装置 演出部:棚瀬功 照明操作:和田東史子 宣伝美術:末吉亮 宣伝写真:坂田智彦 舞台写真:田中亜紀 提携:赤坂RED/THEATER 後援:TOKYO FM 運営協力:サンライズプロモーション東京 主催:イキウメ/エッチビイ株式会社
【発売日】2009/03/14 前売3,500円 当日3,800円 (全席指定・税込)※未就学児童入場不可
http://www.ikiume.jp/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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