2009年11月03日
Studio Life『十二夜』10/15-11/08シアターサンモール
男優集団Studio Life(スタジオ・ライフ)のシェイクスピア・シリーズ第3弾は『十二夜』(過去レビュー⇒1、2)です。元気な公開稽古を経てどんな作品に仕上がったのでしょうか~♪ 東京公演後半になってしまったのですが、本日伺ってきました。私が拝見したのは若手中心のβチーム。
すべの通路席に補助席が出ていて、階段には座布団席まで!超満員の祝日マチネでした。どうやらそのままソワレの当日券にも並んでいる熱心なお客さまも大勢。上演時間は約3時間(途中休憩10分を含む)。
★次回は萩尾望都原作漫画の舞台『トーマの心臓』『訪問者』連鎖公演が東京に再臨!!
⇒CoRich舞台芸術!『十二夜』
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
恋は変わり身が早い。気まぐれで変幻自在・・・
双子の兄妹、セバスチャン(関戸博一)とヴァイオラ(松本慎也)の乗った船が難破し、妹ヴァイオラはとある海岸に打ち上げられる。兄が死んだと思ったヴァイオラは、男装してシザーリオと名乗り、オーシーノ公爵(曽世海司)の小姓として仕えることに。
オーシーノは、伯爵令嬢であるオリヴィア(及川健)に恋をしていたが、兄の喪に服している令嬢はその想いを頑なに拒んでいた。オーシーノはシザーリオに恋の使いを命じるが、密かにオーシーノへの淡い想いを抱くシザーリオにとってその命令はとても辛いものだった。
ところが、使者として訪れたシザーリオに深窓の令嬢は一目惚れ!!
令嬢に求婚中のアンドルー(青木隆敏)、思い込みの激しい令嬢の執事(マルヴォーリオ:坂本岳大)も加わって、シザーリオは令嬢をめぐる恋のスパイラルに巻き込まれていく。
一方、ヴァイオラがてっきり死んだと思っている双子の兄セバスチャンがヴァイオラのいる街にやって来て、物語はさらにこんがらがった方向へ…
≪ここまで≫
開場時間の観客の誘導担当は藤原啓児さん。おどけた(浮かれてもいる・笑)場内アナウンスは曽世海司さん。座席に座るなり劇団の公演を観に来たんだな~という親近感と安心感。客席は99%女性ですね(あ、お子様もいたかな、今日は)。とにかく超満員なので途中休憩時も誘導が必要です。親切・丁寧、そして笑いも交えてくださって、とてもいいムードでした。
さてお芝居については、会話から歌への切り替わり方がぎこちなかったり、少々自信なさげに歌っている(ように見える)役者さんがいたり、音楽劇ならではの演出や演技については気になるところが少なくなかったですが、予想していたよりも『十二夜』という作品自体を深く味わうことができました。恋に落ちた瞬間の、あの尋常じゃないときめきや、その恋が報われずになりふり構わず身もだえする様が、まず可笑しい!でも同時にあきれるほどに純粋で真剣でもあるので、胸にぐっと来るのです。
また、道化たちのドタバタは一人一人を丁寧に描いているおかげで、物語の流れの中で笑い、楽しむことができました。『十二夜』は男女だけでなく身分が入れ替わることもテーマになっているんですよね。執事マルヴォーリオ役の坂本岳大さんの演技が大迫力でとても面白かったので、彼と彼をおとしいれようとする人たちとの関係が特に印象に残りました。
ヒロインであるヴァイオラ役の松本慎也さんは、やっぱり本当の女の子のように可憐でした。松本さんは小さな体から気持ちが前へ前へと、強くあふれ出てくるのが素敵。どんな役を演じている時でも、私はその姿勢に魅せられるのだと思います。
久しぶりにスタジオライフ公演で及川健さんを観られた気がします。テキパキがっちりと確実にキメてくださるので、シザーリオ(男装したヴァイオラ:松本慎也)と2人きりのシーンは面白かったですね~。
オリジナル楽曲は残念ながら全体的に私の好みの種類ではなかったですが、1つの作品のために曲が作られて、実際に歌われているのってやっぱり贅沢だし、いいものだなと思いました。今後も劇団員の皆さんにはオリジナルの歌にどんどんチャレンジして、歌もうまくなっていっていただきたいなと思います。
歌唱についてはオリヴィアの侍女マライア役の林勇輔さんがやはりダントツ。ソロに聴き惚れました。林さんは演技も素晴らしかったです。セバスチャン役の関戸博一さんものびのびと通る素直な声を聴かせてくださいました。また歌っていただきたいです。
ここからネタバレします。
木の板で出来た数枚の白い壁を移動させて場面転換します。んー何か他の方法はないのでしょうか・・・。
ヴァイオラはオーシーノーに一目ぼれしたのだけれど、オーシーノーはオリヴィアに首ったけ。そしてオリヴィアが男装したヴァイオラ(=シザーリオ)に恋してしまうという三角関係。男優である松本慎也さんが男装した女性を演じるのが、スタジオライフならでは面白さであり、見どころですよね。松本さんが極端に少女っぽい仕草をされる度に笑いが起きていました。でも本当に可愛いんですよね~。
鳥の動き(?)をするコーラス隊はご愛嬌(笑)。後半ではネタになってましたしね。前の芝居ではあんなにシリアスな役をやってたのに、今回は・・・と色々思い出したり。
双子の兄妹役の関戸さんと松本さんの外見が似ていたので(顔の輪郭、髪型、背格好など)、2人が再会する場面もバッチリでした。2人が見つめ合いながらゆっくりと近づいていくシーンがきれい。わかっているのに感動させられます。
≪東京、大阪≫
【αチーム出演】ヴァイオラ/シザーリオ:山本芳樹 セバスチャン:奥田努 オーシーノ侯爵:曽世海司 オリヴィア:舟見和利 マライア:石飛幸治 サー・トービー:笠原浩夫 サー・アンドルー:青木隆敏 フェイビアン:藤原啓児 マルヴォーリオ:坂本岳大(客演) フェステ:山崎康一 アントーニオ:牧島進一 船長・司祭:河内喜一朗 コーラス隊:林勇輔/篠田仁志/冨士亮太
【βチーム出演】ヴァイオラ/シザーリオ:松本慎也 セバスチャン:関戸博一 オーシーノ:曽世海司 オリヴィア:及川健 マライア:林勇輔 サー・トービー:船戸慎士 サー・アンドルー:青木隆敏 フェイビアン:藤原啓児 マルヴォーリオ:坂本岳大(客演) フェステ:倉本徹 アントーニオ:牧島進一 船長・司祭:河内喜一朗 コーラス隊:大沼亮吉/荒木健太朗/三上俊/吉田隆太
作:ウィリアム・シェイクスビア 翻訳:松岡和子 上演台本・作詞・演出:倉田淳 作曲:林有三 美術:松野潤 照明:森田三郎 舞台監督:本田和男(ニケ・ステージワークス) 音響:水木邦人 音効:竹下亮(Office my on) 衣裳:竹原典子 ヘアメイク:角田和子 殺陣:渥美博 振付:新海絵理子 歌唱指導:羽鳥亨 演出助手:平河夏 荒川真寿恵 照明操作:山﨑佳代 舞台監督助手:稲垣清一郎 スポーツトレーナー:伊藤洋 新城太一 小道具:高津映画装飾 大道具:俳優座劇場 運搬:ヤマカ メイク協力:舞台屋 物販協力:イースト・パーク 音楽プロデューサー:平松義行 制作:揖斐圭子 大野鈍也 小山智子 武井和美 稲田佳雄 麻場優美 制作協力:永井純 馬場妙子 東容子 縄志津絵 小泉裕子 八木美穂子 プロデューサー:蓬田恵美子 企画製作:スタジオライフ
【発売日】2009/09/06 FC:東京¥5000 ウィークデイマチネ¥3500 大阪¥5500 一般:東京¥5500 ウィークデイマチネ¥3500 学生:東京¥3000(劇団のみの取り扱い、要学生証、当日精算)大阪¥5800 *未就学児童の入場は御遠慮下さい。
http://www.studio-life.com/stage/jyuuniya/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【演劇教育】平田オリザ氏が内閣官房参与に就任。首相所信表明演説の作成に携わり、演説の演出も手掛ける
政権が交代し、民主党の鈴木寛さんが文部科学省副大臣に就任されました。そして先月、劇作家・演出家の平田オリザさん(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授・青年団主宰・こまばアゴラ劇場芸術監督)が内閣官房参与に就任されたことは、大きなニュースになりました。
思えばお2人を同時にお見かけしたのは、2007年6月のシンポジウムでした。学校で演劇教育が行われて欲しいと願う一人として、とても感慨深いです。
⇒wonderland「インタビューランド#10 平田オリザさん」
⇒「鳩山政権の文化・芸術政策は、どうなるのか?」(朝日新聞)
⇒「所信表明演説:平田オリザさんが「演出」 誤算はヤジ」(毎日新聞)
平田さんは鳩山由紀夫首相の所信表明演説(2009/10/26)の作成に関わり、演説を演出されたそうです。所信表明には、平田さんの著書「芸術立国論」(2001年初版)に書かれていたことや、さまざまな芸術、教育関連のシンポジウムで語られていたことが含まれているように思います。以下、所信表明の部分抜粋(語尾などは変更)です。
「公共事業は『コンクリートから人へ』」
「人間の究極の幸せは四つ。愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること。働くことによって愛以外の三つの幸せが得られる。その愛も一生懸命働くことによって得られるものだと思う」(チョーク工場社長の弁)
「目指すべきは、単純に昔ながらの共同体に戻るのではない、新しい共同体のあり方です」
「市民やNPOの活動を側面から支援していくことこそが、二十一世紀の政治の役割だ」
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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MCR『リフラブレイン』10/29-11/03駅前劇場
「CoRich舞台芸術まつり!2009春」にてグランプリを受賞したMCR。『リフラブレイン』は100万円スポンサード公演です。上演時間は約1時間40分。
感想はCoRich舞台芸術!に書きました。MCRは来年3月の公演について、出演者オーディションを行います。応募〆切は11/30。
ふ~・・・これで「CoRich舞台芸術まつり!2009春」の審査員としてのお仕事はすべて終了!
次回は来年3~5月に開催されます。おそらく2月から公募開始になるでしょうから、ご興味のある方はぜひスケジュールをチェックしておいてくださいね。
⇒CoRich舞台芸術!『リフラブレイン』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
彼女は明日で世界が終わると思って持ち物を今日に投げ置き、
明日手ぶらで途方に暮れる。
彼は明日で世界が終わると思って今日までを愛するが、
明日の終わりに今日を憎む。
あくまでも、明日で世界が終わらないという前提でのはなしだが。
明日で世界が終わってもよい、
明日で世界が終わってくれないと困る、
明日で世界が終わると信じて今日を迎えた人たちなんかの、
明日が無慈悲にやってきたりする情景なんかを
笑い飛ばせる距離から見せつける物語。
I hope for the end of the world.
But, I know the morning will never be apart from the tiptoe.
≪ここまで≫
出演:櫻井智也 おがわじゅんや 北島広貴 江見昭嘉 福井喜朗 渡辺裕樹 小野紀亮 伊達香苗(以上MCR) 中川智明 石澤美和 三瓶大介(ククルカン) 小西耕一(月刊「根本宗子」) 木内コギト(JINSEI.) 大見遥(andMe)
脚本・演出:櫻井智也 舞台監督:金安凌平 舞台美術:袴田長武(鴉屋) 照明:久保田つばさ(M Light) 音響:平井隆史(末広寿司) 宣伝美術:GEWGAW 撮影:メリケンサック 当日運営:塩田友克 制作:MCR スポンサード:CoRich舞台芸術まつり! プロデューサー:八田雄一朗(MCR) 企画・製作:MCR
【発売日】2009/10/02 (税込、全席指定) 前売3,000円、当日3,500円
http://www.mc-r.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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