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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2010年03月13日

慶應高校・女子高校演劇部2009年度3月定期公演『ケージ』03/12-14千本桜ホール

 慶應高校(男子&女子)の演劇部の発表会を拝見しました。作・演出の酒井一途さんは高校3年生。谷賢一さんの劇団DULL-COLORED POPの演出助手をするなど、10歳以上年上の作り手の公演にも関わってらっしゃいます。きっとインターネットを通じて始まった関係なのでしょう(私と谷さんもそうです)。時代の変化の早さに驚いている場合じゃないですね。

 客席に品の良い保護者の皆さんが大勢いらっしゃる無料公演です。それにしても部活動としての公演を貸小屋で上演するなんて・・・ものすごく贅沢ですよね。大学受験がない生徒だからできるんでしょうね。上演時間は約1時間40分(だったかな)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ケージ

 ≪あらすじ≫
 家出をした高校3年生の3人組(山縣幸典・内田裕大・水野由佳子)。山奥のほぼ廃屋と化したペンション(?)まで遠出してきたのだが、そこには他の客も。居合わせた3人の大学生(有吉宣人・武井寛貴・上田郁子)は、なんと全共闘のメンバーだという。2009年の高校生と1969年の大学生が出会い、本音をぶつけあう。
 ≪ここまで≫

 高校生が実年齢の役柄を素直に、品よく演じていて、澄んだ声と清潔な存在感がとてもみずみずしくて、美しいです。
 題材がハードですので、例えば立てこもって籠城する場面のリアリティーには欠けましたが、10代の葛藤とそれを乗り越えた末の決意が伝わって来ました。今しか演じられない、今しか成立し得ないと思えるプラトニックなラブシーンが素晴らしかったです。

 ここからネタバレします。

 40年の時を超えて出会った若者たちですが、姿は目に見えるし会話もできるものの、体に触ることはできません。お互いがほんのり透き通ったように見えているという設定です。
 逃走する大学生3人と三億円事件をからめ、全共闘の女・藤間(上田郁子)は実は高校生・姫岡(山縣幸典)の祖母だったという、凝った物語になっていました。ケージ=CAGE(鳥かご)=形似=啓示。

 家出をしてきた大財閥の箱入り娘・黒岩(水野由佳子)が、全共闘に入って友達を見殺しにしたことを思い悩む眞人(まこと:武井寛貴)に、思いを伝えようとします。「あなたのそばに私がいることを、あなたのことを思っている人間がここにいることを信じてほしい(どうやったらわかってもらえるのかしら)」。見つめ合いながら、決して触れられない互いの手のひらを合わせる場面が美しいです。

 脚本・演出の酒井さんが当日パンフレットにミュージカル『ラ・マンチャの男』のセリフ(歌詞?)を引用されていました。『ラ・マンチャの男』は私も大好きな作品です。

出演:山縣幸典 内田裕大 水野由佳子 有吉宣人 武井寛貴 上田郁子
脚本・演出:酒井一途 舞台監督:鴇澤勇貴  照明:関根悟 尾形康介 町田果南実 照明アドバイザー:田中雄一朗 音響:佐藤大志 大川いず実 中村友哉 末永黎緒 鎮目那波 衣装:水野由佳子 廣田英恵 藤原薫 宣伝美術・映像:田中博巳 演出助手:松本翔吾 藤榮愛香 舞台監督補佐:藤原光基 中村友哉 大道具:武井寛貴 中村友哉 植田尚 園田亮輔 小道具:尾形康介 梅木絢子 制作:有吉宣人 制作補佐:廣田英恵 高橋俊成 企画・製作:慶應高校・女子高校演劇部
【発売日】2010/01/30 全公演無料、席予約可能。
http://cage.ldblog.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年03月13日 17:35 | TrackBack (0)