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2010年03月17日

Studio Life『萩尾望都作品連鎖公演「トーマの心臓」』02/27-03/22紀伊國屋ホール

 製作発表会のレポートを書かせていただきました、Studio Life『トーマの心臓』(過去レビュー⇒)の〈Grau〉バージョンを拝見。上演時間は約3時間弱(途中休憩1回を含む)。
 萩尾望都作品連鎖公演ということで、『トーマの心臓』のサイドストーリーである『訪問者』も同時上演されています。『訪問者』は今日観ます!※「萩尾望都原画展」にも伺いました。

 再演を重ねている代表作ならではの充実!数々の名場面、名セリフの密度の高さに嬉しくなりました。私ももう4度目ですので「今回はこうキタか、あの役をこう演じるか」というオタク目線(笑)でも楽しませていただきました。

トーマの心臓 (小学館文庫)
萩尾 望都
小学館
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 一緒に観に行った友人が漫画「トーマの心臓」のフリークで、吹き出しのセリフはもちろんコマ割まで覚えていて、帰り道は話題が尽きませんでした。

 ⇒CoRich舞台芸術!『「トーマの心臓」「訪問者」
 ※パンフレットの写真を追加(2010/03/19)。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 ドイツのギムナジウム(高等中学校)と寄宿舎生活を舞台に繰り広げられる物語。
 冬の終わりの土曜日の朝、一人の少年が自殺した。彼の名はトーマ・ヴェルナー。
 そして月曜日、一通の手紙がユリスモールのもとへ配達される。「これが僕の愛、これが僕の心臓の音・・・」
 トーマからの遺書だった。
 その半月後に現れた転入生エーリク。彼はトーマに生き写しだった。
 人の心を弄ぶはずだった茶番劇。しかし、その裏側には思いがけない真実が秘されていた。
 ≪ここまで≫

 「アベ・マリア」がテーマソングとなっていますので、何度も何度もかかるのはお約束。私がコアな観客だからですが、「これがないとスタジオライフの『トーマ』じゃない!」ぐらいの勢いで肯定していい気がしました。私も大人になったのかも(笑)。ここまで愛される演目ですから、様式美の域に入ってると思います。

 東京公演も終盤に入っているからか、空間の密度の高さ、安定感が素晴らしかったです。財産演目だからだとも思います。この作品にかける劇団の皆さんの並々ならぬ情熱というか、愛情というか、むしろ執念といっていいぐらいの思いが、劇場全体に満ちていました。
 今回もまた新しい発見がありました。劇団が一丸となり、原作を大切にして再演を重ねてこられたおかげだと思います。ありがとうございました!

 ここからネタバレします。

 トーマの詩の「ぼくが彼を愛したことが問題なのじゃない 彼がぼくを愛さねばならないのだ どうしても」の意味がわかったのが最大の収穫でした。スタジオライフの役者さんの真摯な演技の賜物だと思います。
 ユーリ(ユリスモール)は自分自身を赦さなくてはならなかったんですよね。でないと誰かを愛することはできない。愛することと愛されることは表裏一体。オスカー(曽世海司)が本当の父・校長(船戸慎士)に対して「会ったときから赦していた」と告白する場面が、ユーリの覚醒につながるのもよくわかりました。
 
 ずっとユーリを演じ続けている山本芳樹さん。胸の奥にしまい込もうとして、でもどうしても体の外に出てしまう思いつめた感情表現が良かったです。計算された演技にも確立されたスタイルが感じられました。
 トーマに似ている転入生エーリクを演じた松本慎也さん。一途でピュアな声がやっぱりきれい。

 ユーリに堕天使の烙印を押す悪役サイフリートは奥田努さん。私が今までに見たサイフリートの中で一番良かったです。
 そして、オスカーに横恋慕するアンテを演じた客演の植田圭輔さんが光っていました。「振り向いて、オスカー」のセリフであそこまで魅せてくださるとは。

 場面を1つ挙げるとすると、エーリクと片足を失った義夫シュヴァルツ(山﨑康一)が和解するところ。『訪問者』とシンクロする父と息子というテーマが、短い場面で深く掘り下げられていました。

 ★終演後に「ヨハネ館のパジャマナイト」というイベントがありました。
 過去の『トーマ』で使用されたネグリジェのような白いパジャマを着て、役者さんが登場⇒松本慎也、関戸博一、青木隆敏、山本芳樹、曽世海司、山﨑康一、河内喜一朗、冨士亮太(順不同) 司会:石飛幸治&松本慎也

 ★パンフレット(写真↓)の装丁は劇中に登場する重要アイテムである、書籍「ルネッサンスとヒューマニズム」をそのままに。なんとトーマの詩もちゃんと挟まれています!
20100316_thoma_pamphlet.JPG

出演:『トーマの心臓』【出演(東京公演)】ユリスモール:〈Grau〉山本芳樹〈Blau〉青木隆敏 オスカー:〈Grau〉曽世海司〈Blau〉岩﨑大 エーリク:松本慎也 レドヴィ:関戸博一 アンテ:植田圭輔(客演) バッカス:牧島進一 サイフリート:〈Grau〉奥田努〈Blau〉高根研一 シャール:〈Grau〉青木隆敏〈Blau〉山本芳樹 クローネ:〈Grau〉堀川剛史〈Blau〉平居正行(Fresh)  カイザー:荒木健太朗 ヘニング:〈Grau〉篠田仁志〈Blau〉原田洋二郎  リーベ:〈Grau〉仲原裕之〈Blau〉緒方和也 アーダム:吉田隆太 アル:石井昭裕 イグー:神野明人 ヘルベルト:冨士亮太 ミュラー:船戸慎士 ブッシュ:藤原啓児 シェリー:〈Grau〉岩﨑大〈Blau〉曽世海司 エリザ:藤原啓児 シュヴァルツ:山﨑康一 ヴェルナー:河内喜一朗 アデール:石飛幸治 ※出演者は都合により変更となる場合もございます。
原作=萩尾望都(小学館文庫) 脚本・演出=倉田淳 美術=松野潤 照明=森田三郎 舞台監督=土門眞哉(ニケステージワークス) 音響=竹下亮(OFFICE my on) 衣裳=竹原典子 ヘアメイク=角田和子・片山昌子 殺陣=渥美博 振付:新海絵理子 演出助手=平河夏・荒川真寿恵 美術助手=渡辺景子 照明操作:宮田正芳 小道具=高津映画装飾 大道具=俳優座劇場 エンブレムデザイン:VIA BO, RINK 宣伝写真=竹中圭輔(D-CORD) 宣伝ヘアメイク=山﨑初生 前田亜耶 宣伝デザイン=前川恵子 宣伝制作=ソニー・ミュージック・コミュニケーションズ デスク=山﨑みれい 制作=揖斐圭子 稲田佳雄 浅場優美 大野純也 武井和美 制作協力=蓬田恵美子 永井純 馬場妙子 東容子 縄志津絵 小泉裕子 企画・制作=Studio Life
【休演日】3/1【発売日】2010/01/17 前売・当日共¥5,800 【全席指定/税込】
http://www.studio-life.com/stage/toma2010_new/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年03月17日 10:56 | TrackBack (0)