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2010年03月21日

SPAC『ペール・ギュント』03/06-21静岡芸術劇場

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ペール・ギュント

 SPAC・静岡県舞台芸術センターの新作です。イプセンの『ペール・ギュント』(⇒Wikipedia ⇒Yahoo!百科事典 過去レビュー⇒)を芸術総監督の宮城聰さんが演出されます。音楽は棚川寛子さん。俳優が舞台上で楽器演奏もする音楽劇です。上演時間は約2時間30分(途中10分の休憩を含む)

 静岡芸術劇場に行く度に、グランシップの広場でイベントが開催されている気がします。昨日はお城のようなものが建てられていました↓(携帯写真ですみません)
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 東静岡駅を降りてから劇場までのおなじみの道を歩く度に、「またここに来られて良かった、ずっとここがあって欲しい」と思います。
 
 ⇒CoRich舞台芸術!『ペール・ギュント

 開演前にロビーでコンサートが開かれていました。ゴージャスな気分。(ヴァイオリン:日比恵三 ソプラノ:横山靖代 ピアノ:三城苑子)

 ベール・ギュントという男の半生を明治以降の日本の歴史と読み説いた大胆な演出で、主人公のペールは袴姿です。舞台はすごろくで、一場ごとに1コマずつ進んでいく印象を与える仕掛け。
 演技は心理的リアリズムではなく、ある形式にのっとった身体表現やせりふ回し。俳優のポテンシャルがはっきりと示される演劇的な様式美が、宮城さんおよびSPACらしさだと思います。

 太鼓や木琴が多数のパーカッション音楽は、ドンドコドコドコと大勢で一斉に鳴らすと迫力があります。でも同じリズムが何度も流れるのは少々退屈。『オセロー』で感じたのと似てましたね。早いリズムは盛り上がるところにしぼってもらった方がいい気がしました。
 私は「日本は変わる(変わるべき)」と解釈できるラスト・シーンがとても好きでした。

 各回終演後、劇場併設のカフェシンデレラに出演者が衣裳を着て出てきてくれます。役者さんと感想を話し合えるのは楽しいですよね。私にとっては衣裳とヘアメイクが間近に見られるのがすごく嬉しかったです。いろんな民族衣装が元になっていて凝ってるんですよね~。特に女優さんのドレスや着物が美しかった!

 ここからネタバレします。

 明治、大正、昭和、平成へと続いた日本の近現代は、西洋を模倣し、追いつけ追い越せの精神で進んでた歴史。でも平成になって20年もたてば、それも行き止まりです。

 最後にペールは振り出しに戻ります。そこで白いドレスのような衣裳(でも張りぼての板のよう)を着せられるのです。男であるペールが女になるというのは、つまり今までとは正反対なぐらい違う方法で生き直そう、もう一度仕切り直してみようという提案だと受け取りました。

【出演】ベール・ギュント:武石守正 ソールヴェイ:池田真紀子 ヘルガ 他:石井萌水 イングリ 他:大内智美 くねくね入道 他:大内米治 緑衣の女の子供 他:加藤幸夫 小作人の女 他:木内琴子 ボタン作り 他:貴島豪 オーセ 他:榊原有美 婚礼祝いの客 他:佐藤ゆず 婚礼祝いの客/アニトラ(20日・21日)他:たきいみき 緑衣の女 他:館野百代 婚礼祝いの客 他:永井健二 女官 ほか:布施安寿香 婚礼祝いの客/アニトラ(6日~14日):本多麻紀 痩せた男 他:牧野隆二 見知らぬ船客 他:牧山祐大 鍛冶屋 他:吉見亮 トルムペーターストローレ 他:若宮羊市 ドヴレ王(KAORU INOUE) 他:渡辺敬彦
原作:ヘンリック・イプセン 翻訳:毛利三彌 演出:宮城聰 音楽:棚川寛子 舞台監督:内野彰子 衣裳デザイン:竹田徹 衣裳:杉山知枝美 駒井友美子 舞台美術:深沢襟 舞台美術助手:鈴木里恵 照明:川島幸子 音響:西沢理恵子 舞台:市川莉沙 松村亜妃子 演奏指導:棚川寛子 ヘアメイク:梶田キョウコ 石橋芳子 許田雪恵 長島由美 制作:植松舞 西川奏功 韮澤大地
【休演日】平日 【発売日】2010/02/07 一般4,000円 同伴チケット(2枚)7,000円 大学生・専門学校生2,000円 高校生以下1,000円 中学生以下無料ご招待(各回限定30席)
http://spac.or.jp/09_winter/peergynt.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年03月21日 11:55 | TrackBack (0)