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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2010年08月04日

ホリプロ『ロックンロール』08/03-29世田谷パブリックシアター

 昨年の『コースト・オブ・ユートピア』も話題になった英国の劇作家トム・ストッパードさんの、2006年ロンドン初演作(2007年ブロードウェイ進出)を栗山民也さんが演出されます。初日を拝見しました。上演時間は約3時間10分(途中休憩1回を含む)。

 市村正親さんと武田真治さんが主演ということで、ミュージカルだと思っていたお客様もいらしたようですが、ストレート・プレイです。でも有名な音楽はたくさん流れます。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ロックンロール

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 ケンブリッジ大学の教授マックス・モロー(市村正親)はマルクス主義を唱える学者。彼の教え子であり、時代に翻弄されながらも生き抜くチェコ人ヤン(武田真治)。
 ときは1968年ケンブリッジ。フラワーチルドレンのエズミ(前田亜季)は、パイパー(実はシド・バレット)の吹く笛を聴いていた。そこに、ヤンが現れる。ロックンロールを愛する彼は、ロックと家族を守るため「プラハの春」が起こったチェコへ帰国することを決意したのだった。エズミはヤンに密かな恋心を抱いていた。そんなヤンを快く見送ることがマックスにはできない。マックスの妻、エレナ(秋山菜津子)は癌を病んでいた。
 チェコに帰国したヤンを待っていたのは、秘密警察の取調べだった。ヤンの友人ファーディナンド(山内圭哉)はドプチェク解放の署名を求めるがヤンは断る。そんな彼のもとにマックスがたずねてくるが、ヤンはマックスの言葉を聞かない。
 一方、イギリスではエレナが、レンカ(ヤンと同じチェコ人)に古典を教えていた。エレナが席を外した束の間、レンカはマックスに、ヤンが逮捕されたことを告げる。チェコのロックグループの権利を守ろうという嘆願書に署名をしたせいだった。エレナの病状は進んでいた。マックスはエレナを抱きしめることしかできない。
 1976年冬、プラハ。部屋に戻ってきたヤンの前に、砕かれたレコードが散らばっていた。それから20年以上たった1990年のイギリス、ケンブリッジ。マックスのもとにヤンがやってきた。ヤンとの突然の再会に驚くエズミ(秋山菜津子)。
 人々の想いは、静かに絡みあいながら、進んでいく。
 ≪ここまで≫

 イギリスのケンブリッジとチェコ・スロバキアのプラハを行き来し、場面転換時に当時流行していたロックがかかります。自分の知識のなさ、教養のなさにがっかりして落ち込みました・・・。
 一部セリフが聴こえづらかったのもありますが、歴史にしたってロックンロール(音楽)にしたって、「あぁ聞いたとあるな~」ぐらいにしか知らないものですから、体にぐっと入ってきて腹で理解するような、確かな重みで味わうことができませんでした。

 ロビーでパンフレットを買って読み、「あぁそういう意味だったのね」と少しは補完できましたが、観ている時は本来のこの戯曲の意味や魅力を受け取ることができなかったですね。自分のせいとはいえとても残念・・・。
 これからご覧になる方は、公式サイトにあるキーワードをある程度勉強されてから観に行かれると良いと思います(すでにご存知の方は不要ですが)。

 ここからネタバレします。

 2幕の最初にU2の"still haven't found what I'm looking for"が流れて、やっと体にしみてきました。JOSHUA TREEのジャケットも懐かしく。1987年の場面だったかと思います(違ったらすみません)。私はたぶん中学生か高校生ぐらいで「ベストヒットUSA」を毎週見ていましたから、“あの時”と舞台の時間がやっと一致し、2幕からは面白くなりました。

 武田真治さん演じるヤンのことがよくわからなかったです。友達の署名依頼を断ったり、お気に入りのロックバンドを応援して警察につかまったり、12年間もパン屋で働いてたり、スパイをしていたり・・・?文字の情報しか頭に残らなかったです。もう1度観ればわかるのかな・・・。

 最後は1990年のプラハ。ROLLING STONESのコンサートに盛り上がるヤンたちの横で、レンカ(黒谷友香)が学生(熊坂理恵)に詩を教えていました。「牧神パンは死んだ」と繰り返すのに苦い思いがこみあげます。1968年から始まり、22年後の1990年で終わる物語ですが、そのあまりの変容振りに驚くし、恐ろしさも感じます。獲得したものもあれば失ったものもあるんですよね。

≪東京、大阪、広島≫
出演:市村正親 秋山菜津子 武田真治 前田亜季 上山竜司 西川浩幸 月船さらら 森尾舞 檀臣幸 山内圭哉 黒谷友香 熊坂理恵
脚本:トム・ストッパード 演出:栗山民也 翻訳:小田島恒志 美術:松井るみ 照明:勝柴次朗 音響:高橋巖 衣裳:前田文子 ヘアメイク:鎌田直樹 演出助手:豊田めぐみ 舞台監督:小林清隆 主催・企画制作:ホリプロ
【休演日】8/11~8/17 S席8,500円 A席5,500円
http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=145
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/08/post_185.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年08月04日 10:12 | TrackBack (0)