REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2010年10月19日

パブリックシアターのためのアーツマネジメント講座2010『特別シンポジウム/劇場法を“法律”として検証する』10/18世田谷文化生活情報センター・セミナールームAB

 9月から通っていた著作権の講義の最後の授業となった、特別シンポジウムを拝聴してきました。⇒計4回の講義の感想

 ■パブリックシアターのためのアーツマネジメント講座2010
  『特別シンポジウム/劇場法を“法律”として検証する』
  (登壇者:高萩宏、平田オリザ、片山泰輔 司会:福井健策)
  ⇒公式サイト
  ⇒内容をツイッター上で実況した@arts_policyによるまとめ

 弁護士の福井健策さん(@fukuikensaku)による「劇場・音楽堂法 試案」および当日の議題は、こちらに公開されています(事前質問の内容がそのまま議題になりました)。
 福井さんによる試案をもとに議論が進められ、目に見えて読むことのできる法律として、劇場法(仮)を知り、考えることが出来ました。条文という体裁は、最初はとっつきにかったですが、徐々に身近にとらえられるようになりました。意見が分かれたため長い時間をかけて話しあった議題が、条文にすると名詞1つを入れるか入れないかの差だったりするんですね。

 登壇者の皆さんは積極的に、端的に持論を展開してくださり、「劇場法(仮)が施行されたらどんなメリットがあるか」「具体的には何が変わるか」がよくわかりました。
 司会の福井さんが議題ごとにすみやかにまとめてくださり、時折生まれる笑いのポイントもきっちり掴んで(笑)、集中して楽しめた2時間半強。最後の質疑応答での参加者からの質問も的を射たもので、レベルの高い、濃い内容だったと思います。

 劇場法(仮)は芸団協が2002年から調査、研究を始めて、2009年3月に「社会の活力と創造的な発展をつくりだす劇場法(仮称)の提起」として発表されました(今はさらに進化しています)。少なく見積もっても8年の歳月がかけられています。

 観客は基本姿勢が受身なものなので、これからも自分が観たい舞台を選んで、チケットを買って、観に行けばいいんだと思います。でも作り手の方々はそうはいかないですよね。劇場法(仮)に賛成するにせよ反対するにせよ、まず劇場法(仮)って何なのかを知る必要があります。シンポジウムを聴いていて、今後は劇場法(仮)についての知識があるかないかで、ずいぶんと差が出て来そうだなと思いました。
 ⇒「劇場法(仮称)で何が変えられるのか?!」ラウンドテーブル【まとめ】
 ⇒fringe「劇場法(仮称)に関する議論まとめ(2010年7月11日現在)

 福井さんの締めの言葉の一部をご紹介します。
 福井「法律は国民同士の契約です。国民がお互いに最善の結果をもたらすために結びあう契約だと思います。ですからそれは、自分たちで考え合うためにそこにある。誰かが決めてくれて、決まったものに文句を言いながら従うものではない。自分たちで設計するためにあるんだと私は思います。」

 早速fringeが提案をしています。
 ⇒fringe blog「アーティストの評価は誰がやるべきか――平田オリザ氏のポスドク起用案に反対する
 平田さんは「ポスドクに」とおっしゃっていましたが、「ポスドクに限る」わけではないんじゃないかと思いました。でも条文にするためには明確にしないといけないですから、意見することは重要ですよね。

《ゲスト》片山泰輔(静岡文化芸術大学文化政策学部准教授)  高萩宏(東京芸術劇場副館長)  平田オリザ(劇作家、演出家)
《司会》福井健策(弁護士・骨董通り法律事務所)
[助成]アサヒビール芸術文化財団  平成22年度文化庁芸術拠点形成事業
参加費1,500円 ※本シンポジウムは、世田谷パブリックシアターレクチャー2010『舞台芸術と著作権・契約』の一環として実施いたします。レクチャーにお申込みの方は、改めてお申込みいただく必要はありません。
http://setagaya-pt.jp/workshop/2010/10/post_188.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 2010年10月19日 20:24 | TrackBack (0)