2010年09月13日
劇団こふく劇場『水をめぐる2』9/03-05パピオビールーム・大練習室
「ぽんプラザホール10周年記念 福岡・九州地域演劇祭」参加作品です。⇒内覧会レポート ⇒CoRich舞台芸術!内特設サイト 1日で3本ハシゴのスケジュールで、劇団きらら公演の次に観に行きました。
劇団こふく劇場は永山智行さんが作・演出される宮崎の劇団です。『水をめぐる』『水をめぐる2』の2本連続上演ですが、残念ながら私は2しか観られず。
会場入り口にあった演劇祭ポスター↓
⇒CoRich舞台芸術!『「水をめぐる」「水をめぐる2」』
≪あらすじ≫ CoRich舞台芸術!より
まだ見たことのない「うみ」を探し求め、歩きつづける女。いつか女は、「うみ」にたどり着くのだろうか…
≪ここまで≫
板でできたシンプルな抽象舞台。四角いステージの中央には、同じく四角い透明の水槽がはめ込まれていて、水が入っています。
死んだ夫の骨壷を首から掛け、散骨するために海を目指す女(あべゆう)。彼女以外の3人の役者さんは何役も演じます。打楽器の生演奏は全員が交代でされていました。
パっと見は抽象的でとっつきにくそうな印象もありますが、語られる言葉や規則的な動きをそのまま素直に受け取る内に、おっとりしたムードやとぼけた会話に、自然と笑みがこぼれました。
腰を低くして、床に脚を叩きつけるように、どんどんと音を立てて歩くのは、お神楽、お能、狂言などをもとにした独自の身体表現(演出家の前説より)。コミカルな雰囲気もあって、足踏みのリズムに乗って鑑賞するのは楽しくもありました。ただ、終盤になるとその動きに少々退屈したりも。舞台の周囲を歩くのがルールになっていることに、私が飽きてしまったせいかもしれません。動きは様式美にまで至っているようには見えなかったので、ギリギリのラインを狙っているのかなぁと思ったり。
あべゆうさんの優しいたたずまいがとても良かったです。おおげさにならず、こびず、のびのびと“確かにそこに居る”感覚。大人の女性の成熟も感じました。
そうだ、この時も空調が寒かったんです・・・福岡の空調は東京より低い目なのかしら。
ここからネタバレします。
女は海を目指す道すがら、色んな人々と出会います。幽霊に出会うのも良かったけど、最後に夫の愛人と会ってしまうのが面白かったですね。きれいごとではいかない人生。
夫の骨は歩いてる途中に箱からこぼれ落ちて無くなっていました。「だったらここが、もう海だ」と気づく(決める)のがいいですね。女と愛人が2人で地面に伏して、床に耳をつけて回想します。道中で出会った人の声に混ざって、亡くなった夫の声が聴こえてきました。客席では泣いている人も多かったですね。
夫の遺言の真意に気づいた時の、女の涙が温かいです。遺言は「海に散骨すれば来世で邂逅(カイコウ)できる」でした。女はなぜか「蚕(カイコ)が安く買える」(だったかな?)と聞き間違えていました。あべゆうさんが演じる“働き者で真面目だけど、ぽっかり抜けているところのある女”は魅力的でした。
≪福岡、東京、宮崎、大阪、広島≫
ぽんプラザホール10周年記念 福岡・九州地域演劇祭
【出演】清:あべゆう 漠/沌/洪:濱砂崇浩 浮/沫:大浦愛漣:かみもと千春
脚本・演出:永山智行 美術:濱砂崇浩、照明:工藤真一(ユニーク・ブレーン)、音響:日高充美、衣裳:阿部由、音楽:かみもと千春、チラシ写真:長峰由佳 制作:上田政子 大浦愛 工藤治彦
【発売日】2010/06/21 前売: 1,800円 / 当日: 2,000円 日時指定・全席自由
http://www.cofuku.com
http://10kinen.info/stage/kohuku.php
http://stage.corich.jp/special/fukuoka-kyushu.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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劇団きらら『劇団きららの「星の王子さま」~Le Petit Prince~』09/04-05あじびホール
「ぽんプラザホール10周年記念 福岡・九州地域演劇祭」参加作品です。⇒内覧会レポート ⇒CoRich舞台芸術!内特設サイト
劇団きららは池田美樹さんが作・演出(出演も)される熊本の劇団。今回はサン・テグジュペリの小説「星の王子さま」を原作に忠実に舞台化されました。
⇒CoRich舞台芸術!『劇団きららの「星の王子さま」~Le Petit Prince~』
客席方向に長くせり出したステージを客席が三方から囲みます。舞台に高さがないので客席から近い印象。床は白い布(?)で覆われており、ひからびた砂漠や月のクレーターを思わせます。客席の周囲の壁全体がメルヘンチックに装飾されていて、劇場に入った途端に非日常の世界へと連れて行ってくれました。白い大小のボールがたくさん天井から吊り下げられており、宇宙の星々をスっと想像できました。照明でカラフルに染めるのがきれい。
内覧会や前説で池田さんが「暗闇で一人でじっと座っていることを怖がらないこと」とか「きつねと王子様の友情に焦点を当て」などとおっしゃったので、かなりの脚色をされているのだろうと思って見始めたのですが、あまり変更は加えられていませんでした。うぬぼれ男等もちゃんと出てきましたし、王子様はもうコスプレと言ってもいいんじゃないかと思うぐらい原作の挿絵の服装(ヘアスタイル含む)に似てました。私としてはあるエピソードを中心に構成しなおすとか、全体を新解釈しちゃうとか、池田さん独自の「星の王子様」を期待していたので残念。
演技については好みが分かれるところだと思うのですが、思わせぶりな長い間がわざとらしくて気になりました。王子様が「あははははっ!」と無理やり笑うのが、どうもいただけなかったですね。
黒い衣裳のヘビ(蔵原壮一郎)が、動きがなまめかしくてきれいでした。
残念ながら、空調がとても寒くて後半は集中できなかったです・・・。
福岡アジア美術館7Fエレベーター前にあった、公演のポスター↓
ここからネタバレします。
白い衣裳の数人がコロスのような役割を果たしていました。本を蝶のようにばたつかせて飛行機をあらわすのが面白かったです。
舞台奥の白い幕の間から飛行機の尾翼が覗くのが可愛かった!エンジンがかかった時に動くのも良かったですね。
福岡アジア美術館の外観↓
【出演】飛行士:高木優一郎 王子さま:宗真樹子 バラ:オニムラルミ ヘビ:蔵原壮一郎 王様/呑み助:平野浩治(劇団 濫觴) うぬぼれ男/地理学者/キツネ:大迫旭洋(不思議少年) あきんど/バラたち:池田美樹
原作:サン・テグジュペリ 脚色・演出:池田美樹 美術:上瀧昭吾(兄弟船)、照明:西本正明((有)シーニック)、音響:寺師裕、会場装飾:gaju CG製作:ほっほー石原(転回社) 衣裳:池田美樹、舞台監督:山下昌文(ACN)、制作:古殿万利子、フランス語訳&ナレーション:ミカエル・セバン 演出助手:松崎仁美(劇団濫觴) 田代愛子
前売: 1,800円 / 当日: 2,000円[ Lコード:89996 ] 日時指定・全席自由
【発売日】2010/06/21 前売: 1,800円 / 当日: 2,000円 日時指定・全席自由
http://www.gkirara.com
http://10kinen.info/stage/kirara.php
http://stage.corich.jp/special/fukuoka-kyushu.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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パソナグループ、ヴィーブル企画『イリアス』09/04-23ル テアトル銀座 by PARCO
内野聖陽さん、平幹二朗さんら超豪華キャストの公演です。紀元前8世紀頃にホメロスがまとめた叙事詩を木内宏昌さんが戯曲化。演出は栗山民也さん。生演奏あり。上演時間は約3時間20分(途中休憩20分を含む)。
トロイアとギリシアの戦争を描きますが、ほぼ全ての戦闘シーンを殺陣ではなく語りで表現します。役者さんのその日の演技次第で仕上がりが随分と変わりそう。形式ばって朗々と語られると私は眠たくなってしまって・・・。好みによると思います。
5人の女性のコロスが大活躍。セリフの群唱の息もぴったりで、振付も美しかったです。
⇒CoRich舞台芸術!『イリアス』
レビューは記録のみ。
≪あらすじ≫ 公式サイトより。
ある日、ギリシア軍の総大将アガメムノンと英雄アキレウスが戦利品の女ブリーセイスを巡って争いになり、アガメムノンの横暴な仕打ちに怒ったアキレウスは戦線を離脱してしまう。
しかし、敵国トロイアの名君プリアモスの子ヘクトルが、祖国の名誉と存亡を賭けて決死の猛襲をかけてくる。英雄アキレウスを欠いて、敗走を重ねるギリシア軍を見かねたアキレウスの親友、パトロクロスはアキレウスに戦闘へ戻るよう懇願するが、断られてしまう。そこで、パトロクロスはアキレウスの鎧を借り、自ら身につけ敵に向かっていくが、トロイア軍のヘクトルによって殺されてしまう。
親友の死を知ったアキレウスは、復讐を果たすためアガメムノンと和解し戦線に戻ることを決意、ヘクトルとの一騎打ちに臨む・・・。
≪ここまで≫
≪東京、新潟、兵庫≫
出演:内野聖陽、池内博之、高橋和也、馬渕英俚可、新妻聖子、チョウソンハ、木場勝己、平幹二朗 ほかコロス5名(初嶺麿代 中川菜緒子 一倉千夏 飯野めぐみ 宇野まり絵)
原作:ホメロス 演出:栗山民也 脚本:木内宏昌 音楽:金子飛鳥 美術:伊藤雅子 照明:勝柴次朗 音響:山本浩一 衣裳:前田文子 ヘアメイク:鎌田直樹 歌唱指導:伊藤和美 振付:田井中智子 殺陣:渥美博 演出助手:豊田めぐみ 舞台監督:加藤高 宣伝:ディップス・プラネット 宣伝画:門坂流 宣伝写真:ミナモトタダユキ 宣伝美術:柳沼博雅 宣伝ヘアメイク:佐藤裕子(内野聖陽)、川端富生 宣伝スタイリスト:中川原寛(内野聖陽)、山口ゆうすけ 企画:パソナグループ、ヴィーブル 製作:テレビ朝日、産経新聞社、パソナグループ、サンライズプロモーション東京
【休演日】9/7,14,21【発売日】2010/05/29
平日10,000円 土日祝11,000円(全席指定・税込) 未就学児童入場不可
http://www.ilias2010.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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