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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2011年05月07日

tpt『恋人』05/07-10紀伊國屋ホール

 中嶋朋子さんと岡本健一さんが夫婦を演じる2人芝居。ハロルド・ピンター戯曲です。主演の岡本さんが演出もされます。上演時間は約1時間10分。

 昨年9月に横浜でも上演されていました(私は見逃しています)。アイデアやこだわりの1つひとつが新鮮で力があって、1つの戯曲に長期間取り組んで来られたのがよくわかる公演でした。⇒ツイートしました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『恋人

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより。
 なにはともあれあけすけに! 健全な夫婦生活の基本だよ!
 
 女は聖女か、それとも淫売か。
 結婚十年目、だれもがうらやむ夫婦関係の秘訣とは。
 男と女の存在をかけ、世にもセクシーでファニーな格闘技が幕を開ける。
 物質世界の繁栄とは裏腹に精神世界が不毛の荒地と化した20世紀
 人間の言葉の問題に正面から向き合ったハロルド・ピンターのスタイリッシュ・コメディに
 いまもっとも輝いている二人の俳優が現代の視点からアプローチします。
 ≪ここまで≫

 黒い幕と黒いイスのみでほぼ何もないシンプルな空間。結婚10年目の夫婦の浮気についてのお話です。スリリング、コミカル、セクシー。最後は人と人が溶ろけるような、ミステリアスな展開に。
 
 岡本健一さん、ちょっと太られたのかしらと思ったら・・・!かっこ良かったです。
 中嶋朋子さんはいつもながらお美しいです。そのスレンダーな体が笑いにつながるとは(笑)。

 ここからネタバレします。

 「男と女が出会って結婚する」という脚本には(おそらく)ない場面を、無言劇で冒頭に表現。これがとても良かったです。
 夫が会社で働いている昼間に、妻は自宅に恋人を呼んで情事を楽しんでいます。しかも夫公認で。とはいえ夫も娼婦を買っていることが判明。お互いに浮気しているんですね。

 夫役の岡本さんが恋人役も演じるのですが、その豹変っぷりが面白いです。夫は紳士的で温和なインテリ・タイプ。恋人はマッチョで乱暴でオツムが弱そうですが、憎めないのが素敵。
 妻と恋人の凝りに凝った情事が笑えます。仮面やムチじゃなくて太鼓を使うのが凄い(笑)。しかも太鼓ってかなりセクシー。

 妻の恋人は夫役の岡本さんが演じますので、「妻の恋人=夫」という構図が成り立ちます。夫の浮気相手(=娼婦)は登場しないのですが、恋人から“プロの愛人”と呼ばれる妻が、実は娼婦なのではないかと匂わせます。つまり「夫の浮気相手=妻」にもなるんですね。
 最後は夫がマッチョな恋人のように乱暴なしゃべり方になり、「妻と恋人」「夫と娼婦」の2つのペアが合体して「夫と妻」になるような、奇妙でドラマティックなエンディングでした。男と女の2人芝居ですが、最後はすべての男性と女性を描いたように受け取れました。

TPT78「恋人」
出演:中嶋朋子 岡本健一 豊永伸一郎
脚本:ハロルド・ピンター 訳:広田敦郎 演出:岡本健一 美術:朝倉摂 照明:笠原俊幸 音響:高橋巌 衣裳:たかひらみく ヘア&メイクアップ:鎌田直樹 舞台監督:赤羽宏郎 アンダースタディー:若菜大輔 タチアオイ製作:櫻井忍 プログラム写真:西村俊範 主催・制作:TPT シアタープロジェクト・東京
【発売日】2011/03/26 25歳以下、65歳以上の方は3000円(TPTのみ取り扱い) 4,000円
http://www.tpt.co.jp/whatson/078.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2011年05月07日 22:11 | TrackBack (0)