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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2011年06月09日

演劇集団キャラメルボックス『2011ハーフタイムシアター「水平線の歩き方」「ヒア・カムズ・ザ・サン」』06/02-19サンシャイン劇場

 演劇集団キャラメルボックスは前回公演で被災地に500万円を寄付しています。こういう経緯もあり勇んで前売り券をゲット。すごく久しぶりなので(たぶん数年ぶり)、アウェイ覚悟で伺いました。
 劇場ロビーに入るなりお祭りのような派手なにぎわい・・・はなく、しっとり大人のムード。物販の雰囲気や開演前の前説などがずいぶん変わっていて、予想外でしたがホっとしました(笑)。

 ハーフタイムシアターは初体験なんです。休憩20分間をはさんで約1時間の短編を、2本連続で鑑賞しました。緊急公演として同会場で『賢治島探検記』も上演中です。

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 ストーリーも役者さんの演技も演出も私好みではなかったですが、どちらかというと『水平線の歩き方』の方が面白かったです。意外な動きや言葉が飛び出してくる点では、『ヒア・カムズ・ザ・サン』の方が印象に残る場面が多かったですね。

 開演前の映像CM、若手俳優による前説、おなじみの演出にわかりやすいストーリー、長めのカーテンコールという流れで、システマチックにパッケージ化されていました。「キャラメルボックスの舞台」というブランド商品になっているんですね。モーニング娘。のコンサートを思い出しました。あの決め決めのMCとか。
 前説では「誰もが快適に観られるように」と前置きし、5つのお願いをはっきりと話されていました。こういう安心感、安定感が信用を築いていくのだと思います。「上演中の写真撮影、録音、録画は違法です。絶対しないでください」って凄い。

 8月には柿喰う客との合同公演が新国立劇場小劇場で行われます。意外な組み合わせだと思っていたんですが、今回キャラメルボックスの役者さんを見て、柿喰う客の役者さんとも共通項はあるように感じました。録音された一曲の音楽のように、大勢が同時に決まった道筋をたどっていくような演技というか。いっせいに前を向いて、テキパキ、元気にこなしていくパワーがありました。いわゆる演劇作品ですが、1つの短編が1曲のダンスのようだったとも思います。

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 両方ともオープニングの直後に、登場人物全員がいっせいに踊る短いダンスシーンがありますが、話の流れからも踊り始めることの必然性はありません。いわゆる「お約束」なのだとしたら、ファンにとっては大事な演出なのだろうと思います。ファンは好きな役者さんの踊る姿も観たいですからね。ただ、振付はもっと意外性があったり緩急が激しい方が私好み。


■『水平線の歩き方』

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 幸一は35歳。社会人ラグビーの選手。
 ある夜、自分のアパートに帰ると、部屋の中に女がいた。
 どこかで見た顔。彼女はアサミと名乗った。
 それは、幸一が小学6年の時に病気で亡くなった、母だった。
 親子二人で過ごした日々が、幸一の脳裏に鮮やかに蘇る。
 あの頃、母は大人に見えた。
 が、今、目の前にいる母は、明らかに自分より年下だった……。
 ≪ここまで≫

 幽霊となって出てきた母と23年振りに自室で話をする息子。本当は彼自身が病院で死にかけ(幽霊になりかけ)ていて・・・という設定には、演劇ならではのトリックがあります。

 岡田達也さんが着ていた紺色(?)のジャケットがおしゃれだったな~。裏地がいいんです。
 看護婦だった母が「看護婦という言葉の響きやかもしだす雰囲気が、すでに医療行為だ」と言うのに同感です!私も“看護士”より“看護婦”が好き。


■『ヒア・カムズ・ザ・サン』

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 真也は30歳。出版社で編集の仕事をしている。
 彼は幼い頃から、品物や場所に残された、人間の記憶が見えた。
 強い記憶は鮮やかに。何年経っても、鮮やかに。
 ある日、真也は会社の同僚のカオルとともに成田空港へ行く。
 カオルの父が、アメリカから20年ぶりに帰国したのだ。
 父は、ハリウッドで映画の仕事をしていると言う。
 しかし、真也の目には、全く違う景色が見えた……。
 ≪ここまで≫ 

 モノの記憶を透視できるサイコメトリー役は阿部丈二さん。体の動きが面白い方でした。
 「妹が相撲取りに似てる」というネタから、力士のツッパリの動きをしたり、出版社社員がなぜかハリー(岡田達也)を持ち上げたり、突拍子のない身体表現が良かったです。
 一番笑ったのは、上手で白衣の男性がつんのめったところ。わざとらしくてイイ(笑)。

 急病で降板した西川浩幸さんの代役は『水平線の歩き方』主演の岡田達也さんでした。

≪大阪、東京≫
『水平線の歩き方』出演:岡田達也 岡田さつき 前田綾 左東広之 小多田直樹 井上麻美子 鍛治本大樹 原田樹里
『ヒア・カムズ・ザ・サン』出演:阿部丈二 岡田達也 大森美紀子 岡内美喜子 三浦剛 渡邊安理 多田直人 小林千恵
脚本・演出:成井豊 美術:秋山光洋 照明:黒尾芳昭 音響:大久保友紀 舞台監督:矢島健<太郎屋> 振付:川崎悦子<BEATNIK STUDIO> スタイリスト:高木阿友子 ヘアメイク:山本成栄 音楽監督:加藤昌史 衣裳製作:佐藤美香 宣伝デザイン:井上恵 宣伝写真:堀弘子<てるうちスタジオ> チラシ写真:Sibylle Pietrek / Flowerphotos / amanaimages 宣伝イラスト:大田真理子 宣伝スタイリスト:川端恵美 宣伝ヘアメイク:伊藤麻由美<air supply> 舞台写真:伊東和則 企画・製作:ネビュラプロジェクト 製作総指揮:加藤昌史 プロデューサー:仲村和生
【休演日】6/6,13【発売日】2011/04/03 〈全席指定・税込〉 2作品券:8,000円 1作品券:4,000円
http://www.caramelbox.com/stage/halftime2011/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2011年06月09日 00:05 | TrackBack (0)