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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2011年06月13日

少年社中『天守物語』06/03-12吉祥寺シアター

 少年社中は毛利亘宏さんが作・演出される劇団です。毛利さんは青山劇場、サンシャイン劇場など大きな劇場でも活躍されています。
 好評だった前回公演を見逃したのもあり、なんとか千秋楽に伺いました。上演時間はカーテンコールを含んで2時間弱。

 泉鏡花作『天守物語』をもとに新しい物語を作られたんですね。豪華なスタッフワークで吉祥寺シアターがすみずみまで贅沢に使われていました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『天守物語

 ≪あらすじ≫ CoRich舞台芸術!より
 覚悟が出来たら、ここまでおいで―。

 白鷺城の天守閣から妖艶な婦人が地上を見下ろしている。
 婦人の名は「富姫」。そこに一羽の鷹が舞い降りる。

 「妖怪は、人を殺めると鳥となる…」

 因果は絡み縺れ、やがて愚かにも人は、
 地を鎮め、地を守る妖怪を討ち滅ぼさんとする。

 天地動乱の行く末。
 古き因果の行く末。
 人も妖怪も、ただ己の幸福を求め戦い続ける。

 少年社中がお贈りする、
 三年ぶりのジャパニーズ・エンターテインメント。

 種を超えた悲恋の行く末は、天高く飛翔する―。
 ≪ここまで≫

 天守を取り囲むように、上手手前袖から舞台面側を横切って下手奥へとつながるL字の通路があり、天守とその通路の間には深い溝があります。地上との高度差、つまり断絶があってとてもいいですね。溝に落ちるのはスリリングです。天守の屋根が斜めになってるのもかっこいい。
 衣装とヘアメイクが豪華でしたね~!和風ですがドレスの要素もあり、さらには鳥が鳥らしく見えるのも素敵。男性の袴の模様も良かったな~。凝りに凝っていて眼福です。
 鳥といえば童子役の中村龍介さんの動きがとても美しかったです。
 皆さん、日本刀や長い棒を使った殺陣がしっかりしてるのもさすがですね。

 美術、照明などのスタッフワークや、パンフレット、物販を含めた公演全体のパッケージのしかたなど、レベルがとても高いのに、なぜ私はあまり観に行かないのかなぁと考えてみたんですが、役者さんの演技方法が好みじゃないからかもしれません。図書之助役の廿浦裕介さんは今回、劇団公演で初の主演を勝ち取ったそうですが、2010年から声優としてもご活躍とのこと。やはり声優さんなんだなぁと。好みの問題かと思います。

 ここからネタバレします。

 アヤカシと人間の対立という構図は、先日観たばかりの『真夏の夜の夢』の妖精対人間と被り、どうしても比べてしまうことになりました。そのせいか納得できないことが何度かあったんですよね。たとえば互いに盲目になり心中しようとした図書之助と富姫(あづみれいか)が、なぜ酒を飲んでばかりの男性の言うことを聞いて、すんなり生きることを選んだのか。なぜあんなに急に心変わりできたのかわかりませんでした。

 「それでも人は生きる」ことを、花吹雪舞う踊りの場面であらわしていました。暗転する寸前に絵画のように残像が残り、美しかったです。

第24回公演
出演:堀池直毅、井俣太良、大竹えり、岩田有民、廿浦裕介、加藤良子、長谷川太郎、杉山未央、山川ありそ、内山智絵、竹内尚文、あづみれいか、中村龍介、柴木丈瑠、ちょーすけ、萱怜子、菊池千花、堀口大介、宮崎菜穂
原作:泉鏡花 脚色・演出:毛利亘宏 照明:斎藤伸一郎(A.P.S.) 音楽:YODA Kenichi 衣裳:村瀬夏夜 舞台美術:秋山光洋 舞台監督:杣谷昌洋 音響:井上直裕(atSound) 演出助手:佐藤信也 殺陣指導:Team AZURA 大道具:イトウ舞台工房 振付:森川次朗 ヘアメイク:林美由紀 村瀬央華 スチール:金丸圭 宣伝美術:武田和香 WEB:田中ユウコ 松本健 オブジェ製作・宣伝美術協力:真野明日人 宣伝ヘアメイク:谷口小央里 舞台撮影:カラーズイマジネーション 制作:一ツ橋美和 企画・製作:少年社中
【発売日】2011/04/23 前売 4,000円 天守割引 3,500円(前売のみ。対象回はスケジュール参照) 当日 4,500円(開演1時間前から受付にて販売)
http://www.shachu.com/tenshu/


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2011年06月13日 15:27 | TrackBack (0)