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しのぶの演劇レビュー
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2011年06月21日

ハイバイ特殊公演『七つのおいのり』06/20-26アトリエヘリコプター

 岩井秀人さんが作・演出・出演される劇団ハイバイ(⇒劇団ツイッター)の、劇団員各自が作・演出する短編集です。初日に伺いました。実話を元にしたエピソードにドキわくしつつ、かなり笑わせていただきました(笑)。上演時間は約1時間45分。

 ハイバイには常連の客演俳優が出ていることも多く、現在の劇団員のみの公演を観たのは初めてです。あぁこの人たちが“ハイバイ”なんだなぁ、やはり似た感性を持った人が集まってるんだなぁと、ほんのり幸せな気持ちに。

 22日(水)までは前売2,800円、当日3,300円で後半よりもお得価格です。22日と24日の平日マチネは公演終了後に「アフターなんとか」があり、ボツになった作品の上演があります。⇒チケット予約

 ⇒CoRich舞台芸術!『七つのおいのり

 役者さんが作・演出をする「特殊公演」だから短編発表会のような体裁になるのかな…とも想像していたのですが、そうはならず。短編ごとに潔いほど途切れますし本公演のような濃度ではないですが、平凡な日常にあるじりじり、ヒリヒリするような会話や、ちっぽけなことで熾烈に戦うぶざまな人間模様を見せてくれる、いつものハイバイらしい作品群でした。

 劇団員だけで楽しんで内向きになることなく、ちゃんと観客の方を向いた出し物になっています。不格好さや失敗をさらしただけで終わってもいません。岩井さんの徹底したエンターテイナーっぷりはさすがです。

 ロビーに過去の公演DVDがたくさん並んでいました。劇団の実績がひとつずつ増えて来たってことですね。

 ここからネタバレします。

①『あなたのために』 作・演出:永井若葉
 出演:永井若葉 上田遥 岩井秀人 平原テツ 坂口辰平 金子岳憲 吉田亮

 おそらくデパートか何かの食料品売り場のせんべえ屋さん。お客さんに「おばちゃん」と呼ばれてショックを受ける30代店員(永井若葉)が、観客に語りかけるわびしさも笑いに。チーフの岩井秀人さんのエラそうな指導っぷりが、いわゆるバカで嫌みな女上司でイイ!


②『あ、どうも』 作・演出:金子岳憲
 出演:岩井秀人 吉田亮 平原テツ 上田遥 金子岳憲

 芝居が終わった後の楽屋。知らないお客さん(金子岳憲)に知った振りをしてしまう役者たち。「“えらい人”にこびる役者」のみっともなさがハンパない。恐ろしいけど笑ってしまう。


③『ヒマをつぶす』 作・演出:吉田亮
 出演:平原テツ 上田遥 永井若葉

 暇だからしりとりをする3人。銀行強盗ごっこが始まって・・・。
 あれ、これもしかしてループしたのかな??と思わせるシーンがあり、照明も暗くなって、うっすらと恐怖を感じました。


④『姉の結婚』 作・演出:平原テツ
 出演:平原テツ 金子岳憲 岩井秀人 永井若葉 吉田亮

 平原さんのご家族の実話のようです(笑)。姉の結婚相手が福岡の西鉄に勤めるサラリーマンで、そいつ(吉田亮)の傲慢な態度がヒドイ!にへらにへら笑みを浮かべてイライラ、むかむかさせます!素晴らしい!
 観客に話しかける平原さんを、母親(岩井秀人)が無理やり引っ張って物語に戻すタイミングが絶妙。


⑤『たのしい新生活』 作・演出:上田遥
 出演:金子岳憲 上田遥 坂口辰平

 同棲を始める舞台俳優の若いカップル(金子岳憲&上田遥)。不動産屋でアパートを契約しようとするけれど・・・。
 アルバイトで生計を立てているのに「職業は俳優です」とがんばるのが、可愛いんだけどバカすぎる。役者の年収計算⇒ギャラはなくてノルマがある。でもノルマを越えるとキャッシュバックがある。2500円のチケットでノルマは40枚。70枚売るから1枚300円×30枚のキャッシュバックとなり1公演で9,000円の儲け。公演には年2回出るから年収18,000円。う~んはっきりと数字で聞くと驚くべき実態だ。
 レミゼの現場に入る大工さんで年収480万円って素敵。大工でいいじゃん!かっこいいじゃん!


⑥『父の怒り、火の如く』 作・演出:坂口蓋平
 出演:金子岳憲 岩井秀人 坂口辰平 平原テツ

 娘がグラビアアイドルもしくはAV女優になってしまった父親たちの悲哀とプライド。そんな父親たちが集まる悩み相談室があり、専門の講師(平原テツ)がいるという設定がすごく面白いです。AVファンの男性から父親たちに励ましのハガキが届くなんて、よく考えつくなぁ(笑)。
 どんぐりの背比べというか目くそ鼻くそというか(失敬!)。じたばたと言い争う男たちのみっともなさ。


⑦『金子の誕生日』作・演出:岩井秀人
 出演:金子岳憲 岩井秀人 上田遥 坂口辰平 平原テツ 永井若葉 吉田亮 声の出演:羽場睦子

 一緒に暮らすほど仲の良かった岩井さんと金子さんのエピソード。お互いに誕生日のサプライズを準備する2人を対照的に。
 無言の間(ま)に充満するばつの悪さ、かっこ悪さの見せ方は絶品。観客に話しかけつつ主役(自分自身)を演じる岩井さん、さすが、鉄板です。どうなるかわかっていても、笑わせてもらえました。

作・演出・出演:岩井秀人、金子岳憲、永井若葉、坂口辰平、上田遥、平原テツ、吉田亮 舞台監督:川除学(至福団) 照明:松本大介 宣伝美術:土谷朋子(citron works) 宣伝写真:Yuji Takano 記録写真:曳野若菜 記録映像:杉田協士 当日運営:湯川麦子 制作:藤木やよい 企画協力:三好佐智子 主催:ハイバイ・quinada
【発売日】2011/05/07 6月20日~22日 前売:2,800円 当日:3,300円 6月23日~26日 前売:3,000円 当日:3,300円 ※演出の都合上、開演後はご入場をお待ちいただく場合がございます。※未就学児童の入場はご遠慮下さい。
http://hi-bye.net/2011/05/06/1354


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2011年06月21日 00:43 | TrackBack (0)