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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2011年10月27日

新国立劇場演劇『イロアセル』10/18-11/05新国立劇場小劇場

 倉持裕さんの新作戯曲を鵜山仁さんが演出されます。新国立劇場の演劇部門にとっては、厳密な意味で震災以降初の新作ですね。⇒合同制作発表会

 10/25以降、すべてのステージのカーテンコール直後に藤井隆さんのトークがあります。藤井さんが他の出演者を誘って10分ほどおしゃべりされます。誰が出るかはその日ごとに違うようです。

 ⇒CoRich舞台芸術!『イロアセル

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 ある小さな島。その島民の言葉には色があり、
 それそれ異なる固有の色を持っている。
 いつどこで発言しても、その色によって
 誰の言葉かが特定できてしまう。
 そのため、この島の住民はいつも慎重に発言し、
 決してウソをつかない。
 ある日丘の上に檻が設置され、
 島の外から囚人と看守がやってくる。
 この男との会話はなんと無色透明。
 やがて島民が次々と面会に来て、
 打ち明け話をしていく。
 ≪ここまで≫

 私が観たのは平日マチネだったんですが、オープニングがぎくしゃくしているように感じました。ステレオタイプかつレトロ(というか時代遅れ)なSF感を出すことで、寓話の世界に連れて行こうとしてくれたのかもしれませんが、あんないきなりでは入り込めないです。
 最後まで観て、設定もストーリーも面白いと思いました。でも私には演技、空間、転換などについて、全体的に演出がフィットしてると思えなかったですね。倉持さんの演出だったらどうなったんだろうな~。

 なぜ藤井隆さんが主演なのかと何度も考えながら観ることになりました。藤井さんは真摯にがんばってらっしゃるし、好感も持てます。でも演技は上手ではありません。なぜ、彼なのか。テレビによく出ている人気スターだからなのだろうという結論に落ち着いてしまいました。

 ここからネタバレします。

 純真な女の子が囚人の利き指を切り落とすのに納得。最後には、ある大事故で島の人々の声と文字から色が消えてしまいます。新体操みたいな架空のスポーツと、はるか遠くの喝采、熱狂。『不満足な旅』『審判員は来なかった』を思い出したり。

 ≪カーテンコールに付随したトーク≫

 カーテンコールの拍手の後、藤井さんがステージに残って島田歌穂さんを呼び止めて、お2人によるトークが始まりました。何も打ち合わせをされていなかったようで、内容は世間話のようなものでした。知名度の高い藤井さんのファン向けのイベントなのでしょうか。島田さんのファンも多いでしょうね。

 舞台天上部のパネルに映写される動画は、役者さんの声に反応してできるそうで、つまり各ステージごとに全く違う絵になるそうです。うーん、でも観客は観劇中に動画を出す技術・方法を知りようがないし、知らなくてもいいので、大事なのは舞台成果なんじゃないかしら。私個人としてはあの動画は美しいと思えなかったです。特に最初の黒い絵。やはり私はオープニングでつまづいたんですね。
 あと、島田さんは開場前に劇場ロビーで柔軟体操をされているそうです。

 私は劇作家、演出家目当てでお芝居を観ることが多い演劇フリークで、新国立劇場公演の場合は「新国立劇場が世界に向けて発信する舞台が観たい」と思って通っています。だからこういった、明らかに客寄せ目的だとわかる軽率なイベントには閉口してしまいます。作品で勝負して欲しいですし、何かやるならちゃんと準備して欲しい。新国立劇場の実績に、歴史に恥ずかしくない企画にして欲しいです。
 私はこのトークが始まった最初の回を拝見しましたので、もう改善されているかもしれません。そう望みます。

【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─Ⅱ
出演:藤井隆 木下浩之 小嶋尚樹 松角洋平 花王おさむ ベンガル 島田歌穂 加藤貴子 高尾祥子 剣幸 
脚本:倉持裕 演出:鵜山仁 美術:乗峰雅寛 照明:服部基 映像:鈴木大介 音響:栗原亜衣 衣裳:黒須はな子 ヘアメイク:佐藤裕子 演出助手:斎藤栄作 舞台監督:北条孝
【休演日】10/24,31【発売日】2011/08/06 A席 5,250円 B席 3.150円 Z席 1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000436_play.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2011年10月27日 17:01 | TrackBack (0)