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2011年12月27日

中野成樹+フランケンズ『ゆめみたい(2LP) ハムレット「シェイクスピア」より』12/23-27川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場

 中野成樹さんが誤意訳、演出(出演も)される劇団中野成樹+フランケンズの新作です。うーん、退屈でした・・・。『ハムレット』は色んな種類を観てますので、期待が大きすぎたのだと思います。

 2LPとは「LPレコード2枚分」から来ているそうです。そういえば90分は45分の大判レコード2枚分の長さですね。
 当日パンフレットは封筒の底部分を切り、筒状にして2つに折ったもので、チケットは丸いレコード型でした。2回観たらパンフに2枚のチケットが入って、2枚組みLPレコードになるんでしょうね。凝ってる!!

 ⇒トゥギャッター「中野成樹+フランケンズ『ゆめみたい(2LP)』感想まとめ
 ⇒CoRich舞台芸術!『ゆめみたい(2LP)

 舞台中央に大きな壁がそそり立ち、ステージを左右にぱっくりと分けてしまっています。なんとその壁が客席の中央あたりまで延びていて、観客も分断され、上手側の席だと舞台下手が、下手側の席だと舞台上手が、壁にさえぎられて見えない舞台美術(劇場空間?)になっていました。私はその挑発に乗って下手側の席へ。

 役者さんが壁に空けられた出入り用の穴(サイズ、形状はドア大)を頻繁に行き来して、舞台の上下の両方で演技をします。両側の観客がすべてを理解できるようにとの配慮なのでしょうが、わざとらくて興ざめ・・・。だったら壁なんていらなかったんじゃないかと思いました。『長短調』みたいに、もっともっと反対側が見えない方が良かったな~。「それでも面白い」「見えなかった方も観たい」と思わせて欲しい。

 あと、役者さんがロボットみたいで退屈でした。これは好みの問題でしょう。
 翻訳は現代口語がはさまれるのが楽しかったです。いわゆる名台詞が省かれているのも面白いですね。

 ここからネタバレします。

 2枚のレコード、つまりA、B、C、Dの4面(4幕)に分かれていることを匂わせる演出もありましたが、効果的とは思えず。「90分でを上演する」というお題目にこだわりすぎて、肝心の『ハムレット』が薄れてしまったというか。アイデア、挑戦、遊び心が空回りしている印象。

 舞台奥に大きな人形(チラシに載ってる愉快な子)がひょっこり顔を出していて、彼(彼女?)が俯瞰的な視点からしゃべっていましたが、あれじゃ物足りなかったですね。せっかく出ずっぱりなんだし、作品をぶち壊すぐらいに存在感を示す場面があってもいいのにな~と思いました。

 最後は「フォーティンブラス軍に攻められて滅びた」という解釈でした。フォーティンブラス(洪雄大)が死んで横たわるハムレットらを全く気にかけず、下手にテクテクと去って、あっけなく終わるのが良かったです。

 死んだ王とハムレットを、ハムレットシニア、ハムレットジュニアという風に分けて呼ぶのはわかりやすかったですね。親子(中野成樹&村上聡一)でこっそり毒殺のエピソードを話す場面は笑ったな~。

出演:村上聡一、福田毅、竹田英司、田中佑弥、洪雄大、野島真理、石橋志保、斎藤淳子、小泉真希、北川麗 トロンボーン:後藤篤
誤意訳・演出・出演:中野成樹 翻訳:長島確 ドラマトゥルク:熊谷保宏 美術:青木拓也、照明:富山貴之、音響:小宮聖子、衣装:今村あずさ、舞台監督:小林英雄
【発売日】2011/11/01 (全席自由・日時指定・税込): 一般3,500円、ユース3,000円、高校生以下2,000円 ※ユース(27歳以下)、高校生以下は公演当日に要証明書提示
http://frankens.net/
http://www.facebook.com/yumemitai

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2011年12月27日 10:23 | TrackBack (0)