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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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2011年03月10日

シーラカンスプロデュース『戯伝写楽-その男、十郎兵衛-』03/10-27吉祥寺シアター

 『戯伝写楽』は劇団☆新感線の座付き作家である中島かずきさんの戯曲で、昨年ミュージカル化されました。今回はストレートプレイでの上演です。演出は柿喰う客の中屋敷法仁さん。

 声優としても有名な朴ろ美さん(※ろは王へんに路)がプロデュースする公演で(朴さんは出演されません)、主演は同じく声優の宮野真守さん。宮野さんは劇団ひまわり所属の役者さんでもあり、舞台経験も豊富な方なんですね(テニミュなど)。

 ある意味チラシのビジュアルに忠実な、暗さと重みが前面に出た舞台に仕上がっていました。上演時間は約1時間40分。

 ★3月10日に拝見しました。翌日昼に地震が起きました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『戯伝写楽-その男、十郎兵衛-
 レビューは記録のみ。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 寛政5年(1793)、喜多川歌麿の美人大首絵が大人気の江戸に、ある男がいた。
 男の名は斉藤十郎兵衛。
 ある日、十郎兵衛は友人・与七と共に繰り出した盛り場で、不思議な女・おせいに出会う。
 流れの絵描きと名乗るおせいの描く絵の独特な筆使いは、とても余人には真似が出来ない。
 そう直感的に感じた十郎兵衛は、おせいの絵で一儲けを企む。
 翌日、蔦屋重三郎の店に一枚の絵を持って現れる十郎兵衛。
 差し出す絵を見た蔦重は、その迫力に驚き、同時に歌麿以上の才能の発見に喜び、十郎兵衛に大金を与えて新作を頼むのである。
 「雅号は・・・写楽だ。写すのが楽しいと書いて写楽。東の島・東洲斎、東洲斎写楽!」
 十郎兵衛の企み通り、写楽の絵は瞬く間に江戸で大人気となる。
 しかし、不思議な女・おせいはとりつかれたように、ひたむきに絵に打ち込む。
 そこに現れたおせいの過去を知る鉄蔵・・・。

 史実としても謎の多い東洲斎写楽への新しい解釈や与七(後の十返舎一九)、鉄蔵(後の葛飾北斎)とのまことしやかな関係も巧に盛り込む「戯伝写楽-その男、十郎兵衛-」。
 様々な才能の融合によってどのような舞台に出来上がるのか、ぜひその目でお確かめください!
 ≪ここまで≫

古代魚企画Vol.1
出演:宮野真守、城戸愛莉、板倉チヒロ、玉置玲央、初音映莉子、有川マコト、矢内文章、大橋一輝、板橋駿谷、五十嵐絵里、池亀未紘、中山有子、山本真由美、山崎健二、中村まこと
脚本:中島かずき 演出:中屋敷法仁 美術:原田愛 照明:浜崎亮 音響:藤田赤目 音楽:佐藤こうじ 衣裳:西原梨恵 演出助手:入倉麻美 舞台監督:棚瀬巧+至福団 宣伝写真:森善之 宣伝美術:今城加奈子 題字:大松敬和 宣伝ヘアメイク:大宝みゆき 票券:嶋口春香 制作助手:時澤香保里/丸山立 制作:赤羽ひろみ/斎藤努 Producer:朴ろ美 制作協力:ゴーチ・ブラザーズ 協力:財団法人武蔵野文化事業団 企画製作:シーラカンスプロデュース
【休演日】3月23日(水)【発売日】2011/01/22 一般:5800円 バルコニー席:3800円(全席指定・税込)
http://www.gsharaku.com

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:05 | TrackBack

こまつ座『日本人のへそ』3/08-27 Bunkamuraシアターコクーン

 井上ひさしさんの劇作家としての本格的なデビュー作『日本人のへそ』を、これまでに同作を2度演出したことのある栗山民也さんが演出されます。小曽根真さんが今回のために音楽を作曲し、舞台上で生演奏されます。

 と~~っても楽しかったーーーーーっ!!踊って歌っての音楽劇で前半1時間50分はあっという間。後半はどんでん返しの連続です。スタッフワークにも役者さんにも大満足の約3時間。セリフはかなりエッチですので(笑)、心の準備をして劇場へどうぞ。

 井上ひさし追悼号となった公演パンフレット『the 座』(1400円)は保存版だと思います。

 ⇒CoRich舞台芸術!『日本人のへそ

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 東北岩手から集団就職で
 上京した田舎娘は希望に胸膨らませていた。
 しかし現実は、希望に膨らむ胸でなく、
 彼女のはじけそうな二つのオッパイに、
 男達の欲望がふくれてあがる。
 職を転々、男を変転と流転続きで、
 果てはストリッパーへと転落なのか・・・・、
 いやいや、男の玉を手玉にとって、
 天下に成り上がる。
 その娘の名前は、
 ――― ヘレン天津。
 ≪ここまで≫

 音楽が、歌が、とにかく楽しいです!小曽根真さんが舞台上で、ある登場人物として演技をしつつ、ピアノを演奏されます。なんて贅沢!振付担当は謝珠栄さん。音楽やストーリーにぴったりの、派手で面白い動きにわくわくします。
 出演されている女優さんは5人で、全員がストリッパー役を演じます。ストリッパーの本番用の衣裳を着るので、ドキっとするほど肌を露出されています。みなさんとってもきれい♪

 歌と踊りで元気に見せていく場面で、なぜか泣けてきてしまいました。例えばストリップ小屋で働くコメディアンたちや、ストリッパーたちが自分たちの生活について歌うところ。重労働だけれどお給金は少なく、不満をもらしながらも懸命に生きる彼らの姿を、井上さんが大切に言葉にしてくださっているからだと思います。

 笹本玲奈さんは可愛らしい丸顔で幼い印象もあったのですが、背が高くてスタイルも抜群なんですね!細くて長い、でも肉付きのいいおみ足、そして豊かな胸に目は釘づけ!歌はもちろんお上手ですし、演技もみずみずしく、鮮やか。ストリッパーとしてのなまめかしいダンスも凄かった。
 たかお鷹さんがサイッコーーーーーーに面白かった!どんな役を演じられても可笑しい!

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 吃音症(きつおんしょう)、いわゆる“どもり”の患者が、どもりを矯正するためのプログラムとして演劇を上演します。吃音矯正を専門に研究する教授(辻萬長)の指導のもと、ヘレン天津という名前のストリッパー(笹本玲奈)の半生を、劇中劇として描くのが第一幕。岩手の女学生が上京し、さまざまな職業を転々とした末にストリッパーとなり、やがてやくざの女、政治家の女へとのし上がっていきます。
 辻萬長さんが岩手から上野までの駅名を言い続ける場面がありました。本当に全部覚えて言ってるんだと思うと、可笑しいやら悲しいやら、なんとも言えない気持ちになって涙ぐんでしまいました。
 「日本のボス」という歌は、音楽も歌詞もとても面白かったです。たとえば「政治家は腹をわって・・・」と、政治家の歌はすべて「腹」にまつわる言葉になっているんですよね。

 第二幕では装置も雰囲気も一変し、舞台は教授役を演じていた政治家(辻萬長)の邸宅となります。やくざ役などを演じていた石丸幹二さんが、本物の教授でした。第一幕は、政治家が劇の最中に背中をナイフで刺されて倒れる場面で終わり、第二幕はその犯人を探す推理劇となるのです。
 強い右翼思想を持った男性(たかお鷹)が「陸軍はみんなホモ」などというセリフを言います。演技も可笑しかったので爆笑しましたが、ものすごいこと言ってますよね。天皇陛下についても・・・。演劇だから、フィクションだから言えるし、笑いとばせるんですよね。言論の自由を謳歌する演劇だと思います。もちろん皮肉もこめているのでしょうけど。

 ヘレンの恋人は教授(石丸幹二)ではなくピアニスト(小曽根真)だった、という衝撃の事実が明るみに出たところまでが、吃音矯正のためのお芝居だったという結末。やはり教授(石丸幹二)以外は全員、吃音症の患者だったのです。さらに最後の演出(装置が舞台奥へとスライドし、黒幕が天井へと上がって劇場の壁が露出する)で、「吃音症の患者たちもまた劇の登場人物だった」という入れ子構造となります。

 人間は嘘の中に生きながら、自分もいつも嘘をついている。つまり演技をしているんですよね。シェイクスピアは「全世界は舞台。そして、すべての男も女もその役者にすぎない」という名ゼリフをのこしていますが、このお芝居ではよりポジティブな意味にとらえられました。何もかもが嘘(芝居)なのだから、自分で嘘の中の真実を見つけて、自分から嘘を楽しん生きていきたいなと思います。

井上ひさし追悼ファイナル こまつ座九十三回公演「日本人のへそ」
2011 都民芸術フェスティバル参加公演
≪東京、山形、大阪、市川、知立≫
出演:石丸幹二、笹本玲奈、辻萬長、植本潤、吉村直、古川龍太、久保酎吉、明星真由美、今泉由香、高畑こと美、町田マリー、たかお鷹、山崎一、小曽根真
脚本:井上ひさし 演出:栗山民也 音楽:小曽根真 振付:謝珠栄 美術:妹尾河童 照明:勝柴次朗 音響:山本浩一 衣裳:渡辺園子 ヘアメイク:鎌田直樹 歌唱指導:伊藤和美 満田恵子 宣伝美術:ペーター佐藤 アベキヒロカズ 演出助手:豊田めぐみ 舞台監督:増田裕幸 制作:井上麻矢 瀬川芳一 谷口泰寛 辻瑛美 馬場順子 主催:こまつ座、テレビ朝日 提携:Bunkamura
【休演日】3/15,22【発売日】2011/01/22 S席8,400円 A席6,300円 コクーンシート5,000円 学生割引5,000円(全席指定・消費税込み)*学生割引は、中学、高校、大学、各種専門学校ならびに演劇養成所の皆様を割引いたします。(全席種共通) *A席・コクーンシートはこまつ座・Bunkamuraチケットセンターのみの取り扱いとなります。 *コクーンシートは2階席左右のバルコニー席です。舞台上で見えない部分がございます。ご了承のうえ、ご予約、ご購入ください。 *車椅子でご来場のお客様は、チケットをご購入後お早めにこまつ座(03-3862-5941)までお知らせください。
http://www.komatsuza.co.jp/contents/performance/
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_11_heso.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:22 | TrackBack

NODA・MAP『南へ』02/10-03/31東京芸術劇場中ホール

 妻夫木聡さん、蒼井優さんら豪華キャストが競演する野田秀樹さんの新作です。⇒制作発表。上演時間は約2時間強(カーテンコール3回込み)。

 パンフレット(1000円)に掲載された本谷有希子さんの稽古場レポートがとても面白かったです。セゾン文化財団が発行する「viewpoint」No.54に掲載されている倉持裕さんの寄稿もお勧めです。1970年代生まれの売れっ子劇作・演出家の問題意識に触れられると思います。

 ⇒CoRich舞台芸術!『南へ

 ≪あらすじ≫
 地震のような揺れが頻繁にある火山観測所に、自殺未遂をした女(蒼井優)がかつぎ込まれた。やがて新任の観測員(妻夫木聡)がやってくる。彼は自らをミナミノリヘイと名乗るが・・・。
 ≪ここまで≫

 役者さんを通じて舞台から熱は伝わってくるんですが、観客(私)は“ただ観てる人”だったとといいますか、私個人としては舞台と双方向の気持ちのやり取りができず、遠くから「眺める」状態でほとんど最後まで。

 大勢のアンサンブルが息を合わせてシステマチックに動いて場面転換します。特に舞台を斜めに横切るのが美しかった。

 過去を忘れて、自分が何者なのかも忘れたまま生きている“日本人”のお話だったように思います。

 ここからネタバレします。

 無数のパイプイスと大勢のアンサンブルのコラボレーション。300年前の集落と、大勢のマスコミが集まる現代が交錯するのが面白かったです。マスコミは『ザ・キャラクター』でも描かれていましたね。

 “天皇”の“お墨付き”を得てうまく生きようとしても、それは自分本位の思考から生まれた幻で、役には立たない。それどころか利用され命を落とすことにも。「日本人なら腹を切れ」という流れから、行幸の列は日本兵の行進へと変容。
 「南」と「北」は朝鮮半島のことだったのかな・・・わかりません。

第16回公演
出演:妻夫木聡、蒼井優、渡辺いっけい、高田聖子、チョウソンハ、黒木華、太田緑ロランス、銀粉蝶、山崎清介、藤木孝、野田秀樹、玉井夕海
アンサンブル出演:大石貴也 大西智子 小野ゆり子 川原田樹 菊沢将憲 木村悟 草野千裕 黒瀧保土 近藤彩香 佐々木香与子 佐々木富貴子 佐藤悠玄 下司尚美 白倉裕二 武田靖 手打隆盛 冨永竜 長尾純子 永田恵美 根本大介 野口卓磨 橋本ゆりか 益山寛司 益山貴司 三明真実
作・演出:野田秀樹 美術:堀尾幸男 照明:小川幾雄 衣裳:ひびのこづえ 選曲・効果:高都幸男 作調・演奏監修:田中傳左衛門 振付:黒田育世 映像:奥秀太郎 ヘアメイク:宮森隆行 舞台監督:瀬崎将孝 プロデューサー:鈴木弘之 主催・企画・製作:NODA・MAP 提携:東京芸術劇場(公益だ財団法人東京都歴史文化財団)
【休演日】2/14,21,28 3/7,14,22,28【発売日】2011/01/08一般発売日:1月8日(土)10:00~ S席9500円 A席7500円 サイドシート5500円(25歳以下3000円)※高校生割引チケット1,000円は抽選受付:1/11(火)~16(日)※未就学児童の入場不可。
http://www.geigeki.jp/saiji/030/index.html
http://www.nodamap.com/productions/toSouth/


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

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Posted by shinobu at 00:31 | TrackBack