2011年10月05日
四つ子『四つ子の宇宙』10/01-16アトリエヘリコプター
岩井秀人さん(ハイバイ)、江本純子さん(毛皮族)、前田司郎さん(五反田団)、松井周さん(サンプル)がともに脚本を書いて演出して、共演する舞台。これだけで必見でしょう。
めちゃくちゃ面白かったです・・・!ある場面でお腹がよじれるほど笑わせていただきました(笑)。私が観た回の上演時間は約1時間50分。
内容的に私なら高校生以上推奨ですね。ぜひ高校生にも観てもらいたい!演劇ってこんなに自由に何でも生み出せて、物なんか何もなくてもこんなに面白いんだってことわかるんじゃないかな~。
※ご参考までに、隣りに座っていたお友達は「(内容的に)中学生でも大丈夫でしょう」。終演後にお会いした制作さんは「ダメ!大学生以上!」。席によるのかも。私はひな壇の最後列でした。
⇒CoRich舞台芸術!『四つ子の宇宙』
レビューは記録程度です。
≪あらすじ≫ ※少々ネタバレしています。
今からおよそ100年後。新しいエネルギーを探しに宇宙へと旅立った大手電池会社の男性3人と女性1人。1人各10年間の当番制で(他の3人は冷凍睡眠)、往復40年かけて地球に帰還する予定だ。
≪ここまで≫
流れは決まっているのでしょうけどアドリブが多そう・・・というより、演技が非常に緻密で自然だから、アドリブに見えるのかもしれません。いえ、実際アドリブの連続で進む場面は多いと思います。でもそれがダラリと崩れたり内輪受けにならないんですよね。さすがです。
ここからネタバレします。
松井周さんが両性具有になるために自分で手術をするシーン。もう・・・やめて!、松井さん、もういいから・・・!!!って叫びたくなるぐらい笑いました。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:出演者全員
エチュードでシーンを作っていって、最終的にセリフが全て書かれた脚本はなかったようです。起こる出来事が書かれたものが数枚だけとのこと。
脚本・演出・出演:岩井秀人(ハイバイ) 江本純子(毛皮族) 前田司郎(五反田団) 松井周(サンプル)
照明・音響:山口久隆(S-B-S) 演出助手:郷淳子 衣裳:正金彩 宣伝美術:two minute warning web:斎藤拓 制作助手:島村楓 東川佳子 制作:Little Giants 企画・製作:四つ子
【休演日】10/6,13【発売日】2011/08/28 全席自由・前売、当日とも 3,500円
http://4go.main.jp/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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劇団民藝『カミサマの恋』10/05-19紀伊國屋ホール
1950年から続く老舗劇団の劇団民藝に、渡辺源四郎商店の劇作家・演出家・俳優の畑澤聖悟さんが新作を書き下ろされました。主演は奈良岡朋子さん!畑澤さんと奈良岡さんのファンである私にとって見逃す手はないお芝居です。
全部受け取ってから、ゆっくり温かく返す奈良岡さんの言葉にボロ泣き。上演時間は約2時間。一般6,300円ですが夜公演の後部席なら4,000円で観られます。学生割引は3,150円。
ロビーで戯曲が掲載された雑誌を買いました。ありがたいです。
⇒CoRich舞台芸術!『カミサマの恋』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
まだそこここに雪の残る津軽。"カミサマ"遠藤道子のもとへは嫁姑問題、息子の受験、息子の結婚相手探しなどなど何かしら家庭の悩みごとを抱えた人びとがひっきりなしに訪れている。相談者の話を丁寧に聞いてやり、神様の言葉と適切な助言で心をほぐしてゆく道子は、近隣の人びとから信頼を集めている。そんな道子には息子として育てた銀治郎がいる。何年も連絡がなかった銀治郎がある日突然あらわれ、神妙な面持ちで道子に頼みごとを持ちかける。なにやら隠していることがある様子だ。そんな銀治郎を見守る道子の目には、むかし事故で死んだ婚約者の姿が重なって見えてくるのだった……
≪ここまで≫
いわゆる“お芝居”です。小劇場演劇を見慣れている観客には「まどろっこしいな」と感じる演出もあるかと思います。そういうものだと思ってリラックスして心を開いて座っていれば、長い歴史のある劇団で培われてきた、どっしりとした大らかさを肌で感じることができると思います。
やわらかい津軽弁の優しさに包まれて、「人の痛みがわかること」の大切さが身にしみました。私は「思いやりを持ちなさい」とか「人の気持ちを考えなさい」とか、小学校でよく先生に言われていました。でも大人になってからわかる「思いやり」の意味もありますよね。年をとった人間には誰にも言えない秘密があるものですし、取り返しのつかない過ちも犯しています。自分がダメ人間だから、自分がひどく傷ついたことがあるから、他人のダメさを許せるし、傷を傷と認めて優しく接することができるはず。私もこの年になるまで生かされてきて、それなりの人生経験はさせてもらったのだから、他人の痛みがわかる・・・ところまでいけなくとも、せめて痛みを想像して寄りそうぐらいはできるようになりたいです。
民藝公演の客層は、若者がいるとちょっと目立つぐらい、ご高齢の方が多いです。昔からずっと民藝に通っているお芝居通のお客様が多いんじゃないかと想像。もちろん奈良岡さんのファンも大勢いらっしゃると思います。そんな客席にも畑澤聖悟さんの戯曲は歓迎されたようでした。カーテンコールでは手拍子も起こって暖かでした。
ここからネタバレします。
カミサマ(奈良岡朋子)は死んだ人の霊を呼んできて、その人の声を自分を通して伝えることができます。それが本当なのか嘘(演技)なのか。曖昧さを残しているのが面白いです。
カミサマの息子(実はカミサマの夫の生まれ変わり?)と、息子の妻の生まれ変わりの(演技をしていた)女性との別離場面は、演じ方も演出も、他のやりようがあるんじゃないかと思いました。
カミサマの孫娘(本当は血がつながっていない)の名前が“しのぶ”でした。何度も呼ばれるので、自分に言ってくれているように感じて(←自意識過剰)、また泣いてしまった(笑)。帰宅して父にお線香をあげました。
【出演(役名…俳優名)】遠藤道子…奈良岡朋子 下条由紀…藤巻るも 遠藤銀治郎…千葉茂則 遠藤しのぶ…小嶋佳代子 唐牛サイ子…塩屋洋子 唐牛信一…梶野稔 工藤志野…箕浦康子 工藤瑞穂…望月ゆかり 工藤政志…天津民生 石田幸子…船坂博子 石田雅春…行田旭 久米田玲子…飯野遠 久米田大…武藤兼治
脚本:畑澤聖悟 演出:丹野郁弓 装置…加藤ちか 照明…沢田祐二 衣裳…緒方規矩子 効果…岩田直行 舞台監督……中島裕一郎
【発売日】2011/08/24 一般6300円、学生割引3150円(劇団のみ取扱)、NIGHT TICKET4000円(夜公演・後部席限定)
http://www.gekidanmingei.co.jp/2011kamisama.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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