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2011年11月21日

悪い芝居『駄々の塊です』11/17-21王子小劇場

 悪い芝居は山崎彬さんが作・演出(出演も)される京都の劇団で、団体名の由来は『悪いけど、芝居させてください。の略』。東京でも何度か公演をされていて、私は初見です。

 王子小劇場の公式ツイッターなどから知人の好評な観劇感想が届いてきたので、千秋楽を観に行きました。上演時間は約1時間35分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『駄々の塊です

 ≪あらすじ≫ CoRich舞台芸術!より 改行を変更。
 山の頂きにその動物園はあった。
 麓の街を追われた一万は飼育員として働いていた。
 ある夜、動物園の動物がすべていなくなるという事件が起こる。
 事件の翌朝、動物園に突如現れた股間が光る男は、ツタヤにDVDを返しに行きたい。
 事件の翌朝、麓の街から直は、兄のいる動物園に向かう。
 事件の翌朝、体の側面に火傷後がある誰太は、点子を後部座席に乗せ、そのリムジンを動物園へと向かわせる。
 動物園に偶然居合わせることになった人間たちが再び、動物を追って麓の街を目指すとき、街は最後の夜を迎える。
 ≪ここまで≫

 正方形(と思われる)台の上に、窓付きの小屋やスロープなどが載せられた装置。手動でぐるぐると回転します。動く照明器具で、装置や劇場の壁に絵を描くような派手な演出が施され、ミラーボールやレーザービームのような照明も、回る装置と相まって効果的。

 役者さんのおぼつかない演技が気にかかって、集中して観られませんでした。私は基本姿勢が俳優重視なので、そういう感想になってしまいます。

 ここからネタバレします。

 金髪の男性が小屋の上に登り、天井からつりさげられたマイクを使って演説をするオープニングがかっこ良かったです。後から知ったんですが、この方が作・演出の山崎彬さんなんですね。幕開けは回る装置の上に乗った役者さんたちが、けっこう大きな声でセリフを発してらしたんですが、聴こえづらかったです。音楽の音量のせいもあるでしょうけど、発声方法の問題もあるんじゃないかしら。

 装置を回転させて色んな景色を見せてくれました。装置自体の色が白色および灰色系なので、照明の色が映えます。中央にある小屋は電話ボックスみたいだな~と思ったり。でも窓に格子があるので牢屋風。ヘッドライトと連携して車になるのが面白かった。

 最後の「けものの…」というセリフでストンと納得。動物園から動物が消えて、動物の匂いが消えていたのですが、人間たちが野生を取り戻した時に、動物(けもの)も還ってきたという意味かと。

悪い芝居vol.12 ≪京都、東京≫
出演:池川貴清、大川原瑞穂、植田順平、呉城久美、宮下絵馬、畑中華香、森井めぐみ、山崎彬、仲里玲央、大原渉平
脚本・演出:山崎彬 【舞台監督】大鹿展明【美術】東野麻美【照明】西崎浩造(キザシ)【照明操作】中島美沙希(キザシ)【音楽】岡田太郎【音響】中野千弘(BS-Ⅱ)【衣装】小柴友美恵【演出助手】進野大輔 大原渉平(劇団しようよ)【演出部】北岸淳生 奥田覚【web】植田順平【宣伝美術】植田順平 山崎彬【広報】渡邊真【メンバー】西岡未央【制作】有田小乃美【制作協力】坂本もも(ロロ/範宙遊泳)【企画・製作】悪い芝居
【発売日】2011/10/10 事前振込2500円、当日精算3000円、当日券3300円 (学生は500円引※要学生証) 中高生割引3人で3000円
http://waruishibai.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:02 | TrackBack

【オーディション】新国立劇場演劇研修所「第8期生(2012年度4月開講)募集」※12/10~16〆切(郵送のみ)

 新国立劇場演劇研修所第8期生募集要項が公示されました(⇒昨年の告知記事)。当サイトを「新国立劇場演劇研修所」で過去ログ検索していただければ、関連エントリーは多数あります。

 新国立劇場演劇研修所は日本唯一の国立の俳優学校。年齢制限は18才以上・30才以下。研修期間は3年間で、研修は“原則的に”(月)~(金)の週5日間フルタイム(午前10時から午後6時)です。授業料(予定)は年額18万9千円で毎月奨学金あり(月額6万円支給 ※ただし3年次はなし)。募集人数は12名程度。⇒講師陣のプロフィール

 今年の夏に開講された「NNTドラマスタジオ・オープンスクール」に参加された方が、非常に詳しいレポートを書かれています。ご興味持たれた方は是非ご一読ください。どんな授業が行われているかがよくわかります。同じ方が書かれたこちらも参考になるかもしれません。

 ■新国立劇場演劇研修所・第8期生募集 ⇒公式サイト
  受験申請の受付期間:2011年12月10日(土)~16日(金)(消印有効)
  受験料5000円も同期間に振込むこと。
 ★募集要項と願書はパソコンからダウンロードできます。
  ⇒演劇研修所「授業見学会」での質問にお答えします(2010年12月)

■演劇研修所 第8期研修生の募集について

 新国立劇場演劇研修所では、プロの俳優を目指す第8期研修生を募集いたします。たくさんのご応募をおまちしております。

<募集概要>
1.募集人数 12名程度

2.応募資格
 1)プロフェッショナルな俳優としての舞台活動を目指していること。
 2)高等学校卒業もしくは同等の資格を有すること
 3)平成24年4月1日現在で満18才以上、満30才以下
 4)心身共に健康であること
 5)外国籍の人の場合、日本語が理解できること、および、研修期間中の日本国滞在許可が取得できること。

3.試験日程
 第1次試験:2012年1月14日(土)・15日(日)のいずれか1日
 第2次試験:2012年1月20日(金)
 第3次試験:2012年1月22日(日)
 ※試験は芸能花伝舎(新宿区西新宿)、及び新国立劇場リハーサル室(渋谷区本町)でおこないます。

4.受験料 5,000円 *振込手数料はご負担下さい。

 第8期生の募集要項・願書はこちらからダウンロードしていただけます。

<研修概要>
1.研修期間 3年間
  ※第8期生は平成24年(2012年)4月から平成27年(2015年)3月まで

2.研修日・時間 原則として(月)~(金) 10:00~18:00
  ※土・日・祝や夜間に稽古がある場合もあります。

3.主な研修内容
 3年間の研修で、明晰な日本語を発語し、柔軟な身体表現を習得するために、①演技、②ムーブメント、③ヴォイスの基礎訓練を重ね、これらを俳優の演技として表現できるステップにまで高めていきます。1年次では、日本語表現がいかなる技法によって支えられているかを体験し、戯曲、詩、散文をテキストに用い、文章表現に対する理解力と声がいかに台詞として実体化されていくプロセスを探究します。2年次では、「シーンスタディ」を中心にしたカリキュラムとなり、様々な役柄に挑む過程で、俳優として最も大切な自らのキャラクターを創造していく意志を築きあげます。また研修には、舞台表現として必要とされる技芸(歌唱、殺陣、日本舞踊、ダンスなど)にあわせて、演劇史や芸術理論、劇作家や美術家のレクチャーなど座学も盛り込まれています。3年次は、舞台人としての表現を確立するための実践的な舞台実習を行います。公演を通じて、幅広い演技を身に付けるとともに、舞台芸術の創造者として、演劇の将来を担うための自覚を高めていきます。

4.主な研修場所
  新国立劇場演劇研修所(芸能花伝舎内)、新国立劇場リハーサル室 など

<授業料・奨学金>(予定。前年度実績より。)
1.授業料 年額18万9千円(消費税込み)

2.奨学金 月額6万円支給
  ただし、三年次は奨学金の支給はありません。

お問い合わせ、願書送付先
財団法人 新国立劇場運営財団
演劇研修所 第8期研修生 選考試験係
〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1
TEL: 03-5351-3011(代)(月~金10:00~17:00/土日祝を除く)


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 20:03 | TrackBack

青年団『サンパウロ市民』11/05-12/04吉祥寺シアター

 13時開演の『ソウル市民1939 恋愛二重奏』に続いて、16時開演の『サンパウロ市民』を拝見。上演時間は約1時間50分。2006年の三部作連続上演のレビュー⇒

 『恋愛二重奏』が終わって劇場から出る前に、予約済みの次の作品のチケットを受付で受け取りました。それから30分ほどで整列入場です。吉祥寺シアターの階段や2つの入り口をうまく振り分けて、整理番号順にスムーズに誘導してくださいました。快適~。

 終演から次の開演まで1時間しかないんですよね。観客にとってはありがたいですが、役者さんやスタッフさんは休みなしですね・・・。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ソウル市民五部作連続上演

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 1939年11月、ブラジル・サンパウロ。移民開始から三十年を経て、成功者も登場し始めた日系移民。その代表格である寺崎家は、サンパウロで文房具店を営んでいる。欧州での大戦勃発による、日本人学校の閉鎖など、遠い戦争の影響はないわけではないが、それでも寺崎家の日常は平穏である。そこにやってくる相撲取りや、写真花嫁と呼ばれる新移民たち。『ソウル市民』四部作の地球の裏側で展開する、もう一つの「植民」の物語。
 ≪ここまで≫

 パンフレットで平田オリザさんはマームとジプシーの藤田貴大さん、そしてチェルフィッチュの岡田利規さんについて言及し、「大きな交響曲の中で執拗に繰り返される主題」をイメージして取り組まれたと書かれています。『ソウル市民』『ソウル市民1919』『ソウル市民昭和望郷編』にあったエピソードが、1939年のサンパウロに暮らす日本人移民家族の物語に移殖されていました。

 パっと見た感じでは、木箱が撤去されたこと以外、『ソウル市民1939 恋愛二重奏』の舞台装置とあまり変わらないのですが、実は食器棚の中のグラスや器が入れ替えられています。照明も違っていました。

 青年団の作品についてこういうツイートがあり、なるほどと思いました。劇団所属の役者さんよるアンサンブルには、これぞ青年団という独自性があるのでしょう。役者さんだけでなく演出の平田さんの手腕ももちろんあると思います。

 青年団には市井の人々の日常をリアルそうに作り上げる技術と知性を持っている、10代から50代という様々な年齢の役者さんがそろっています。層の厚い役者陣のおかげで、どのセリフをどの感覚でどの間合いで言うか、どう動くか等の数々の要素をぴたりと合わせる、高度で緻密なアンサンブルを作り上げることができるのだと思います。

 きちんと稽古を積んだ役者さんが、声や気持ちを含む身体をコントロールしているのが透けて見えるので、私は1人の役者さんから役者さんご自身と役人物との両方を観ている状態になり、常に冷静に、舞台で起こることを見つめて思考をめぐらすことができます。それが私にとっての青年団本公演の見方ですね。

 度々言ってることですが、私は感情が小刻みに、生き物のように動いて、役者本人にもその先どうなるのかわからないぐらいの不安定な状態をさらすような、「舞台で生きている」という種類の演技が好みです。だから青年団団員以外の出演者による『ソウル市民』や『東京ノート』を観てみたい気持ちはありますね。本家本元を超えるのは難しいと思いますが。

 ここからネタバレします。

 もともとサンパウロにはブラジルの原住民が暮らしていたのですが、今では彼らは原住民(先住民?)居住区に押し込まれています。そして日本人は原住民のことを蔑視しつつ“ドジン”と呼びます。日系移民が今の繁栄を築く前には搾取がありました。

 ボサノヴァ(のような曲)を日本語の歌詞で歌う場面が良かったです。誰もが輪になってつながって、テーブルの周囲を踊って回り、楽しそう。その後にラジオから日本の戦況報道が流れますが、聞き取れないのに「勝ったはず」とお祝いムードに。歌を歌っている時と同じような浮かれ具合です。「ブラジール、ブラジール♪」と歌うけれど、そのブラジルにもともと住んでいた人々を無理やり押しのけた上にある幸せなんですよね。その考えが頭から離れませんでした。
 
 関取と興行主のペアはとっても可愛いんだけど、あまりエピソード自体に興味を持てなかったな~。

青年団第64回公演「ソウル市民五部作連続上演」10/29-12/04吉祥寺シアター
出演:のべ約100名の青年団俳優陣
『サンパウロ市民』出演:山内健司 志賀廣太郎 たむらみずほ 天明留理子 小林智 島田曜蔵 古屋隆太 鈴木智香子 石橋亜希子 井上三奈子 大竹直 熊谷祐子 髙橋智子 村井まどか 山本雅幸 堀夏子 村田牧子 齋藤晴香 石松太一 井上みなみ ブライアリー・ロング
脚本・演出:平田オリザ 舞台美術:杉山至 照明:岩城保 音響:泉田雄太 衣裳:有賀千鶴、正金彩 衣裳協力:着緑 JEANNE VALET 舞台監督:中西隆雄 舞台監督補佐:播間愛子 宣伝美術:グリフ(工藤規雄+村上和子) 京(kyo.designworks) 宣伝写真:佐藤孝仁(Beam×10) 宣伝美術スタイリスト:山口友里 パンフレット:太田裕子 Web:斎藤拓 制作:青年団制作部 西山葉子 林有布子 木元太郎 服部悦子 石川景子 野村政之 [企画制作]青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 [主催]青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 [提携](公財)武蔵野文化事業団 [後援]駐日韓国大使館 韓国文化院
【休演日】11/1(火)、8(火)、15(火)、16(水)、24(木)、29(火)【発売日】2011/09/02 日時指定・全席自由席・整理番号付き 前売・予約:一般3,500円 学生・シニア2,500円 高校生以下1,500円 当日券:一般4,000円 学生・シニア3,000円 高校生以下2,000円 ※3演目以上ご観劇の方は、こまばアゴラ劇場支援会員へのご入会でお得にご覧いただけます。
http://www.seinendan.org/seoul5/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

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