REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2012年07月30日

東宝『ミュージカル「ルドルフ ザ・ラスト・キス」』07/05-29帝国劇場

 ミュージカルにはそんなに縁のない私ですが、井上芳雄さん主演でデヴィッド・ルヴォーさん演出と聞いた時から、気になってはいました。上演時間は約3時間(途中休憩25分を含む)。

 私の周囲のミュージカル・ファンの方々に好評なのと、イープラスでお得なチケットがあるとの情報を得て、思い切って観に行ってみたところ、オープニングの装置の演出だけで「ふぉおお~っ!」と興奮(笑)。あの幕(カーテン)は何だっ!凄いっ!お薦めしてくださった皆様ありがとうございました!

 ⇒CoRich舞台芸術!『ルドルフ ザ・ラスト・キス

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 19世紀のオーストリア。
 自由と平等を求めるハプスブルク家の若き皇太子ルドルフは、
 厳格な父・皇帝フランツ・ヨーゼフとの政治思想的対立を深めていた。
 妻との関係も冷え切り完全に孤立した日々を送るルドルフは、
 美しく純粋な男爵令嬢マリー・ヴェッツェラと出会い、
 道ならぬ恋と分かりながらも惹かれ合っていく。
 一方、オーストリアは激動の時代を迎えようとしていた。
 苦悩が深まるばかりのルドルフの安らぎはマリーだけであった。
 しかし2人の関係は周囲の知るところとなり、ますます窮地に立たされる。
 追い詰められたルドルフが辿る道とは…
 ≪ここまで≫

 ルヴォー演出…凄いっ!!両そでと天井から迫る壁(パネル?)と、回転しながら上下(じょうげ)するカーテン、そして2重の回り舞台のコンビネーションが場面転換に無数の表情を与え、階段や柱、机、イスなどの道具とともにイリュージョンのような効果も生み出します。楕円形に360度回るカーテンのドレープの揺れにほれぼれ。
 人物が動くスピードも計算されていました。たとえば男女のペアが多数で踊る舞踏会の場面などは、振付で高度な技を見せつつ、動きがかなりスピーディー。動と静のコントラストも鮮やかです。照明も含め、素晴らしいスタッフワークでした~♪

 主役の井上芳雄さんはいつもながら素敵ですね~。マリー役の和音美桜さんは初めて拝見しました。若さとパワーがみなぎっていて良かったです。

 ここからネタバレします。

 舞台の大部分を覆っていた紅色(メインビジュアルの赤色)のパネルが開いて行き、大きなカーテンが下手斜め上から、ドレープを揺らしながら孤を描くように斜めに降りてきたんです。そして王侯貴族が劇場のこけら落とし公演を観ているシーンが始まりました。カーテンはしっかりと降りて、劇場の緞帳になったのです。もー…美し過ぎて興奮状態。

 アイススケートの場面では、出演者はローラーブレードを履いて舞台上を滑っていました。お稽古されたんでしょうね~。これもスピードがあるんですよね。ルドルフとマリーの短い恋(と命)をあらわしているかのよう。

 酒場での下着姿の売春婦たちのダンスは『NINE the musical』を彷彿させました。品のある色っぽさ。

 最後に大きな白いベッドが舞台中央奥からズズイィ~と、どどーんと出て来たのにはちょっと引いちゃいました。ベッド、なのか…2人が自死する場所だから、まあそうなんでしょうけど。ベッドが奥からぐいっと持ちあがって斜めになったのも、見ててちょっと恥ずかしかったな~。

 最後の最後は、中央のカーテンがレールからはずれて、床に落ちました。ふわりと半透明に透けて、はかなく散るさまが粋でした。

【出演】ルドルフ:井上芳雄 マリー・ヴェッツェラ:和音美桜 ステファニー:吉沢梨絵 ターフェ:坂元健児 ラリッシュ:一路真輝 フランツ・ヨーゼフ:村井國夫 <男性アンサンブル>青山航士/島田邦人/杉山有大/照井裕隆/中島康宏/原慎一郎/ひのあらた/松澤重雄/港幸樹/村瀬美音/山名孝幸 <女性アンサンブル>岩﨑亜希子/大月さゆ/樺島麻美/後藤藍/鈴木結加里/保泉沙耶/舞城のどか/美鳳あや/望月理世/柳本奈都子/やまぐちあきこ
原作:フレデリック・モートン著「A Nervous Splendor」「ルドルフ―ザ・ラスト・キス」(集英社文庫刊) 音楽:フランク・ワイルドホーン 脚本・歌詞:ナン・ナイトン 脚色:フランク・ワイルドホーン&フィービー・ホワン 原案:フランク・ワイルドホーン&スティーブン・キューデン 演出:デヴィッド・ルヴォー 装置:マイク・ブリットン/振付:ジョン・オコネル/振付補:二ラン・シュトラウブ 翻訳:迫光/翻訳・訳詞:竜真知子/音楽監督:八幡茂/歌唱指導:山口正義、ちあきしん/照明:小川幾雄/衣裳:前田文子/ヘアー:野澤幸雄(スタジオAD)/音響:山本浩一/指揮:塩田明弘/オーケストラ:東宝ミュージック(株)、(株)ダットミュージック/装置助手:高橋健一/振付助手:徳垣友子/舞台監督:廣田進/演出助手:上田一豪/プロデューサー:岡本義次、吉田訓和、小嶋麻倫子
【休演日】7/11,18,25【発売日】2012/04/21 S席12,500円 A席8,000円 B席4,000円
http://www.tohostage.com/rudolf/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 2012年07月30日 10:03 | TrackBack (0)