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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2012年08月01日

パルコ・プロデュース『露出狂』07/26-08/04 PARCO劇場

 劇団柿喰う客代表で作・演出家の中屋敷法仁さんがパルコ劇場に初進出!それも「CoRich舞台芸術!2010春」グランプリ受賞作の上演ですから、観に行かないわけにはいきません。⇒初演レビュー

 初演のキャストは女性のみでしたが、今回は男性のみになりました。物語はほぼ同じですが、女が男に変わることで作品の印象全体が変わったように思います。客席では出演者のファンであろう、若い女性客の笑い声がよく響きました。上演時間は約1時間50分。

 ⇒スポーツ報知『「露出狂」の誘惑』(宮路美穂)
 ⇒CoRich舞台芸術!『露出狂

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 新興強豪校として名を馳せる高天原高校サッカー部!
 驚異的な結束力を誇るこの部には[鋼の掟]が存在するという…!
 部活という閉塞的社会で巻き起こる男同士のプライドを賭けた泥試合!
 どうぞご期待下さい!!
 ≪ここまで≫

 ちょっとどうよ?!と思うほど、BL(ボーイズラブ)。予想通りとはいえ面くらいますね(笑)。ボケつっこみなどのベタな笑いをストレートに決めて、笑わせてくれます。キャラクター設定がはっきりしていて、登場人物の特徴がすぐにわかり、憶えやすいのが中屋敷作品の特徴だと思います。

 イケメンアイドル、声優、お笑い芸人、小劇場の役者さんらの競演は、やはり舞台俳優に軍配があがります。マネージャー蔵毛(くらげ)役の玉置玲央さんが語り部の役割を果たし、物語を支えてくださっていました。

 ここからネタバレします。

 舞台となる学校は高天原(たかまがはら)高校ですから、登場人物はみんな神様だととらえてもいいと思います(これは中屋敷さんの脚本によくある設定です)。高天原高校サッカー部の部員たちは、ギリシア神話に登場するわがままで残虐な神々なのだと見立てれば、BLだけに収まらない示唆に富んだ戯曲だとわかります。

 舞台美術のコンセプトは“猿山”で、世代交代、下剋上、栄枯盛衰、諸行無常…といったことが想像できます。「チームワークを良くするために部員同士で乱交する」なんて、集団心理の恐ろしいところですよね。とはいえ、奇跡(全国大会優勝)を起こす人々は常軌を逸した精神状態(狂気)にあるものなのかもしれません。御器(柄本時生)らが卒業した次の年からアベック制が消滅したり、彼ら全員が卒業した後のサッカー部は、何事もなかったかように平凡な部活動に戻るなど、人間の営みのはかなさがあらわされます。

 そういった、フィクションの上に立ち上ってくる何かを感じ取れなかったのが残念でした。今や“BL”はジャンルとして確立されているので、男性同士の乱交は、女性同士に比べると観客の頭の中で“ぶっ飛んだフィクション”になりづらいのかもしれません。

出演:柄本時生 遠藤要 入野自由 玉置玲央 畑中しんじろう 磯村洋祐 板橋駿谷 稲葉友 孔大維(コン・テユ) 遠山悠介 永島敬三 松田凌 間宮祥太朗 森崎ウィン
脚本・演出:中屋敷法仁 音楽:佐藤こうじ 美術:原田愛 照明:高見和義 音響:高橋克司 衣裳:高木阿友子 ヘアメイク:田中順子 演出助手:棚瀬巧 宣伝写真:引地信彦 宣伝デザイン:山下浩介 宣伝:吉田プロモーション 製作:山崎浩一 制作:祖父江友秀 斎藤努 山家かおり 製作:(株)パルコ 企画制作:パルコ ゴーチ・ブラザーズ ミーアンドハーコーポレーション
【発売日】2012/06/09 土日☆料金=6,500円(全席指定・税込) 平日◎料金=6,000円(全席指定・税込)  U-25チケット=5,000円(25歳以下対象・当日指定席券引換・平日限定・要身分証明書・ぴあのみ取扱)
http://www.parco-play.com/web/page/information/rosyutsukyou/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2012年08月01日 21:28 | TrackBack (0)