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REVIEW

2012年08月04日

笑の内閣『非実在少女のるてちゃん』08/03-05こまばアゴラ劇場

 笑の内閣は高間響さんが作・演出(出演も)される京都の劇団です。
 『非実在少女のるてちゃん』は2010年に京都で初演され、ちょうど東京都青少年健全育成条例改正案が話題になっていた東京での公演が企画されましたが、仮契約をした劇場に「内容が反体制的だから」という理由で借りるのを断られたという逸話のある作品です。
  終演後のトークゲストがとても豪華で、明日8月5日(日)13時の回は前文部科学省副大臣の鈴木寛さん。

 「エロ漫画・エロアニメを有害だとして規制すること」で、具体的にどのようなことが起こるのかを、わかりやすく、熱弁で伝えてくれました。上演時間は約1時間55分。

 ⇒東京都青少年健全育成条例改正問題のまとめサイト
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 ≪あらすじ≫ CoRich舞台芸術!より
 冷泉のるては、日々マンガの世界を脅かす敵を倒す魔法少女。今回は、漫画の神様から人間の世界に行き東京都で審議されている「青少年健全育成条例改正案」を止めてくるように命令する。
 さっそく規制派の重要人物、阿佐ヶ谷立秀高校教諭の津川道久の説得に出かけたのるて、説得に応じないと見るやすぐ魔法でこらしめようとするもなにもおこらない。実は漫画の神様はすぐ魔法に頼るのるてに言論で相手を説得する大切さを教える為に、あえて魔法が通用しない人間の世界に派遣したのだ。
 しかし、今まで魔法頼りだったのるてはどうしていいかわからない。そこに、津川から廃部を命じられた漫画研究会のメンバーがやってくる。彼らと仲良くなっていく課程で、都議会議員への陳情、同志を増やす活動をしていきだんだん反対運動は広がってゆく。そして、ついに規制派の重い腰をあげ討論会が開かれる事に。果たして、のるてと仲間たちは条例を防ぐ事が出来るのか?
 「エロ漫画を規制する」という美名の下、表現の自由を脅かす天下の悪法「青少年健全育成条例改正案」に、表現者として挑む、笑の内閣代表作。打倒石原のため、ついに再演
 ≪ここまで≫

 舞台美術はほぼなくて、空間へのこだわりはなさそうです。出演者の演技は上手ではありません。登場人物の出はけや場面転換もやっつけ仕事的な印象をぬぐえません。でも、そこが重要なお芝居ではないんだと思います。目を、耳を疑わざるを得ない、悪い意味で驚くべきことが次々と起こる今の日本を、実在の人物の発言や偉人の格言を引用しつつ、笑いで思いっきり風刺する、若さみなぎる社会派演劇といいましょうか、気概を感じられる作品でした。
 とはいえ、笑いのネタがわからないことが多かったのは残念。まぁ私の教養のなさが原因かもしれません。アニメのネタは全然と言っていいぐらいわからないからな~。

 ここからネタバレします。

 条例賛成派と反対派の対話形式で進めてくれるのがわかりやすいです。規制を増やす方が性犯罪が増えるというスウェーデンの実例があるんですね。

 条例賛成派は「子供たちを守るために、有害なマンガやアニメを禁止すべき」と主張します。「彼らの言う“子供たち”こそ非実在だ」という意見に至極納得でした。

 ゲスト出演は七味まゆ味さん。のるてちゃんを別件逮捕する警察役でした。一瞬でしたが華もあるしかっこ良かったです。

 最後は「新世紀エヴァンゲリオン」の『世界の中心でアイを叫んだけもの』になってました。これぐらいはわかりました。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:坂手洋二 高間響

 坂手さんと燐光群の方々が、いま高間さんが活動している京都大学内の劇場(古い講堂や食堂)を、お掃除したり修理したりして、使えるようにしたという経緯があるそうです。


第16次笑の内閣
≪東京、愛知、北海道、大阪≫
出演:伊集院聖羅、田中浩之、小林まゆみ、上蔀優樹、鈴木ちひろ、中西良友、由良真介、眞野ともき、藤井麻理、谷脇友斗、浪崎孝二郎、合田団地、髭だるマン、高間響、キタノ万里、征木ゆう、向坂達矢、橋本源氏、焼酎ステラ、DJ、伊藤純也、嵯峨シモン
8/3(金)19:00~ ゲスト:楢原拓氏(チャリT企画)、森田祐吏(北京蝶々)
8/4(土)13:00~ ゲスト:海野デカ氏(ゲキバカ)
8/4(土)19:00~ ゲスト:七味まゆ味氏(柿喰う客)
8/5(日)13:00~ ゲスト:石黒淳士(ぬいぐるみハンター)
8/5(日)17:30~ ゲスト:ゲスト:モラル(犬と串)
脚本・演出:高間響/ エグゼクティブアドバイザー&舞台監督 唐仁原俊博 / 助演出 由良真介 / 照明 山本恭平 / 音響 神田川雙陽(劇団粋雅堂) / 衣装 藤井麻理 / 小道具 つじ / チラシイラスト 神奈江淳 / 宣伝美術 末山孝如(劇団酒呑童子) / 制作 浅田麻衣(月面クロワッサン) / 平田ユミ(劇団紫) 井上華奈 / 制作協力 京都ロマンポップ / オタ知識提供 にょろ(京都ロマンポップ) / 演奏 井村匡孝(京都ロマンポップ) / 映像 ゲツクロスタジオ / オタ芸 HIROFUMI / 雑用 川崎一輝
アフタートークゲスト:3日19時 長島☆自演乙☆雄一郎氏/4日13時 宮台真司氏/4日19時 坂手洋二氏/5日13時 鈴木寛氏
前売り:2,000円 当日清算:2,500円 当日:3,000円
http://warainonaikaku.sitemix.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2012年08月04日 23:22 | TrackBack (0)