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2012年04月29日

ナイロン100℃『百年の秘密』04/22-05/20本多劇場

 ケラリーノ・サンドロヴィッチさんが作・演出される劇団ナイロン100℃の新作です。2人の女性を主軸にした物語、という前情報だけを頭に入れて鑑賞。まず最初の映像でノックアウトされました…凄すぎる!上演時間は約3時間25分(途中休憩15分を含む)

 ケラさんって本当にすごいストーリーテラーだと思いました(何を今さら、ですが)。そしてナイロン100℃の舞台はナイロン100℃公演でしか観られないのだと、当たり前のことですが、強く感じました。

 チケットはゴールデンウィークが狙い目とのことです。どうぞ本多劇場へ!東京の後は大阪、神奈川、福岡、新潟のツアーあり!

 悲劇喜劇2012年6月号(5/7発売)↓に戯曲が掲載されます。

 ⇒中野成樹さんの感想ツイート(4/29)
 ⇒ぴあ今週のこの人!ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 ⇒CoRich舞台芸術!『百年の秘密
 レビューは後日加筆予定。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:犬山イヌコ×山西惇×ケラリーノ・サンドロヴィッチ 司会:徳永京子(演劇ジャーナリスト)


ナイロン100℃ 38th SESSION
≪東京、大阪、神奈川、福岡、新潟≫
出演:犬山イヌコ 峯村リエ みのすけ 大倉孝二 松永玲子 村岡希美 長田奈麻 廣川三憲 安澤千草 藤田秀世 水野小論 猪俣三四郎 小園茉奈 木乃江祐希 伊与勢我無 萩原聖人 近藤フク 田島ゆみか 山西惇
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 音楽:朝比奈尚行 鈴木光介 美術:BOKETA 照明:関口裕二(balance,inc.DESIGN) 音響:水越佳一(モックサウンド) 映像:上田大樹(&FICTION!) 衣裳:宮本宣子 ヘアメイク:武井優子 ステージング:長田奈麻 演出助手:相田剛志 舞台監督:菅野將機 福澤諭志(StageDoctor Co. Ltd.) 演出部:小野綾香 小見山実侑 照明操作:瀬戸あずさ(balance,inc.LIGHTING) 音響操作:照山未奈子 映像操作:玉木将人 衣裳進行:畑久美子 殺陣指導:明樂哲典 台本進行:北川大輔 記録スチール:引地信彦 レコーディングミュージシャン:會田純那(macoghari) 黒木麻未 鈴木光介 林亨(macoghari) レコーディング協力: サウンドスタジオ アフタービート 大道具製作:C-COM舞台装置 櫻井俊郎 唐崎修 小道具:高津装飾美術 天野雄太 小道具協力:アトリエカオス 田中康平 特殊効果:特効 糸田正志 演出部協力:福澤久美子 白石廿日 映像助手:大鹿奈穂 横山翼   衣裳助手:横田裕二 衣裳製作:宮本宣子ワークショップ 衣裳協力:松竹衣裳 東宝舞台株式会社衣裳部 ウィッグ:FONTAINE<犬山イヌコ1幕2場・2幕4場、大倉孝二1幕2場・2幕4場、松永玲子1幕3場・2幕6場、廣川三憲1幕2場・1幕3場・2幕5場・2幕6場> 運搬:マイド 宣伝美術:坂村建次 積孝司(C2design) 宣伝写真:江隈麗志 宣伝衣裳:牧野iwao純子(ダダグラム) 宣伝ヘアメイク:山本絵里子 浅沼靖 プリンティングディレクター:青山功(リトルウイング) CG・RETOUCH:佐野貴子(TRIGON GRAPHICS SERVICE) 小道具協力:PROPS NOW プロデューサー:高橋典子 制作:佐々木悠 青野華生子 北里美織子 川上雄一郎 仲谷正資 永田聖子 広報宣伝:米田律子 太齋志保 製作:北牧裕幸 企画・製作:シリーウォーク キューブ 主催・お問い合わせ:キューブ
【休演日】4/26,29 5/3,7,14【発売日】2012/02/25 6,900円(前売・当日共/全席指定/税込) 学生割引券:4,300円(前売りのみ/税込/チケットぴあのみ)
http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/nylon38th.html
http://www.sillywalk.com/nylon/


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:50 | TrackBack

TPT『プライド』12/15-25 d-倉庫

 TPTがアレクシ・ケイ・キャンベル作『プライド』を日本初演しました。2008年初演の同戯曲で、キャンベルさんはイギリス演劇批評家協会賞の新人劇作家賞を受賞し、作品はローレンス・オリヴィエ賞を受賞されたそうです。演出は小川絵梨子さん(過去レビュー⇒)。
 
 1958年と2008年を行ったり来たりする四人芝居で、各場面の会話劇の密度が高く、ずっしりとした上品な味わいでした。ストレートプレイを堪能。
 
 ⇒TPT公式ブログ「『プライド』について
 ⇒CoRich舞台芸術!『プライド

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 教えてよ。あれってデモンストレーション、セレブレーション、それともファッションショー?
 1958年、フィリップはシルヴィアと結婚していたが、オリヴァーと恋に落ちた。2008年、オリヴァーは男漁りをやめられず、パートナーのフィリップは家を出た。2人の親友シルヴィアは彼らをゲイ・プライドに誘った。
 社会の大きな変化をはさんだ2つの時代の2つのラブストーリー。セクシュアル・アイデンティティと資本主義の危険な関係。ありのままの自分とはなにか? 幸せとはなにか? 愛するとはどういうことか? 欲望、消費、セックス、裏切り、孤独、愛する勇気。眠れぬ過去から、目覚めた未来から届く声。
 ≪ここまで≫

 馬渕英俚可さんの1958年とシルヴィアと2008年のシルヴィアの演じ分けが鮮やかでした。くるりと変身するかのごとく。
 谷田歩さんが雇われてコスチュームプレイをする役者や、編集者、医師など、メイン3人の外側にいる人物らを演じ、他者、異物、世間といったものを象徴する役割を果たされていたように思いました。

 ここからネタバレします。

 フィリップ(須賀貴匡)はシルヴィア(馬渕英俚可)という妻がいるけれど、彼女の仕事仲間の男性オリヴァー(山口馬木也)と恋に落ち肉体関係を持ちます。フィリップとオリヴァーのラブシーンは、じりじりと距離が狭まっていく緊張感にときめきも感じられましたが、最終的にはレイプという最悪の結果を迎えます。その落差が劇的で、苦々しかった。須賀さんの演技がちょっと堅かったですね。怒りの表現が多すぎる気がしました。

 1958年という時代にゲイであることは罪、もしくは病気とみなされ、フィリップは病院で過酷な治療を受けてゲイであることをやめようとします。テネシー・ウィリアムズの姉のロボトミー手術を思い出しました。自分で自分の本当の心を殺すことを選ぶなんて、なんというむごい悲劇。
 オリヴァーはギリシャに訪れた時の話をよくしていました。たとえばデルフォイの神託についてなど。彼は古代の人々に思いを馳せ、未来へも想像力を広げ、「50年後、500年後には今の自分の気持ちは理解されるだろう」と語ります。 

 一幕と二幕で装置がガラリと変化したのが素敵。家具を片付けると石造りの空間になり、ギリシャの神殿を思わせます。

 2008年ではオリヴァー(山口馬木也)とフィリップ(須賀貴匡)は同棲しているカップルでしたが、オリヴァーの浮気癖に嫌気がさしたフィリップは出て行ってしまいます。2人の共通の友人シルヴィア(馬渕英俚可)が2人を仲直りさせようと、ゲイ・プライド(ゲイのパレード)に誘って引き合わせたところ、2人は徐々に言葉を交わして距離を縮めて行きます。大盛り上がりのゲイ・パレードで、90歳ぐらいと思われる老人カップルが嬉々として踊っていました。それを見つけた2人はほほ笑み合います。
 その老人は1958年のオリヴァーだったかもしれません。50年前のあるゲイの思いが、現代に通じたのだと思いました。やがてシルヴィアが女神のような白いロングドレスで登場します。空間がギリシャ時代になり、古代と現在、そして未来が同時に存在するマジカルで感動的なエンディングでした。

TPT81 "PRIDE" by Alexi Kaye Campbell
出演:馬渕英俚可 須賀貴匡 山口馬木也 谷田歩
脚本:アレクシ・ケイ・キャンベル 訳:広田敦郎 演出:小川絵梨子 美術:松岡泉 照明:松本大介 衣裳:桜井麗 音響:藤平美保子 舞台監督:八須賀俊恵
【休演日】2011年12月19日【発売日】2011/10/17 全席指定4,500円 25歳以下&65歳以上(tpt電話予約のみ取扱):3,000円
http://www.tpt.co.jp/aboutus/archive/081.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 16:40 | TrackBack