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しのぶの演劇レビュー
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2013年04月18日

THE SHAMPOO HAT『葛城事件』04/17-30ザ・スズナリ

 赤堀雅秋さんの新作、劇団公演です。赤堀さんの岸田國士戯曲賞受賞後第一作で、映画やテレビでご活躍の新井浩文さんの初舞台も話題ですね。鈴木砂羽さん、安藤聖さんの客演も豪華。

 早々に前売り完売して追加公演も瞬殺。ザ・スズナリは文字通り超満員でした。これからご覧になる方は劇場には早めに行った方がいいです。初日は補助席のお客様の誘導などで、定時から10分押しの開演でした。上演時間は約2時間10分。当日券あり。

 ロビーで岸田國士戯曲賞受賞作『一丁目ぞめき』(⇒レビュー ⇒2012年しのぶの小劇場ベスト3)の単行本が販売されていました。私は台本『ゴスペルトレイン』(800円)を開演前に購入。終演後はなんとなくロビーに居づらい雰囲気だったんですよね…。『一丁目ぞめき』買えばよかった!

一丁目ぞめき
一丁目ぞめき
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赤堀 雅秋
白水社
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 ⇒CoRich舞台芸術!『葛城事件
 レビューは後ほどアップ予定。レビューをアップしました(2013年4月22日)。

 ≪あらすじ≫
 死刑囚の葛城稔(新井浩文)と獄中結婚した星野順子(安藤聖)は、葛城の両親(赤堀雅秋&鈴木砂羽)のもとへ挨拶に行く。
 ≪ここまで≫

 マイホームを手に入れ、平凡ながらも幸せな生活を送るはずだった、夫婦と息子2人の4人家族。でも次男(新井浩文)が超問題児で、犯罪を重ねてなんと死刑囚に。死刑囚とその妻を描くだけでなく、家族や幼なじみ、被害者遺族も登場します。とりとめのない、他愛ない会話が、無言でただ一緒に食事をする短い時間が、人生で一番大切なのかもしれないと、素直に思えました。

 いつもの劇団公演よりは空気が軽い目だったように感じました。客演の役者さんの存在感が大きいのもあるでしょうし、初日だったせいもあると思います。きっとこれから密度、濃度が増していくでしょうね。

 新井浩文さんの映画はよく拝見してます。数えてみたら20本弱ぐらい!特に「松ヶ根乱射事件」「BOX 袴田事件 命とは」が印象に残っています。「その夜の侍」で赤堀さんとご縁があったんですね。「その夜の侍」もいい映画でした。初舞台で生で観られて良かったです。どんなに嫌な人間を演じていても可愛らしいなと思ってしまうんですよねぇ~スターたるゆえんでしょうか。

 ここからネタバレします。

 附属池田小事件が題材だとはっきりとわかるほど、事実に則した設定でした。小刻みに連続して光る照明(ストロボ?フラッシュ?なんて言うんだっけ…)の中での暴力シーンは、稔(新井浩文)が振りまわす赤い布が、被害者の血のように見える演出で、面白かったです。

 被害者遺族のうらみ、悲しみには果てがないです。なぜ稔のような無差別殺人犯が育ってしまったのか…。稔が生まれたばかりの時に、若かった母(鈴木砂羽)が育児放棄をしていたことを匂わせる場面がありました。夫と息子2人が、つまり男3人が、家族の中の紅一点である母を取り合っていた風にも見えましたね。母が稔を特に甘やかしていたから、父(赤堀雅秋)と稔の確執が深まっていたようにも受け取れました。

 順子(安藤聖)が葛城家に挨拶に行った時には、真面目で不器用な兄(日比大介)は事業に失敗して自殺、母は心を病んで入院、一人残された父だけが、かつては4人で住んでいた家で一人暮らしをしていました。過去の回想や刑務所での面会など、さまざまなシーンが挟まれますので、家族の現状がわかるのは終盤です。

 稔の死刑が執行され、順子がお骨を持って父の家に行くと、父は順子にキスをしようとしておそいかかります。そして「(稔のように無差別に何人もの)子供を殺したら、お前は俺と結婚してくれるか?」と聞くんです。これには…泣けてしまいました。「その夜の侍」もそうでしたけど、本当に人間は、さびしいんですよね。順子がそれまでに見せたことのない取り乱し方をして怒っていたのが良かったです。本性をあらわしたというか、やはり彼女も、誰でもいいってわけじゃないんですよね。聖人じゃない。

 本当がどうかはわからないけど(警備員が嘘をついたのかもしれないから)、死刑執行直前に稔が順子に「ありがとう」と言い残していたことは、希望だと思いました。

 新井さんがSMAP(だったっけ?)やモーニング娘。のカラオケを歌うのって、反則(笑)。可愛すぎる。

第28回公演
出演:出演(順不同):野中隆光(葛城清のいとこ・ヤクザ) 児玉貴志(被害者遺族) 日比大介(稔の兄) 黒田大輔(スナックの店員) 滝沢恵(ヘルパー) 赤堀雅秋(葛城清・稔の父) 鈴木砂羽(稔の母) 安藤聖(星野順子・稔と獄中結婚) 新井浩文(稔) 吉牟田眞奈(稔の三番目の妻) 勢古尚行(刑務官) 菊妻亮太(稔に暴行される) 遠藤留奈(稔に強姦される)
脚本・演出:赤堀雅秋 舞台監督:伊東龍彦 久寿田義晴  照明:杉本公亮  音響:田上篤志(at Sound) 舞台美術:鈴木健介 衣装:坂東智代 かつら協力:山本絵里子 ヘアーメイク:貴島貴也 栗原由佳 宣伝美術:斉藤いづみ(ryhme.inc)  宣伝PD:野中隆光 舞台収録:原口貴光(帝斗創造)  舞台写真:引地信彦  制作助手:谷慎 製作プロデューサー:西田圭吾  制作:武田亜樹  票券:藤田晶久(palette&bullet) 代役:勢古尚行 演出助手:菊妻亮太 企画製作:HOT LIPS 
【休演日】4/24【発売日】2013/03/10 指定席:前売3800円 当日4500円 自由席:前売3500円  当日3800円
早割(17日18日19日の三日間限定 ※指定席のみ取り扱い) 指定席:前売 3300円  当日 4000円
☆学生割引 ----学生割引に早割は適応されません。---- 指定席 前売 2800円  当日 3200円 自由席 前売 2500円  当日 2800円  注)劇団取り扱いチケットのみ。要学制証提示。
http://www.shampoohat.com/special/1115.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2013年04月18日 12:28 | TrackBack (0)