REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2013年05月03日

アミューズミュージカルシアター『カフェ・イン~愛は偽り?!~』04/25-05/19アミューズミュージカルシアター

 六本木の元ブルーマンシアターがアミューズミュージカルシアター(←音が鳴ります)となり、韓国ミュージカル専門劇場が出来ました。第1弾は男女二人のミュージカル『カフェ・イン~愛は偽り?!~』。上演時間はカーテンコール込みで1時間40分(休憩なし)。この演目はグローブ座でも上演されたことがあるんですね。

 『ウェルテルの恋』のクオリティーの高さから、韓国オリジナルミュージカルには最初から期待してたんですが、それ以上でしたね。本当によくできた作品で、これならお友達を誘って行きたいと思いました。カーテンコールは撮影可能(フラッシュ禁止)。

 SS席7,800円、S席 6,800円、学割(S席対象)5,000円、サンキューチケット3,900円、テハンノシート3,000円と価格帯が色々あるのも親切ですよね。土日祝日はSS席とS席が1000円増しです。

20130503_caffeine.jpg

 ⇒CoRich舞台芸術!『カフェ・イン~愛は偽り?!~

 ≪あらすじ≫
 セジンはカフェを取り仕切る女性バリスタ。朝9時から夜12時まで仕事にどっぷりだが、経営方針が変わり、夜間にはカフェがワインバーになることに。夜6時になるとセジンは無理やり職場から追い出され、代わりに男性ソムリエのジミンがやってくる。
 ≪ここまで≫

 まず、娯楽としての完成度が高い。私の観劇感想は、それに尽きるかもしれません。俳優の技術が高く、観客との付き合い方もこなれていて、余裕があるんです。その余裕が人を寄せ付けない堅さと映る可能性は否定できませんが、私個人については、作品が強固であるゆえに、作品内部だけでなく、その外側へも想像を広げられたように思います。ある一組の男女のエピソードを楽しむというより、男性性と女性性、人間関係のパワーバランス、あらかじめ身体に備わった反射的な感情…といった風に。

 『カフェ・イン~』の後に『シングルズ』『風月主』と続きます。Wキャスト全制覇はできなさそうですが、3演目とも観たいですね。今回は母と一緒だったんですが、次は誰を誘おうかな~。

caffeine_stagephoto2.JPG

 ここからネタバレします。

 「愛とは?」と問う黒板の文章交換でケンカになった見知らぬ男女が、徐々に愛をはぐくみ…という流れだけだとありきたりですが、男性の方が他人になりすまして女性を口説き、2人の男性(本当は1人)と女性1人の三角関係に発展します。恋の駆け引きが複雑化して、恋愛だけでない人間のコミュニケーションについても考えることができました。
 典型的にモテないタイプの痛々しい女性を登場させて、彼女を手玉に取ろうとしたモテ男が、自分の嘘のせいで彼女に惹かれていく。そのパワーバランスの変化が、意図してないハプニングのせいで起こっていきます。恋愛は押して押して、引いた方が勝ちますよね(笑)。そして古今東西、嘘は自らをさいなむものですね。

 【一観客として、できればお願いしたいこと】
 作品には満足以上だったんですが、舞台芸術作品を上演する劇場としてのあり方には、どうしても首肯しかねるところがありました。開演前に舞台左右に置かれた2つの大きなプロジェクターでCMを流すのは、できれば、やめてもらいたいです。あれは企業のイメージダウンだと思います。お金(協賛金?)のことは私にはわからないし、一人の観客がこんなこと言ってもやり方を変えるわけないとは思いますが、劇場への行き方や、エントランス、ロビー、そして客席に座って開幕を待つ時間も含めた観劇体験を愛している人間にとって、あの“演出”は醜悪でした。
 客電を暗くしてまでイメージCMを見せられたせいで(2つ目以降は目をつぶっていましたが)、幕が開いた時はまるでテレビを見ているような感覚になってしまい、舞台の世界に入れないどころか、しばらくはイライラが静まりませんでした。「笑っていいとも!」の後の「ごきげんよう」が始まった時の感覚に似てるかも。わざわざ劇場まで足を運び、特別な気持ちでいるのに、お茶の間に引き戻さないでほしいんです。せめてCMが終わった直後に幕を開けるのをやめて、開幕直前の2~3分ぐらいは、何もない時間をつくってもらえたら。それだけでもずいぶん印象が変わると思います。他には、たとえばCMを作品に関連付けたクオリティーの高い映像にするとか…工夫していただけたら嬉しいです。

【出演】<Aキャスト:4/25(木)~5/5(日)>  セジン(女役):ユン・コンジュ / ジミン(男役):キム・ドヒョン <Bキャスト:5/6(月)~5/19(日)>  ク・ウォンヨン / イ・ス
演出・作詞・台本:ソン・ジェジュン 作曲:キム・ヘヨン 編曲・音楽監督:ウォン・ミソル 主催:テレビ朝日/アミューズ/トリックスターエンターテインメント  企画制作:アミューズ  協力:CJ E&M
平日:SS席7,800円/S席 6,800円/学割(S席対象) 5,000円 土日祝日:SS席 8,800円/S席 7,800円/学割(S席対象) 5,000円 サンキューチケット:3,900円(見切れの可能性がございます。アミューズ・ミュージカルシアターまでお電話でご予約下さい。※お座席位置はこちらにお任せいただきます。)テハンノシート:3,000円(見切れの可能性がございます。当日券のみ)※未就学児の入場不可  
http://www.amuse-musical-theatre.jp/caffeine/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 2013年05月03日 17:16 | TrackBack (0)