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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2013年11月08日

WOWOW・産経新聞社・フジテレビジョン・ネビュラプロジェクト『ショーシャンクの空に』11/02-10サンシャイン劇場

 1994年の映画『ショーシャンクの空に』が日本で初めて舞台化されました。主演は成河(ソンハ)さんと益岡徹さん。東京公演は10日までで、その後ツアーがあります。上演時間は約3時間(途中休憩10分×2回を含む)。

 私は映画の爽快感が苦手だったので、「彼(主人公)は本当は存在しなかったかもしれない」とした喜安浩平さんの脚色のおかげで、物語に入り込むことができました。作品のテーマである“希望”を、目に見えない、形もない不確かなものと徹底して描いていたのも良かったです。虚構だからこそ信じられるってこと、ありますよね。それが演劇の力でもあると思います。

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 レビューはほぼネタバレ以降のみ。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 暗闇でひとりペンを走らせるレッド。30年以上服役していたショーシャンク刑務所で出会った一人の男のことを思い出していた。元銀行家のアンディー。不思議な男だった。どんな劣悪な環境におかれても自らを保ち、希望を捨てず、未来を信じていた。長い囚人生活で、刑務所内で希望を持つことの怖さを知っていたレッドは、そんなアンディーをまぶしくも温かく見守ってきた。なにもかもが変わってしまったシャバには馴染めず、孤独で、またムショに戻ろうかと考えたとき、レッドは、アンディーとのある約束を思い出す──
 ≪ここまで≫

 主人公アンディー(成河)の部屋の壁には女優のポスターが貼られていました。その女優が実際に登場する演出が楽しいです。

 ここからネタバレします。

 出所したレッドはスーパーで働いていますが、一向に生活に慣れることができません。数十年もの収容所生活で起きたこと、特に冤罪で投獄され無期懲役を言い渡されたけれど、脱獄を果たしたスーパーマン、アンディーのことを書き留めることで、精神状態を保っていました。

 レッドが働くスーパーで万引きをする少年役(山崎彬)が追加され、彼と似た人物として刑務所の新入りトミー(同じく山崎彬)が登場します。シャバでの現在と、塀の中での過去(もしかすると空想)が重なり、レッドの覚書(または小説)の虚構性が強調されて良かったと思います。

 とうとう思いつめてしまったレッドは窓から飛び降りそうになりますが、実行に移す直前に、アンディーが言い残した石の下の鍵(だったかな)を思い出し、仕事も何もかも放り出して部屋を出て行きます。そして、とある木の下に石を見つけ、その下にあった赤い缶箱の中のアンディーの手紙を読みます。やがて2人はメキシコの海辺で再会するという、一見、映画と同じとも受け取れるハッピーエンドになっていました。
 でも本当はレッドは窓から飛び降りたかもしれないし、また、もし部屋から出たとしても、国境は超えられなかったかもしれない。そもそもアンディーは存在しなかったのかも…。そういう風にも受け取れる台本、演出になっていたのが良かったです。パっと明るくて、スカっとできるエンディグではなく。

≪東京、大阪、福岡、名古屋、松本≫
【出演】アンディー:成河、レッド:益岡徹、ノートン所長:粟根まこと(劇団☆新感線)、ケンドリクス:畑中智行(キャラメルボックス)、ハドリー刑務主任:筒井俊作(キャラメルボックス)、ブルックス:大家仁志(青年座)、ヘイウッド:今奈良孝行、少年/トミー:山崎彬(悪い芝居)、リタ・ヘイワース:高橋由美子、ラクエル・ウェルチ:宇野まり絵、マリリン・モンロー:新良エツ子、ルースター:山崎和如、バグズ:日栄洋祐(キリンバズウカ)、囚人他:鈴木秀明(キャラメルボックス)
『ショーシャンクの空に』スティーヴン・キング/著 浅倉久志/訳 原作:『刑務所のリタ・ヘイワース』(新潮文庫刊『ゴールデンボーイ ―恐怖の四季 春夏編―』所収 ) 脚本:喜安浩平 演出:河原雅彦 美術:松井るみ 照明:大島祐夫 音響:藤本純子 スタイリスト:高本阿友子 ヘアメイク:武井優子 殺陣:武田浩二〈アクションクラブ> ステージング:安田栄徳 演出肋手:渡邊干穂 舞台監督:矢島健 演出部:高庄優子/瀬戸元哲/五十嵐彩乃 美術肋手:中西紀恵 照明操作:片山通子/川添真里/関口大和/鶴岡大樹/勝本英志≪東京公演≫ 音響操作:藤原志都花 音響機材協力:KTO 小道具協力:高津装飾美術 犬道具製作:C-COM/拓人/オサフネ製作所 特殊効果:ギミック 衣裳部:平野遥香 衣裳制作:山中摩耶/立花文乃/ピカイア 衣裳協力:溝口貴之〈東京衣裳> ウィッグ協力:三川屋/アートネイチャー 編曲:「Put The Blame on Mame」「I Wanna Be Loved By You」 鶴来正基 「Nessun Dorma(誰も寝てはならぬ)」清水俊也 音楽協力:高岡原詞 プロデューサー:仲村和生〈ネビュラプロジェクト> 武田吉孝〈WOWOW> 山本淳子〈産経新聞社> 制作:鎌倉知香〈WOWOW> 木村友香〈産経新聞社> 金田ひろみ〈ネビュラプロジェクト> 制作助手:安井和恵 瀧見守里〈WOWOW> 和泉さなえ〈産経新聞社> 宣伝美術:柳沼博雅〈GOAT> 宣伝写真:平田光二<アボロ創研> 宣伝スタイリスト:川端恵美 宣伝ヘアメイク:伊藤麻由美〈air supply> 舞台写真:伊東和則 宣伝美術進行:小森和博〈ネビュラプロジェクト> 主催:WOWOW 産経新聞社 ネビュラプロジェクトフジテレビジョン≪東京公演≫ 制作協力:サンライズプロモーション大阪≪大阪公演≫ スリーオクロック福岡公演 制作:ネビュラプロジェクト/ナッポスユナイテッド
前売開始:9月1日(日)10:00 全席指定(税込) 7,500円
http://shawshank-stage.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2013年11月08日 15:12 | TrackBack (0)