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2013年11月12日

ワンツーワークス『ドキュメンタリーシアター「息をひそめて―シリア革命の真実―」』11/11-17赤坂RED/THEATER

 「シリアからの難民が200万人を超えた」「サリンが使われた(らしい)」というニュースはインターネットで流れてくるごとに胸を痛めつつ追ってはいたのですが、正直なところ、“報道”というものに対する疑念がないわけではなく、何が本当なのかわからないと思っていました。

 このドキュメンタリー演劇に、事実を教えてもらえたように思います。「内戦じゃなくて大虐殺が起こっているんだ」というセリフ(=実在の人物の発言)がありました。他にも数々の証言が…。
 無料で配布されるパンフレットに、シリアの現状を詳しく解説する年表や地図などの資料が載っています。上演時間は約2時間。※10歳未満の児童の入場不可。

 初日は目算で6割ぐらいの入りでしょうか。満席になりますように。明日11/12(火)19時の回には、シリア取材をされた演出家ゾウ・ラファティさんが登壇するポスト・パフォーマンス・トークがあります。

 ⇒英語の紹介記事「Zoe Lafferty Presents:The Fear of Breathing – Stories from the Syrian Revolution, 11/11
 ⇒CoRich舞台芸術!『息をひそめて―シリア革命の真実―

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 混乱を極めるシリアに密かに入国し、インタビュー取材にあたったのは、「BBC」(英国放送協会)のポール・ウッド、イギリスの新聞社「デイリー・テレグラフ」のルース・シャーロック、そして演出家のゾウ・ラファティ。

 窒息しそうな圧政と恐怖の環境に身を置きながら取材に応じたのは、「打倒! アサド政権」を掲げて「自由シリア軍」をつくるため政府軍を脱走した兵士たち、首都・ダマスカスのホテルのオーナー、拷問を受けた経験を持つ学生活動家、ラジオのDJを務める女性活動家、反政府軍のメディアコーディネーター、ある母親、ある写真家……。

 その数々の証言から、既に死者10万人とも言われる、シリアの現状が鮮明に浮かび上がる。 2012年7月、ロンドンで初演。またたく間に反響を巻き起こした真実の物語。 いよいよ日本上陸。本邦初演。
 ≪ここまで≫

 英国BBCのポール・ウッドさん、英国の新聞社「デイリー・テレグラフ」のルース・シャーロックさん、演出家のゾラ・ラファティさんの3人が、約半年の間に数回シリアに密入国し、現地の運動家やホテルのオーナーなどに継続してインタビューしてきた記録だそうです。冒頭のセリフはこちら。
 「この芝居はシリアでの取材に基づいている。話されていることはすべて事実で、登場人物は全員実在している。台詞は一言一句、彼らの話した言葉通りである。身元が特定されないように名前は変更してある。」

 カメラとジャーナリストに向かって話す場面と、リアルな回想シーンからなるお芝居で、現地の映像も流れます。見て、聞いているだけでつらいですが、シリアで起きていることを知る方法として、この観劇体験はいいものだと私は思います。
 新聞や本を読んだり、テレビやネット上の動画を見たり、(日本には)色んな情報収集方法があります。演劇では、目の前で怒り、泣き、苦しむ人を見て、感じ取ることができます。俳優がその心身を使って、懸命に、実在する人物の思いを伝えてくれるから。

 2012年7月ロンドン初演、そして2013年11月のこの公演で日本初演となりました。ますます泥沼化してるなんて。

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 写真家(松田洋治)「これまで見て来た戦場とは全然違う。全く容赦がない。誰でも無差別に殺している。政府は殲滅しようとしている。」

 会計士(川辺邦弘)「私が住んでいた家の隣のマンションが爆撃で全壊しました。住人がいるのに、そのまま。私はがれきの中から人を引っ張り出しました(でも上半身がなかったり、足や腕だけだったり)。子供数十人を含む120人の人を埋葬しました。」

 ダマスクス大学の青年クワタバ(形桐レイメイ)は収容所で拷問され、解放されてもまたすぐにつかまって、今度は恩赦で解放されて、でもまた追われて…とうとうシリアを脱出します。
 クワタバ「僕は自由シリア軍に入隊する。トルコに養成施設がある。武器を密輸するんだ。学生のころが懐かしい…(一瞬涙ぐむ。でも彼は軍人になる決意をして歩みだす)。」

"The Fear of Breathing – Stories from the Syrian Revolution"
出演:萩原流行、奥村洋治、松田洋治、川辺邦弘、関谷美香子、越智哲也、日暮一成、赤城海斗、形桐レイメイ
脚本:ゾウ・ラファティ 取材:ルース・シャーロック ポール・ウッド ゾラ・ラファティ [翻訳]霜康司 演出:古城十忍 美術=礒田ヒロシ  照明=磯野眞也  音響=黒澤靖博  舞台監督=浜辺心大朗  衣裳=高木渚 イラスト=古川タク  デザイン=西英一  スチール=富岡甲之  票券=ぷれいす 協力=タクンボックス/Gプロダクション/アイズ/オーケープロダクション/アクトレインクラブ/文学座/オフィスクロキ/一二の会/「エンジェル」の皆様 制作=藤川けい子   製作=(株)オフィス ワン・ツー
The original interviewers: Zoe Lafferty, Paul Wood, Ruth Sherlock
The original editor & director: Zoe Lafferty
The original producer: Chris Foxon
The original producing house: the Finborough Theatre, London
Artistic Director(First performed at the Finborough Theatre): Neil McPherson    
【発売日】2013/09/18 全席指定 前売4,000円  当日4,500円 U25(25歳以下) 2,500円   ワンツーチケット(2回観劇チケット) 6,500円
※「U25」は「ぷれいす」のみでの取り扱い。要証明。
※「ワンツーチケット」は本公演を2回観たい方のためのチケットです。同じ回の2枚予約ではありません。「ぷれいす」のみでの取り扱い。
※受付開始および当日券販売開始は開演の1時間前、開場は30分前です。
※10歳未満の児童はご入場いただけません。
http://www.onetwo-works.jp/nextstage_syria.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2013年11月12日 00:38 | TrackBack (0)