2013年03月03日
ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場『ルル』02/27-03/03東京芸術劇場プレイハウス
ルーマニアの国立劇場の2008年初演作品を、東京芸術劇場が招聘してくださいました。上演時間は約2時間45分(途中20分間の休憩を含む)。ルーマニア語上演・日本語イヤホンガイド付。
舞台上舞台には馬蹄形の客席がしつらえられています。たった5ステージのために、こんなに建て込んでくださるとはっ!感謝しかないですね。客席の足もとの幅が狭かったので、休憩が20分間あって助かりました。
舞台写真をコラージュしたチラシのビジュアルが素晴らしいと思います。実際拝見して、内容にもぴったりでした。
⇒今作の出演者で、シビウ国際演劇祭ディレクターのコンスタンティン・キリアックさんのインタビュー(2009年)
⇒CoRich舞台芸術!『ルル』
≪作品紹介≫ 公式サイトより
21世紀を震撼させる悪女 途方もなく残酷な、パンドラの箱が開かれるー
ドイツの劇作家フランク・ヴェデキントの傑作『地霊』(1895年)と『パンドラの箱』(1904年)の二部作を1つの作品としてまとめた作品が『ルル』。アルバン・ベルクがオペラ化したことでも知られる本作を、ルーマニアを代表する演出家プルカレーテが脚色・演出。プルカレーテ版『ルル』では、リニューアルしたプレイハウス舞台上に特設ステージと客席を設置。陪審員席のような馬蹄形の客席は、まるでルルの生涯を至近距離で目撃するような感覚を与えます。
≪ここまで≫
『ルル』というと破滅を呼ぶファム・ファタール。ルル役の女優オフェリア・ポピさんはとても魅力的です。豊満な身体にコケティッシュなお顔で少女のような仕草をしますが、行動は基本的に野獣(笑)。出演者は皆、舞台で堂々と立っていて、ナチュラルな演技がとても巧みだと思います。演出はいわゆるスタイリッシュ&クールな形式におさまらず、ろうそく、水、粉などでハプニングを誘発するのが贅沢。
ただ、グングンと客席まで迫ってくるようなグルーブ感は、期待していたほどではなかったですね。“こなれた感覚”が『ショックヘッド・ピーター』の時と似てました。レパートリー作品ならではの“慣れ”なのかしら。私が観たのが千秋楽だったせいもあるかもしれません。初日に行ってたら良かったのかな~。
パンフレットによると、ラドゥ・スタンカ劇場は1788年に設立された歴史ある劇場。シェーン博士役のコンスタンティン・キリアックさんが2000年に芸術監督に就任して以来、高く評価され、2004年に国立劇場になったそうです。「劇場は50人の俳優を抱え、古典から実験的作品まで、国内作品から海外のアーチストとの共同製作作品も含み、レパートリー制でシーズン中に約70作品を上演、1年に新作を10数本開幕する精力的な活動を繰り広げる」とのこと。
ここからネタバレします。
私は、パリ(いや、ロンドンかな?)でのみじめな生活を描いた後半の方が面白かったです。ルルがお湯をはったバスタブにずっと入っていて、粉まみれの人たちに囲まれるカオティックな空気も好き。
娼婦をさげすみ、頑なに拒否していたルルですが、食べる(食べさせる)ために“立ちんぼ”になります。ストーリーを知っていたので、「いつ切り裂き犯が出てくるかな…」とドキドキしながら待っているのがスリリングでした。冒頭で登場した赤い口紅の男性だったとは。
生演奏がありましたが、別に生演奏でなくても、録音の音楽でもそんなに変わらないんじゃないかと思いました。
東京芸術劇場リニューアル記念 ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場 初演3008年5月24日
【出演】ルル:オフェリア・ポピ シェーン博士:コンスタンティン・キリアック ゲシュヴィッツ伯爵令嬢:マリアナ・ミフ ディアナ・フフェザン シュワルツ:ミハイ・コマン ゴル博士、ロドリーゴ、軽業師:クリスティアン・スタンカ アルヴァ:アドリアン・マティオク ヘンリエッテ:クリスティナ・ストレリゥ シゴルヒ:ダン・グラス フェルディナンド:パリ・ヴェセイ ジャック:カタリン・パトル その他:エマ・ヴェツェアン ラルカ・ヤニ クリスティナ・ラゴス ジェル・ポトゾリ エドワルド・パトラシュク 音楽(演奏):ラウラ・カリナ アンカ・ロレダナ・ザンカ コラ・ミロン
作:フランク・ヴェデキント 演出・脚色:シルヴィウ・プルカレーテ 翻訳:ヴィクトル・クコラデツ 装置・照明:ヘルムト・ストゥルメル 衣裳:リア・マンツォク 音楽:ヴァシレ・シルリ
芸術監督:野田秀樹 技術統括:白神久吉 技術監督:福田順平 プロダクション・マネージャー:奥野さおり 演出部:鈴木章友 照明コーディネート:新島啓介 音響コーディネート:末廣友紀 衣装:田辺雪枝 大道具:有限会社プランニング・アート 株式会社村上舞台機構 国際貨物輸送:ケイラインロジスティックス株式会社 ルーマニア台本翻訳:志賀重仁 イヤホンガイド:株式会社イヤホンガイド イヤホンガイドナレーション:人村朱美 ユリア 技術通訳:志賀重仁 堀越エレナ 広報:藤井満里子 梁有希 宮村恵子 票券:佐島めぐみ 宍戸円
東京芸術劇場スタッフ 舞台:楳木涼子 藤田満 伊藤義拳 佐藤綾香 加藤唯 照明:山川剛 志賀正 阿部桃子 高山智弘 音響:出井稔師 齊藤泰邦 高島斎 宣伝美術・プログラムデザン:隆俊作 岡垣吏紗 山根綾(Gene & Fred) 制作:勝優紀 制作進行:今野真理子 古田佳代 制作協力:奥山緑 制作助手:ツァラヌ・ラモーナ
【発売日】2012/12/08 S席 6,500円、A席 6,000円 65歳以上 5,500円、25歳以下 4,500円、高校生割引 1,000円
※65歳以上、25歳以下、高校生割引は、A席を割引価格にてご購入頂けます。(枚数限定・前売のみ。要証明書)
※障害をお持ちの方:S席、A席を10%割引にてご観劇いただけます。前売のみ、一般発売より取扱い。お付添いの方は1名様まで無料となります。(チケットお引取りの際に、障害者手帳をご提示ください。)
※中学生以下の方はご観劇頂けません。
※本作品には刺激の強いシーンがございます。予めご了承ください。
http://www.geigeki.jp/performance/theater016/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【オーディション】ブルドッキングヘッドロック「10月公演の出演者・劇団員オーディション」※4/18〆切(メールのみ)
喜安浩平さんが作・演出を手掛ける劇団ブルドッキングヘッドロックが、出演者・劇団員オーディションを実施します。⇒2010年の作品のレビュー 詳細は公式サイトでご確認ください。
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応募〆切:2013年4月18日(木)※メールのみ
募集対象:2013年8月中旬から始まる稽古・本番に参加可能な18歳以上の男女(高校生不可)。
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⇒2013年4月3日(水)~10日(水)に新作『少し静かに』が上演されます。オーディションを受ける前にご覧になることをお勧めします。※今作の演出は西山宏幸さんです。
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大きなポイントは「短編であること」「日本各地の制作者/プロデューサーが選考すること」「最終候補作の10作品程度がまとめられ冊子になること」、そして大賞作品は仙台市内でリーディング公演が行われます。
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応募条件をよく読んでご応募ください。