2013年09月07日
舞台芸術制作者オープンネットワーク[ON-PAM]「第二回文化政策委員会『理想と現実のはざま~日本版アーツカウンシルの動向から考える文化行政の未来~』」09/03神奈川芸術劇場中小スタジオ
舞台芸術制作者オープンネットワーク[ON-PAM(オンパム)]第2回文化政策委員会に参加しました(⇒関連エントリー)。
今回のテーマは日本版アーツカンシルの動向。日本芸術文化振興会(日本版アーツカウンシル)、アーツカウンシル東京、大阪アーツカウンシル、沖縄県文化振興会のプログラムディレクターが一堂に会し、それぞれの現状、使命、将来のヴィジョンについてプレゼンテーションしてくださいました。司会や参加者から出た質問への返答から、役割や考え方の違いなどがよくわかりました。

■ON-PAM第2回文化政策委員会
理想と現実のはざま ~日本版アーツカウンシルの動向から考える文化行政の未来~
<ゲスト(50音順)>
石綿祐子(アーツカウンシル東京 プログラムディレクター)
酒井誠(日本芸文文化振興会 演劇部門プログラムディレクター)
佐藤千晴(大阪アーツカウンシル 統括責任者)
杉浦幹男(公益財団法人沖縄県文化振興会 総務企画部 プログラムディレクター)
ディスカッション司会:林立騎(翻訳者/ON-PAM文化政策委員会)、他
●日本芸文文化振興会(事業予算:空欄 助成予算:14億9740万円)
酒井誠さんによると「日本芸文文化振興会の助成金のすべてが“赤字補てん”ではない」そうです。少しずつ変わってきているんですね。
●アーツカウンシル東京(事業予算:5億4千6百万円 助成予算:1億2千万円)
石綿祐子さんは「助成というより投資。芸術団体とパートナーになる」とおっしゃっていました。「対話機会を作る」とも。
●沖縄県文化振興会(事業予算:2億3千万円 助成予算:1億9千万円)
杉浦幹男さんの「(応募はあっても)採用できた事業が少なくて、余った予算を国に返納した」というお話が、一番インパクトが強かったです……。沖縄の県民性などのお話も興味深く、都道府県や各地域で必要な人材や助成は異なってくるのだろうと思いました。
沖縄県文化振興会では今後、制作者を育成する企画があるそうなので、ご興味のある方は是非注目しておいてください。なんとお給料をもらいながら沖縄で勉強できるそうです。劇場法の芸術監督制度も視野に入れた将来の企画もあるとのこと。
●大阪アーツカウンシル(事業予算:なし 助成予算:3千2百万円)
助成金の予算はあるけど、アーツカウンシル自体の事業予算が0円なので、「とにかく助成をした団体・作品でアーツカウンシルとしての成果を出すしかない」とのこと。佐藤千晴さんは「助成金のセールスに行こうと思っている」とおっしゃってました。佐藤さんのお話は明瞭で、意味も、意志も、とてもわかりやすかったです。さすがは元・大手新聞記者さんだと思いました。
ON-PAM文化政策委員会副委員長の中村茜さんが最後におっしゃったことでもあるのですが、このように公的助成団体の責任ある方々と、オープンに語り合える場が設けられたことが大きな進歩だと思います。制作者の方々は、こういう機会に積極的に参加していかれると良いのではないでしょうか。まずは公的助成に興味をもって、調べてみるといいと思います。
※ON-PAMの会員は150人以上になったそうです。
ON-PAM第二回文化政策委員会
テーマ:日本版アーツカンシルの動向
日時:2013年9月3日(火)18:30~
会場:KAAT/神奈川芸術劇場 中小スタジオ
主催:舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM) 共催:KAAT神奈川芸術劇場 協力:STスポット、急な坂スタジオ
http://act.onpam.net/2013/08/27/%E3%80%90%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B%E3%80%919%E6%9C%883%E6%97%A5%EF%BC%88%E7%81%AB%EF%BC%891830%E9%96%8B%E5%A7%8B%EF%BC%A0%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E3%80%80%EF%BC%9C%E7%AC%AC2%E5%9B%9E%E6%96%87.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【公募】こまばアゴラ劇場「こまばアゴラ劇場・支援会員制度『アーティスト会員・プロデューサー会員募集』」※9/25郵送必着
平田オリザさんが芸術監督をつとめるこまばアゴラ劇場は、10年もの劇場支援会員制度の歴史がある、民間の小劇場です。私はここ数年はずっと支援会員になっています。
こまばアゴラ劇場のフェスティバルが休止して一年が経過し、あらたに「将来の芸術監督・プログラムディレクターの育成」をミッションとした、アーティスト会員・プロデューサー会員を募集するそうです。同会員に選ばれると、こまばアゴラ劇場・アトリエ春風舎で上演される舞台を無料で観られるようになります。
観劇フリークの1人としてよく感じていることですが、作り手の方々にとっても、さまざまなジャンルの舞台作品を観ておくことは有益で大切なことだと思います。概要をよくご確認の上、ご応募ください。
●こまばアゴラ劇場「こまばアゴラ劇場・支援会員制度『アーティスト会員・プロデューサー会員募集』」
〆切:2013年9月25日(水)郵送必着
募集人数:最大5名
対象:26歳以下の劇作家・演出家・振付家・制作者・プロデューサー・主宰者など。
柿喰う客『女体シェイクスピア004「失禁リア王」』09/05-17吉祥寺シアター
中屋敷法仁さんが作・演出(出演も)される劇団柿喰う客の、シェイクスピア戯曲を女優だけで演じるシリーズの新作です。上演時間は約1時間30分。
四大悲劇の1つ『リア王』(⇒Wikipediaあらすじ)をコンパクトにわかりやすく構成。音楽劇というよりはミュージカルだと思った方がいいんじゃないかしら。とにかく歌、歌、歌の連続!いい意味で“若い女優の品評会”のような、ゴージャスな公演でした。
※配役をシャッフルして上演する「乱痴気」公演が2ステージあります。いつも2バージョン公演をやる体力、気力がすごい。出演者は鍛えられると思います。
⇒CoRich舞台芸術!『失禁リア王』※こりっちでカンタン予約!
抽象舞台をカラフルな照明で染めます。衣装はチラシのビジュアル(パンフレットも)にあるように、黒スーツや体にフィットしたドレスで、華やかな夜のイメージ。若い女優さんがセクシーに見得を切り、堂々とマイクを持って歌い上げます。歌が問題なく上手なんですよ~。だからミュージカルって言ってもいいと思いました(音楽は録音ですがオリジナルです)。
あのコこんなに歌えるんだ、コメディもイケるのね~等と、女優さん一人ひとりをじっくり眺める、若い女優の品評会的楽しさがありました(いい意味で)。基本的に役者さんは客席の方を向いてるんです。2人だけの会話中でも、2人とも客席の方を向いてるから、顔が覚えやすい!(笑) ヘアメイク、スタイル(体系)もマジマジと眺めてしまいました…すみません(笑)。それぞれに個性や特技が生かされていて良かったです。特に印象に残ったのはリアの次女リーガンを演じた杉ありささん。杉さんは洗足学園音楽大学ミュージカルコースの出身です。有名どころだと昆夏美さんもそうですね。
これまでのシリーズ3作の中では、ホストクラブのようなムードだった『悩殺ハムレット』に似てるかなと思いました。衣装、ステージング(登場人物の位置関係)など、とても上手にまとまっていて、これを観れば『リア王』の人物相関図は立体的に頭に入るし、あらすじもばっちりわかります。そして歌って踊る若い女優さんを楽しめる。チケット代一般4,500円は妥当だと思いました。ただ、演出家としての中屋敷さんに期待している一観客としては、独自の解釈をもっと取り入れて欲しかったなぁとも思いました。そこも『悩殺ハムレット』に似てるかも。あとは、いつも感じてることなんですが、笑いが生まれるリラックスした間(ま)というか、もうちょっと隙が欲しいですね。
衣装がチラシとパンフレットの製作段階で決まっていて、それが本番に反映されるのは、このシリーズならではですね。
ここからネタバレします。
ポスト・パフォーマンス・トークで中屋敷法仁さんは、今回の演出のテーマは映画『ゴッド・ファーザー』と何か(忘れました)とおっしゃっていて、なるほどと思いました。家族で殺しあうマフィアのハードボイルド・ムービーですものね。『リア王』は壮大な悲劇にもできるけど、ある愚かな家族の話にもできる(スケールをダウンサイズできる)、懐深い戯曲だという意味のこともおっしゃっていたような。
出演:伊東沙保(グロスター伯) 内田亜希子(ゴネリル) 岡野真那美(ケント) 加藤紗希(カラン) 北原沙弥香(コーディリア) 葛木英(オズワルド、隊長) 阪田瑞穂(エドマンド) 七味まゆ味(エドガー) 杉ありさ(リーガン) 中林舞(オールバニ公・ゴネリルの夫) 新良エツ子(道化) 葉丸あすか(バーガンディー、鍵) 平田小百合(フランス王) 深谷由梨香(リア) 渡辺早織(コーンウォール公・リーガンの夫)
原作:W.シェイクスピア、脚色・演出:中屋敷法仁 美術:原田愛 照明:松本大介/鳥海咲 音響:上野雅 音楽:てらりすと 音楽監督:和田俊輔 歌唱指導:水野里香 衣裳:髙木阿友子 ヘアメイク:梅澤裕子 演出助手:入倉麻美 舞台監督:川除学 宣伝美術:山下浩介 宣伝写真:引地信彦 宣伝ヘアメイク:梅澤裕子 映像撮影:竹崎博人 Web:間屋口克 票券:北澤芙未子 進行:加藤恵梨花 アシスタントプロデューサー:赤羽ひろみ プロデューサー:斎藤努 スーパーバイザー:伊藤達哉 企画:柿喰う客 協力:ゴーチ・ブラザーズ 共催:(公財)武蔵野文化事業団 制作:公益社団法人日本劇団協議会 主催:文化庁/日本劇団協議会
失禁アリーナ:5,500円(最前列、枚数限定、オリジナル缶バッチ付き) 通常料金:4,500円【初】初日割引:4,000円 【昼】平日昼割:4,000円 【女】ガールズナイト(女性は割引料金4,000円/男性は全ての券種料金倍額) 【乱】乱痴気公演(全キャストシャッフルにて上演4,500円) ≪各ステージ≫敬老(60歳以上):4,000円 学生:2,000円/高校生以下:1,000円(※枚数限定、前売引換券にて当日受付にて座席指定) ※当日料金は前売料金より500円増です。
http://kaki-kuu-kyaku.com/lear/index.html
http://kaki-kuu-kyaku.com/main/?p=3017
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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