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2014年11月27日

【情報掲載】Studio Life「劇団スタジオライフ創立30周年製作発表イベント」11/13中野コングレスクエア・コンベンションホール

 創立30周年を迎える男優ばかりの劇団Studio Lifeより、製作発表イベントのレポートが届きました。

 昨年亡くなられた河内喜一朗さんに代わって劇団の新代表に就任された藤原啓児さんのご挨拶があり、今後のラインアップの発表に合わせて、代表作『トーマの心臓』のDVDボックスの発売も発表されました(2015年上旬発売予定)。

 劇団創立30周年を記念して、劇団員オーディションも開催されます。以下、レポートを転載いたします。

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●The Rise of The Curtain ~Studio Life 30th Anniversary ACT 1
 劇団スタジオライフ創立30周年 製作発表イベントレポート!

劇団スタジオライフは去る11月13日、東京都中野区のコングレスクエア コンベンションホールにて、劇団創立30周年となる2015年へ向けた製作発表イベントを開催した。これは次期演目を発表する通常の記者会見とは異なり、6月に創立者であり主宰の河内喜一朗代表を喪ったスタジオライフが、次なる時代へと一歩を踏み出すための出陣式のような趣。

壇上には草創のメンバーから近年入団のフレッシュなメンバーまで、30名を超える劇団員がズラリと顔を揃え、いつになく緊張顔。マスコミ・取材陣のほか劇団ファンクラブ会員400名以上が詰めかけて行われたイベントは、「これからもファンの皆様と共に前へ進んでいきたい」との劇団員たちの思いが伝わる、愛情と熱気にあふれた集いとなった。

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藤原啓児さん

製作発表に先立ち、まずは新代表に就任した藤原啓児からあいさつ。平日の昼間にも拘わらず集まってくれた400名以上のファンに驚きと感謝を述べるとともに「自分の生活を投げ捨ててでもスタジオライフを想う、皆さまの情熱と嗜好性が、スタジオライフの29年を支えた第一の要因であると明言させていただきます」と笑いを取った。

「スタジオライフは河内代表を喪って最大の困難を迎えております。しかし、関係各位からの温かいお言葉を受け、代表が生涯をかけて築き上げた“人脈”という希望の光が燦然と輝いているのも確信しています。スタジオライフの代表とか副代表職には、権威は必要ないと思っています。どうぞ、本日お集まりいただきました“スタジオライフ最強の応援団”の皆様には、今後ともご指導・ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます」

役者の一人として、またある時はファンイベントのMCとして、はたまた場内整理係としても、スタジオライフの舞台を観に行けばいつも額に汗しながら表に裏に立ち回る藤原の姿がある。集ったファンたちもそれを長年見ているだけに、まるで親戚のような親近感をもって新代表のあいさつに耳を傾けるのだった。新生スタジオライフの門出を共にしようという、熱く力強い感動の気配が場内を包む。

続いては、感動を呼び寄せたそのマイクを握ったまま空気を一新! 藤原自らまさしく「権威は必要ない」の言葉通り陽気に、団員たちをイジりながら若干呆れられながら(笑)、2015年の上演ラインナップの発表へ。

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■2014年12月18日~2015年1月12日『GREAT EXPECTATIONS~大いなる遺産~』
■2015年1月29日~2月15日『夏の夜の夢』
■2015年5月『WHITE』
■2015年7月~8月 戦後70年記念『アドルフに告ぐ』
■2015年11月~12月『PHANTOM 語られざりし物語』PartⅠ・PartⅡ同時上演

とりわけ2011~2012 年の初演で好評を博し、再演が待ち望まれていた『PHANTOM』の名が読み上げられると、客席からはひときわ高い歓声と拍手が上がった。

さて、そんな新生スタジオライフの第一弾となる本公演が、来たる12 月から上演される『GREAT EXPECTATIONS~大いなる遺産~』だ。ご存じイギリスの文豪チャールズ・ディケンズによる半自叙伝的な長編小説だが、これが2012~2013 年、ジョー・クリフォードの脚色のもと舞台化され、ロンドンで大絶賛された。このクリフォード版『大いなる遺産』の日本初演とあり、各方面からの期待が高まる。

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倉田淳さん

今回の企画は故・河内代表の熱望でもあった。「原題『GreatExpectations』が示唆するように、これは偉大なる期待、希望の物語です。狂気と厳しい現実と繰り返される落胆の中にあっても、決して失われない希望。明るいニュースが少ない今こそ、この物語を伝える時ではないかと思っています」との河内の言葉を胸に、スタジオライフ劇団員が一丸となって挑戦する運びとなった。

演出を担当する倉田淳は「今回改めてディケンズ作品を読み返し、若いころ読んだ時には見落としていた奥深さ、人生の至言の多さに衝撃を受けています。ディケンズというと日本には“ちょっと暗いな、重いな”というイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、(この演目を通して)まったく新しいディケンズに出会ってもらえたら、と。そこを目指して頑張りたいと思っています」と抱負を述べた。

主人公・ピップ少年を演じるキャストらも「劇団の新たな代表作にしたい」(松本慎也)、「皆さんもきっと共感できる部分が多い作品です」(関戸博一)とそれぞれに作品の魅力をPR。貧しい少年ピップが、波乱万丈の人生のその先に得たものとは――。『GREAT EXPECTATIONS~大いなる遺産~』は12 月18 日から来年1 月12 日まで、東京・シアターサンモールにて。

なおこの日のイベントの最後には、劇団の代表作筆頭である『トーマの心臓』がついにDVDボックスとなってリリースされることも発表され、大いにファンを沸かせていた。(文・上甲薫)

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 『トーマの心臓』は1996年の初舞台化から再演を重ね、昨年の公演で8度目の上演となった、同劇団の代表作の中の代表作です。以下は昨年の公演に関するリンクです。
  ⇒【情報掲載】Studio Life「『トーマの心臓』製作発表会見
  ⇒【情報掲載】Studio Life「『トーマの心臓』初日レポート
  ⇒【写真レポート】Studio Life『トーマの心臓(Kabinettチームのゲネプロ)

 ※DVDには本編に加え、特典映像として原作・萩尾望都×演出・倉田淳×出演劇団員によるスペシャルインタビューが収録されます。

 ※原作は萩尾望都さんの傑作少女漫画。

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 『トーマの心臓』のサイドストーリーである『訪問者』もお薦めです。『訪問者』も同劇団が舞台化しています。

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※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2014年11月27日 11:21 | TrackBack (0)