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REVIEW

2015年04月17日

劇団チョコレートケーキ『追憶のアリラン』04/09-19東京芸術劇場シアターイースト

 古川健さんのオリジナル脚本を日澤雄介さんが演出する劇団チョコレートケーキの新作です。東京芸術劇場の芸劇eyesに選ばれています。私がこの劇団の作品を観るのは「CoRich舞台芸術まつり!2013春」の最終選考作品となった短編2作以来です。

 『追憶のアリラン』は日本が統治していた朝鮮が舞台。いい意味で歴史の教科書のようなお芝居だと思いました。知らないことを知り、今と照らし合わせて考えることが出来ます。上演時間は約2時間15分、休憩なし。

 ⇒CoRich舞台芸術!『追憶のアリラン

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
1945年8月、朝鮮半島は35年の長きにわたる日本の支配から解放された。
喜びに沸く半島で、在朝の日本人は大きな混乱に巻き込まれた。
拘束され、裁かれる大日本帝国の公人たち。罪状は「支配の罪」。
70年前、彼の地朝鮮半島で何が起こったのか?
一人の日本人官僚の目を通して語られる「命の記憶」の物語。
 ≪ここまで≫ 

 真摯に肉声で物語り、歴史を伝えるお芝居だったと思います。昭和の時代から新劇の劇団が担ってきた役割を、東京の小劇場劇団が自ら継承したという見方もできるでしょうか。回想シーンを適度に挟み、長い説明ゼリフの連続になるのを避けた戯曲の構成が素晴らしいと思いました。ただ、登場人物が物語を伝えるために存在している印象を受けました。それが悪いというわけではないのですが、個人的には物足りなさを感じるところです。

 いくつかの階段で構成された透け感がある抽象美術で、時と場所がスムーズに変化します。階段が天井へと昇って行くようにも見え、暗示する何かを受け取れて良かったです。全編通して照明が暗く、俳優の演技が見えづらかったのは少し残念でした。

 ここからネタバレします。

 日本の敗戦後に朝鮮の北側を支配したのはソ連でした。日本人検事ら4人の人民裁判の判決もすべてソ連の指示通り。
 「軍隊は軍隊を守るが国民は守らない」という意味のセリフがあり、その通りだと思いました。

 検事らを見捨てて先に日本に帰国していた憲兵隊長(佐瀬弘幸)は、シベリアに抑留されている日本人の解放を求める運動を始めていました。彼よりもずいぶん後になって帰国が叶った豊川(佐藤誓)宅で、2人で話すシーンが良かったです。佐瀬さんが愚かな日本人を堂々と演じてくださったので笑えましたし、対比が鮮やかでした。

第25回公演 芸劇eyes
出演:浅井伸治、岡本篤、西尾友樹(以上、劇団チョコレートケーキ)、月影瞳、佐藤誓、辻親八、大内厚雄(演劇集団キャラメルボックス)、永井若葉(ハイバイ)、青木シシャモ(タテヨコ企画)、菊池豪、佐瀬弘幸(SASENCOMMUN)、渡邊りょう(悪い芝居)
脚本:古川健(劇団チョコレートケーキ)
演出:日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)
舞台美術:鎌田朋子
照明:朝日一真(A's light)
音響:佐久間修一
衣装:藤田友
演出助手:田上果林(エムキチビート)
舞台監督:本郷剛史
宣伝美術:R-desigh
スチール:池村隆司
撮影:神之門隆広(tran.cs)
広報:朝倉奈々緒(劇団チョコレートケーキ)
キャスティング協力:吉川敏詞(ai-ou!)
Web:ナガヤマドネルケバブ
制作:菅野佐知子(劇団チョコレートケーキ)
制作協力:塩田友克
企画・製作:劇団チョコレートケーキ
【休演日】4月13日(火)【発売日】2015/02/10 未就学児入場不可(託児施設あり)。
日時指定・整理番号付自由席
前売り 3300円
当日  3500円
前半割 3000円(9日~12日)
U25 2500円(25歳以下。要身分証提示。劇団・東京芸術劇場、前売りのみ取扱。)
http://www.geki-choco.com/next_stage/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2015年04月17日 23:55 | TrackBack (0)