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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2002年06月04日

新国立劇場演劇『その河をこえて、五月』06/03-13新国立劇場・小劇場

 平田オリザ(青年団)演出、初体験です。2002年日韓国民交流年記念事業。朝日舞台芸術賞グランプリを受賞しています(2005年追記)。舞台写真はこちら

 2年半前からスタートした企画だそうです。集客数やお金が目的ではなく、長期的視野で理想(目的)を実現するためにお芝居を作る。国立の劇場だからこそ出来ることですよね。すばらしいと思います。

 本当の意味で日韓共同製作なんですよね。役者さんもほぼ半分ずつが日本人と韓国人。演出も平田さんと韓国人の方との2人だし、脚本も平田さんと韓国人の方との共著です。脚本は、通訳さんを挟んだ電子メールのやりとりで第4稿まで書き上げたとか。内容もまさに韓国人と日本人との係わり合い。在日韓国人も出てきます。

 韓国に住む日本人が集まる韓国語学習サークルのお花見。そこに韓国人家族も花見にやってきます。河原で繰り広げられる日・韓・在日それぞれの過去と現在。悩み、希望、そしてこれから。二国間のド真ん中直球勝負だと思います。

 平田オリザさんのお芝居は『ハイパーリアリズム』というジャンルになるそうです。なるほど、リアル。自然。まんま、を狙ってる?それゆえかクサイところが・・・・どうしても目に付いちゃいます。

 気持ちの良いそよ風の吹く昼下がり。満開の桜の木の下でお弁当を囲みながら談笑する人たち。なのに、深刻な話になるとちょっと照明が暗くなったり、いい間合いで効果音が鳴ったりする。・・・・すごく白々しく感じちゃうぅ。

 平田さんの脚本はものすごく真摯な姿勢で書かれていて彼自身の愛を感じられるものでした。また、彼の演出手法はそれとして確立されたものがなのでしょうが、この作品については、観る者に未来への確かな夢や生き続けることへの活力を与えられるかどうかと、私にはそういう力は感じられませんでした。

 美術は島次郎さん。最小限なリアルさ。桜の木から花びらがはらはらと落ちつづける仕組みがさりげなくて良かったです。

 しのぶいちおしの三田和代さんは、孫がいるおばあさん役。ほんっとそのまんま普通だったので物足りなかったな。まさに普通のおばあさんなの。いい人らしさを全面に出してらっしゃいました。てゆーか三田さんご自身がいい人なんだと思います。

 韓国人女性って本当にパワフル。体から常に噴出す躍動感。苦手です。

 新国立劇場HP : http://www.nntt.jac.go.jp/

Posted by shinobu at 2002年06月04日 18:16 | TrackBack (0)