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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年03月08日

(劇)べっちんプレゼンツ「こども連」公演『鬼ロック'04』03/03-07中野MOMO

 (劇)べっちんという劇団は公演ごとに脚本・演出が変わったりするそうです。今回は女優の八日市美保さん脚本・演出ということで、八日市美保企画ユニットの“こども連”の公演だとか。私はべっちん初見です。

 飼育小屋のウサギの首を切り取り続ける少年。リストカッターの少女。教師の不倫現場を撮影して脅す少年など。いわゆる非行が横行する中学校が舞台。

 ・・・暗い話でした。小ドラムを叩く鬼役で少し出演していた小柄な女優さんが今回の脚本・演出の八日市屋さんだったようなのですが、「あんなに可愛いのにこんなに怖いことを考えているの!?」って思っちゃいました。まさに今どきのティーンネイジャーのことを全くわかっていない大人の反応ですよね、我ながらお恥ずかしい。

 美術が見た目は非常に気持ち悪いのですが、とても良く出来ているな~と関心させられました。だってあれは内臓ですよね?教室の壁が腸の壁面のようになっているんです。てかてかしたサーモンピンク色でぶよぶよ感がリアル。窓が飼育小屋によく使われる金網になっていたり、壁がぶよよんと縦に開いて出入り口になっていたり、工夫がとても効果的。演出的狙いなのでしょうが一貫して気持ち悪かった。
 鬼たちの出てくるシーンの照明が赤と緑でわかりやすく殺気立っていて、それとは対照的に殺人シーンでは青と白の冷たさが美しかった。
 音楽がものすごく個性的で面白かったです。選曲も八日市屋さんがなさっているようです。
 決して私の好みではないのですが、舞台全体としてしっかりした作品だったように思います。

 そして、これは特筆すべきことかなーと思うのですが、こんなに暗くて残酷で陰湿でイヤな話なのに私は最後までちゃんと観られたんです。終わってから考えると、おそらく役者さんのバランスの取れた演技のせいではないか、と。決まりきった演技でもなく、かといって生々しい押し付けがましさもなく。女生徒サイコ(龍田知美)の叫び声もあまりイヤな気がしませんでした。

脚本・演出:八日市屋美保
出演:東島淳一郎(べっちん) 柴田男女(べっちん) 稲垣おかず(べっちん) 矢吹ジャンプ(べっちん)八日市屋美保(べっちん) 龍田知美(東京ネジ) 佐々木香与子(東京ネジ)佐々木富貴子(東京ネジ)佐々木なふみ(東京ネジ)平野圭(ONEOR8)中島真一 明石修平(オードブル)大谷きみお 島崎諒(劇団一都六県)
staff: 舞台美術:田中敏恵 照明:榊美香((有)アイズ) 音響:井上佳代 衣装:依田由紀子(Bloom) プロジェクター操作:華房修 舞台監督:杣谷昌洋 宣伝美術:寺部智英 WEB:大里雄二 制作補助:柴田奈津子 制作:(劇)べっちん
(劇)べっちん : http://homepage3.nifty.com/becchin/index.html

Posted by shinobu at 2004年03月08日 14:04