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Shinobu's theatre review
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REVIEW

2004年03月11日

Studio Life『MOON CHILD -月の子-』03/04-16アートスフィア

 『月の子』は清水玲子さんのSF少女マンガ大作です。これを舞台化しちゃう倉田淳さんって毎度の事ながら本当に偉大だと思います。
 2002年が初演で今回が初の再演。私は初見です。

 満月の晩、ニューヨークに3人の天使が舞い降りた。人魚族の子供たちが200年に一度の産卵期をむかえ、生まれ故郷の地球に帰って来たのだ。1980年代に実際に起きた事故とアンデルセンの童話「人魚姫」をからめた壮大なスケールの恋物語です。

 休憩をはさんで3時間強、お尻はさすがに疲れましたがお話が確実に面白いので最後まで楽しく拝見しました。ラスト30分ぐらいはラブも事故も白熱ですよね~。日本の少女漫画の大切な要素を歪曲することなく伝えてくれる倉田さんのセンスは、いつもまっすぐで素敵です。そこを信じているからスタジオライフ通いはやめられません。

 でも今回は面白いと感じられるまでが長かったですね。特に幕開けが弱いと思いました。主役の人魚ベンジャミン(及川健)が恋に落ちる人間の男アート(姜暢雄)が心もとなくって、観ている方がどぎまぎしちゃいました。前半も終わりの方、ティルト(笠原浩夫)が出てきてからやっとスタジオ・ライフらしさが復活したような。

 『トーマの心臓』@アートスフィアでも感じましたが舞台空間が埋まってないですよね。満月や原発事故の写真、水や魚の動画などきれいな画像が次々と大きく映し出されましたが、世界全体を変える要素にはなっていませんでした。スタジオライフ作品だと紀伊国屋ホールでも紀伊国屋サザンシアターでも感動したんだけどなー。東京芸術劇場小ホールもすごく良かった。シアターサンモールは最高でした。スタジオライフの複雑かつ繊細な耽美的世界を表現するためにはアートスフィアは大きすぎるのではないかしら・・・。

 私が観たのはSerenade(A)チーム(笠原浩夫さん、曽世海児さん、山崎康一さん目当て)です。ダブルキャストですのでキャストによって感想も全然違ってくる気がします。

 笠原浩夫さん(ティルト役)。安定した演技で決してはずさない。やっぱりこの人が決め手ですねー。松葉杖が倒れるハプニングもサラっと自然にこなしてくださいました。
 曽世海児さん(ショナ役)。どうしちゃったのかしらと思うほどズレてましたね。いつものかっちりした演技が逆にクサくなっちゃって。ファンとしては残念な限りです。
 山崎康一さん(ティルトに横恋慕するリタ役)。ひとつひとつがとても丁寧。いつもキャラクターがしっかり作られていてお上手だと思います。素敵です。

 姜暢雄さん(アート役)。ルックス&人気重視ということで目玉俳優さんのようですが、私はあんまり・・・。セリフも動きも軽い気がします。
 山本芳樹さん(セツ役)。なよっとした輪郭が耽美派美少年ストーリーにはまるのかもしれないですけど、私はちょっぴり苦手です。姜さんと同じような意味かもしれません。

 パンフレットでも少し触れられていましたが清水玲子さんの『ジャック&エレナ』シリーズもいつか舞台化? 絶対観たい!数バージョン作られちゃったら困るだろうなー(笑)。

[原作]清水玲子 [劇作・脚本・演出]倉田淳
[出演]〈Aチーム〉[出演]笠原浩夫/及川健/姜暢雄/曽世海児/山本芳樹/奥田努/佐野考治/山崎康一/他 〈Bチーム〉[出演]伊藤高史/及川健/岩崎大/高根研一/舟見和利/小野健太郎/深山洋貴/石飛幸治/他 
美術:松野潤 照明:森田三郎 舞台監督:北条孝、土門眞哉(ニケステージワークス)、倉本徹 音響:竹下亮、中田摩利子(Office my on) ヘアメイク:角田和子 衣裳:竹原典子、今村あずさ、矢作多真美 照明オペ:森川敬子、エルプス ベルント、松本大介 ムービング:(有)ライトオープン 美術助手:小野寺綾乃 映像アートディレクター:河合恭誌(VIA BO, RINK) 宣伝美術:河合恭誌、菅原加奈(VIA BO, RINK) 宣伝写真:峯村隆三 デスク:釣沢一衣、岡村和宏 制作:稲田佳雄、中川月人、赤城由美子 CUBE STAFFプロデューサー:北牧裕幸、高橋典子 制作:北里美織子 宣伝:米田律子 制作協力:RICOMOTION

Studio Life : http://www.studio-life.com/

Posted by shinobu at 2004年03月11日 01:59