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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年09月04日

俳優座劇場プロデュース『高き彼物(たかきかのもの)』09/02-12俳優座劇場

 読売演劇大賞など多くの賞を受賞した作品の再々々演。2000年初演でこの4年の間に4演目という、大人気演目なのです。私はこれで2度目ですが、「また来年やる」と言われたら3度目でも必ず観に行くと思いますよ♪
 メルマガ号外を出させていただきました。

 もーぼろぼろ泣いて、思いっきり笑って、すごく幸せな時間を過ごさせていただきました。たくさんの人にぜひぜひ観て頂きたい作品です。私は母親を連れて行きました。この座組みではこれが最後だとか。超必見!
 あらすじ等は公演ページ2003年のレビューをご覧ください。舞台写真はこちら

 2度目だからこそ楽しめたり、泣けることが沢山ありました。
 ここからネタバレします。

 例えば開幕してまもなく、高校生の秀一(浅野雅博)が、お酒など飲んだことが無いのに突然日本酒を一気飲みしちゃうシーンでは、飲み始めるタイミングが絶妙で、それだけでホロリと来ちゃいました。猪原先生(高橋長英)が「友人を交通事故で亡くしたんだね」と話しかけた瞬間がそのきっかけだったのです。秀一は、自分の無免許運転のせいで事故が起こったことを、親に説得されて警察に言わずに隠していました。それを思い悩んで事故現場から動けずにいたのです。

 猪原先生に心を寄せているバツイチ子持ちの野村先生(歌川椎子)の演技が素晴らしかったです。自分がセリフを言っていない時のリアクションがものすごく細やかで、いつも彼女の方ばかりに目が行きました。猪原先生の亡くなった奥様に対する思いが、仏壇で手を合わせる度にしみじみと伝わってきます。仏壇に青白い照明が仕込まれていたのも良かったな~。
 猪原先生が衝動的に野村先生にプロポーズするシーンは大爆笑&号泣。はずかしくって、微笑ましくって、私が嬉しくって、あぁ思い出すだけで涙が・・・(笑)。
 
 猪原先生は秀一に、受験勉強以外のことをたくさん教えます。
 「君がやったことは、君がやったことなんだ」「なかったことになんか出来ない」
 猪原先生にもまた心に秘めた傷があり、猪原先生の娘はその傷のせいで結婚に踏み切れずにいました。でも、秀一少年が訪れたことをきっかけに、家族全員が癒されていくのです。

 秀一を演じる浅野雅博さんはおそらく30代前半の俳優さんです。泣きじゃくったり、思いっきり大口を開けて笑ったりするのは、まさに高校生の悪ガキそのもの!再々々、々演があった時に、この役を浅野さん以外の人がやるなんて想像できないな~っ。年齢なんて関係なく、ぜひぜひまたやってください!

作:マキノノゾミ 演出:鈴木裕美
出演=高橋長英/藤本喜久子/森塚敏/浅野雅博/歌川椎子/松島正芳/酒井高陽
美術=川口夏江/照明=森脇清治/音響=小山田昭/衣裳=宮本宣子/舞台監督=伊達一成/舞台統括=荒木眞
俳優座劇場プロデュース「高き彼物」:http://www.haiyuzagekijou.co.jp/produce/0902takaki.html

Posted by shinobu at 2004年09月04日 23:28 | TrackBack (0)