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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年12月17日

TBS/ホリプロ『ロミオとジュリエット』12/04-28日生劇場 

 蜷川幸雄さん演出、藤原竜也さんと鈴木杏さん主演の『ロミオとジュリエット』です。
 期待が外れるとショックが大きいので、なるべく何も考えないでいることに徹したのですが、そんな小細工がまったく不要の傑作でした。きっと伝説の“ロミオ”と“ジュリエット”になると思います。

 私がまともに『ロミオとジュリエット』を観たのは、実はこれが初めてです。正統派じゃないけれど、本質をずばりと言い当てていると思います。蜷川さんの、人間の命に対する貪欲さ、そして潔さを感じました。

 舞台装置は、何も置かれていない中央ステージをグルっと高い塀が囲む形で、3階まである巨大なものでした。2階も3階も、俳優が立てるスペースは2mぐらいの幅しかないキャットウォークになっており、手すりはありません。足場にするための突起物が壁に数箇所埋め込まれており、そこに足を乗せて壁を這い上がって上の階に登ります。1階から2階の高さは3mぐらいあると思うのですが、そこからそのまま降りたりもします。
 そびえたった壁の全ての面は、大きなモノクロの顔写真で敷き詰められています。写っているのは皆、若くしてなくなった方々でした。例えばマリリン・モンロー、ジム・モリソン、カート・コバーンなど。

 衣裳は、ロミオのモンタギュー家は黒、ジュリエットのキャピュレット家は白という明快な分け方でした。美術も衣裳もシンプルにモノトーンで、2人の愛の物語に集中できました。

 ロミオは17、8歳、ジュリエットは14歳になるかならないかという非常に若い2人の恋は、ただひたすら死へと突っ走っていきます。藤原竜也のロミオと鈴木杏のジュリエットは、熱い感情の塊のようでした。2人のまるで何も身につけていないように見えることがありました。心しか見えない、感情しか伝わって来ないのです。本当の意味で裸でした。心が揺れて、震えて、燃え上がって、軽くなって、何者も到達しえない天へと飛翔するのが、私の体全体で感じられました。

 初めて肌を合わせた2人が、朝の別れを惜しんで「聞こえているのは(朝に鳴く)ひばりじゃない。(夜に鳴く)ナイチンゲールよ」と言い合うシーンでは、ロミオとジュリエットの心が完全に解け合って一つになろうとしているのを、肉体が邪魔をしているようにさえ見えました。
 あぁ、若い恋ってこういうことです。命がけだ、と自覚しないまでも、既に命がけなのです。人間ってこんなに無心に、愛に命を捧げられるものなのです。

 しみじみ凄いことだと思うのは、悲しい結末が待っていることを知っていたから泣けるのではなく、2人と一緒に、観客も同時に恋と死を経験しているように感じ、それに感動して涙が流れてきたということです。
 ロミオがジュリエットに一目ぼれし、ジュリエットもまた恋に落ち、2人がバルコニーで互いに相思相愛だということに気づいて歓喜し、こっそり結婚をして生涯一緒に生きていくことを誓って、そして・・・忍び寄っていた死がやはり2人を死の床へと連れて行ってしまうまで。私はずーっと彼らと一緒にその短くも熱い命を燃やしていました。私も彼らと一緒に刹那の恋を生きました。細胞が振動して人間は熱を発するんですよね。私は自分がこきざみに振動しているのを感じることができました。

 2人が互いに自害してしまった後に神父(瑳川哲朗)が真実を語るシーンで、涙がぼろぼろ、ぼろぼろ。隣りの席に座っていたお姉さんもずるずる鼻をすすっていました。こんなに泣けるなんて全然思っていませんでした。

 当日券は開演の1時間前から劇場入り口のホリプロの受付で販売開始です。でも、発券されるのはステージごとに1~2枚だそうです。東京公演終了後に地方公演がかなり長くありますので、そこでチャンスがあればいいですね。

《東京公演後→愛知→大阪→広島→北九州→北陸→仙台》
作:W・シェイクスピア 演出:蜷川幸雄 翻訳:松岡和子 
出演:藤原竜也 鈴木杏 瑳川哲朗 壤晴彦 立石凉子 梅沢昌代 高橋洋 妹尾正文 スズキマリ 横田栄司 月川勇気 マメ山田 清家栄一 福田潔 グレート義太夫 堀文明 新川將人 鈴木豊 髙山春夫 田村真 伊藤一樹 江間みずき 勝島乙江 名塚裕美 松岡さやか 泉裕 井上顕 菊池康弘 原田琢磨 藤田俊太郎
装置:中越司 照明:原田保 衣裳:小峰リリー ファイトコレオグラファー: 國井正廣 演出助手:井上尊晶/石丸さち子 舞台監督:白石英輔
特別協賛:ライオン株式会社
ホリプロチケット:http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=46
イープラス内インタビューあり:http://eee.eplus.co.jp/s/raj/index.html
ぴあ・藤原竜也インタビュー: http://t.pia.co.jp/play-p/romeo/romeo.html

Posted by shinobu at 2004年12月17日 00:29 | TrackBack (1)