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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年02月18日

オペラシアターこんにゃく座『オペラ 花のラ・マンチャ騎士道 あるいは ドン・キホーテ最後の冒険』02/12-22シアタートラム

 オペラシアターこんにゃく座は初見です。映画『ラ・マンチャの男』が大好きなのと、美術が松井るみさん、振付が井手茂太さん(イデビアン・クルー)なのでチケットを取ってみました。

 オープニングは最高でした。客席に近く、とても開かれた印象の空間。やさしく暖かく迎えてくれた出演者から思いっきり楽しそうな歌声。「ラ・マンチャ」という言葉を聴くだけでうきうきしちゃうし、感動しちゃうんですよね。ほんとに大好きなお話なので。

 ただ、最初の30分以降は徐々に退屈になっていってしまいました。オペラなのでセリフも全て歌なんですが、同じパターンの音楽(メロディー)が多い気がしました。説明セリフが多すぎたからじゃないでしょうか。「こうなって、こうなって、こうなった」みたいに一言で早口に歌われると、悲しい。

 ドゥルシネア(アルドンザ)が出てくるのがほとんど終わりの頃だったのが私としては残念。映画だとかっこいいソフィア・ローレンがすぐ出て来てくれて、ドン・キホーテの純粋な恋心が作品をずーっと包んでいるんです。このオペラでは恋よりも騎士道がメインだったようですね。原作に忠実に書かれた脚本のようですし。

 松井るみさんの美術について。船の帆のように広がった布。海のような空ような絵が描かれた舞台面。最初はそのシンプルさと大らかさに感動したのですが、だんだんと飽きが来てしまって・・・これもストーリーに関係ある気がします。

 井手茂太さん(イデビアン・クルー)の振付が出てきた時はすぐにわかりましたし、客席でもすごく受けていましたが、ほんの少しだったんですよね~。もっと大々的にやって欲しかった。

 大石哲史さん。サンチョ・パンサ役。色々笑わせてくださいました。演技がとても良かったのはこの人ぐらいかな。まあオペラですから歌がお上手なら問題ないですよね。


作/ミゲル・デ・セルバンテス (訳/牛島信明) 台本/山元清多 作曲・芸術監督/林光
演出/加藤直 美術/松井るみ 衣裳/半田悦子 照明/山口暁 振付/井手茂太 舞台監督/平井徹 演出助手/高木陽子 宣伝美術/小田善久 音楽監督/萩京子
出演:大石哲史 相原智枝 岡原真弓 井村タカオ 鈴木あかね 酒井聡澄 高野うるお 富山直人 松川和弘 石窪朋 鈴木裕加 山本伸子 ピアノ/寺嶋陸也

オペラシアターこんにゃく座 : http://homepage2.nifty.com/konnyakuza/

Posted by shinobu at 23:33

Ort-d.d + こふく劇場『so bad year』02/17, 18東京芸術劇場 小ホール1

 東京国際芸術祭リージョナルシアターシリーズのフリンジ企画です。このフリンジ企画って今年が初めての試みだそうです。

 Ort-d.d(オルト・ディーディー)はUBU7という企画内の『一人芝居★ユビュ王』しか見たこと無かったので、本公演としては初見です。こふく劇場は宮崎県で活動する劇団でして、これまた初見。演出の倉迫康史さんがアレンジされた横浜STスポットでの『ラ・ロンド』がすごく面白かったので期待して伺いました。

 妻を捨てて妻の妹とかけおちした男。2人の平穏な生活が1年続いたが、突然、男の妹がやってきた。交錯する3人の会話。

 うーむ・・・難しかったですぅ。一人の男を共有した姉妹の行動の真相も私にはわからず終いでした。呼吸やセリフの間も声色も難解だったな~。

 「ささやきの演劇」と呼ばれるOrt-d.dの舞台空間では、演出やシーンの細かいところで少しずつひっかかりました。オープニングの「闇」という一言で本当に完全暗転したのがかっこ良かった。青い帽子がきれいだった。

 照明が、というか、東京芸術劇場小ホール1が紫やピンクの照明でうっすら照らされて、その光が反射して舞台が明るくなっているような、繊細でしめやかな印象の舞台でした。舞台の床の下に照明が仕込まれていたのもメタリックかつ幻想的でかっこ良かったです。

 舞台上の真ん中にベンチ、上手側におそらく障子でかこまれた部屋、下手側には2階建てベッド。この2階建てベッドは姉妹や兄妹の関係を表しているのかなー。みんな青銅色なのは硬質で時間を感じさせます。

 三村聡さんが相変わらず魅力的な男性でした。三村さんのことを考えるとき、どうしても役者さんとして見られないんですよね、これは不思議なんですが、なぜか男性として注目してしまいます。演技がお上手なのが私にとって当たり前になってしまっているからかな。

作:永山智行(こふく劇場) 演出:倉迫康史 
出演:三村聡(山の手事情社) あべゆう(こふく劇場) 上元千春(こふく劇場)
照明:工藤真一(ユニークブレーン) 照明助手:川田京子(ユニークブレーン) 美術原案:伊藤雅子 美術装飾:るう(ROCCA WORKS) 衣装・ヘアメイク:田丸暦 衣装協力:鶴見泰裕、木島幸子、岡崎イクコ、棚川寛子 舞台監督:弘光哲也 舞台助手:渡部景介 制作:中村千寿
オルト・ディー・ディー : http://ort.m78.com/
東京国際芸術祭 : http://www.anj.or.jp/tif2004/index.php

Posted by shinobu at 23:14