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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年07月28日

二十一世紀舞踊・Noism05『Triple Bill』07/28-31世田谷パブリックシアター

 Noism05(ノイズム・ゼロ・ファイブ)は、金森穣さんが舞踊部門芸術監督をつとめる新潟りゅーとぴあのレジデンシャル・ダンス・カンパニーです。
 3人の振付家による3作品をNoism05メンバーが踊ります。全く種類(ジャンル)の違う3作品でした。こんなに毛並みの違う作品を連続で、そして同じダンサーで観られるのはかなり貴重だと思います。
 ※19:00開演・21:30終演。途中休憩は30分と20分の2回です。前売りは完売で当日券には列ができています。かなりお薦めです。

1「DOOR INDOOR」 by アレッシオ・シルヴェストリン Alessio Silvestrin

 白くて閉じた空間で、少人数がにょろにょろとうごめく不思議な作品でした。日本語テキストの朗読(アナウンス)があり、音楽はオペラ「青ひげ公の城」なので、意味や感情などが具体的に表現されています、が、ダンスとの関連はわからず。天井からべろりと吊り下げられた布や、ドアの大きさの布などは何かを象徴しているのでしょうが、やはり私にはわからず。でも無機質な感じがきれいでした。
 手と足をにょろにょろさせる動作が印象的でした。『千と千尋の神隠し』に出てくる、蜘蛛みたいな手をガシガシ動かす釜爺(かまじい)みたい。もしくは微生物のような・・・。
 振付はかなり細かいところまで決められていて、一人一人、ひとつひとつの繊細で美しい動作が集まって、完成された空間を作り上げるタイプのよう。ダンスの専門家の方曰く「非常にヨーロッパ的」だそうです。


2「ラストパイ」 by 黒田育世(BATIK)

 これは・・・ダンサーかなり大変だなって思いました。激しいです。限界に挑戦!みたいな。
 上手の舞台面側で、金森穣さんがかなり激しく踊っています。踊っているなぁ、一人だなぁ、と思っていたら、そのまま踊りまくり!40分間(かな?)、休みなく踊りっぱなし!!倒れた??と思ってもまた起き上がる。どんどん汗が体中から吹き出て、流れて、でも、止まらない。
 金森さん以外のダンサーは群舞なんですけど(ストーリーもありますが)、これまた振付が身体にものすごく負担がかかりそうなもので、「うわっ、筋がどうにかなるんじゃないの??」と心配になるような。でもさすがにかっちょいいんです。

 衣裳はギラギラした黒地にところどころオレンジ色のスパイスが入っておりアグレッシブな印象。全員デザインは違います。男性がスカートはいているのが面白い。
 音楽は生演奏で、松本じろさんによるギターの弾き語り。4階ぐらいの高さのイントレ(のような台)の頂上でオレンジの衣裳で歌ってらっしゃいました。パワフル。

 終わった時には「ブラボー!」が何度も。スタンディング・オベーションしてる方もちらほら。私は疲れきってましたね~。観てただけなのに。頑張りに魅せられたのは久しぶり。


3「犬的人生」 by 近藤良平

 開演直前に近藤さんのギター弾き語りアナウンスが流れて場内爆笑。「もう帰りたい?そんなこと言わずに最後も見て~」って(笑)。

 セリフがあったり、動きも演劇っぽかったですね。ダンサーのユーモアのセンスのありなしが、かなり明らかに現れました(笑)。
 映像も絵もかなりへなちょこだったよな~(笑)。まあそれも楽しめました。弾ける、楽しいダンス!っていう息づかいがさわやかで良かったです。

 1作目はアート、2作目はバトル、そして3作目は、あえて言ってしまうと、お笑い!カラフルで能天気なおバカ衣裳をまとったNoism05を観られるだけでも価値あり(笑)。
 3作目で突然に世界がくずれて、いや、広がって(笑)、私はすごく豊かな気持ちになりました。ダンスの美しさ、力強さ、楽しさ、そして自由奔放さが詰まった、欲張り公演だと思います。

≪新潟、大阪、東京≫
出演=Noism05(青木尚哉/井関佐和子/金森穣/木下佳子/佐藤菜美/島地保武/清家悠圭/高橋聡子/辻本知彦/平原慎太郎/松室美香/中野綾子〔研修生〕)
振付=近藤良平〔コンドルズ主宰〕/黒田育世〔BATIK主宰〕/アレッシオ・シルヴェストリン Alessio Silvestrin〔フリー〕 主催=(財)新潟市芸術文化振興財団 企画製作=りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館
S席¥5500 A席¥4500(全席指定・税込み)
金森譲公式サイト:http://www.jokanamori.com/
チケットスペース:http://www.ints.co.jp/Noism05/#top

1「DOOR INDOOR」
構成・演出・振付:アレッシオ・シルヴェストリン 音楽=ベラ・バルトーク「青ひげ公の城」(抜粋) 美術・装置デザイン=アレッシオ・シルヴェストリン テキスト=アレッシオ・シルヴェストリン テキスト翻訳=鈴木恵 陰陽デザイン=アレッシオ・シルヴェストリン 金子敏文 音響デザインアシスタント=高橋政治 照明デザイン=アレッシオ・シルヴェストリン 森島都絵 衣裳デザイン=アレッシオ・シルヴェストリン 舟木亜弓
2「ラストパイ」
構成・演出・振付:黒田育世 音楽&演奏=松本じろ「Last Pie」 装置コンセプト= 照明デザイン=森島都絵 衣裳デザイン=山口小夜子 衣裳製作=中山ゆかり 杉浦真希子
3「犬的人生」
構成・演出・振付:近藤良平 音楽=コラージュ(色んな曲が混ざってました) 装置コンセプト=近藤良平 照明デザイン=森島都絵 衣裳コンセプト=近藤良平 映像=近藤良平 アニメーション原画=Noism05

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Posted by shinobu at 2005年07月28日 23:50 | TrackBack (1)