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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年08月10日

東京ネジ『僕等の肌ヌらす青』08/05-08王子小劇場

 岩手の盛岡から東京にやってきた女の子の劇団、東京ネジ前々回公演が良かったので今回も王子小劇場公演に伺いました。この作品の前に阿佐ヶ谷の喫茶ヴィオロンでも公演をされていますね。活発に活動している劇団だと思います。

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 ≪あらすじ≫
 青い塔がそびえている架空の世界。性別のない子供達は、大人になる時に自分がなりたい性を選ぶことができる。ある日、いつものように無邪気に遊んでいた子供達は、森の中で不思議な人物と出会い・・・。
 ≪さわりしか書けていませんが、ここまで≫

 がんばって作ってらっしゃるのはすごくわかるのですが、楽しめませんでした。脚本・演出家自身の内面世界にぐっと入り込んで、そのまま外側に出てきていない様子。詩のようなセリフを思いっきりまっすぐに、感情を込めて、大きな声で読み上げられても引いちゃいます。ストーリーも、進むにしたがって苦し紛れな感じがしてきました。下記、公演は終了していますのでネタバレします。

 子供は2人ペアで1人であり、先に大人になった方が生き残り、遅かった方は物理的に消えます(おそらく)。大人になる時に忘れてしまう、もしくは致し方なく削り落としてしまう子供の心(の、ようなもの)を描こうとしたのかもしれませんが、焦点が絞れていませんでした。

 出演者は全員で9人。学校の先生2人と森に住む不思議な存在“パラダイス”以外は全員が子供役です。残念ながら皆さん、“大人が想像する子供像”を演じており、“子供”を演じられていませんでした。無理に子供を演じなくても良かったんじゃないかなぁ。完全に架空の世界なのですから、大人のままに普通に演じてもお話は成立したと思います。

 下記、当日パンフレットの“作家からのことば”より部分引用します。 
 「13さいの夏、空は無限に青くて、世界は何にでも姿を変えられたことを、思い出していただけるとうれしいです。」
 この文章を書かれた作家&出演者の佐々木なふみさんはご自身が13歳の頃、「世界は無限で、自分の想像した通りに変えられる(自分の想像した世界が、そのまま自分を取り巻く世界だった)」と思っていらしたんですね。けれども大人になった今ではそう思っていらっしゃらないようです。

 私は反対です。年齢的に子供だった頃の方が不自由でしたし、世界は常識やしがらみにまみれ、平坦でわずらわしいものでした。けれどいい年の大人になった今では、私はものすごく自由になり、世界はどうにでも変化するし、自分の思い通りになる(私が想像した世界こそ現実だ)とも思っています。
 私は生まれながらの偏屈なのかもしれません。自分がいわゆる幼い、あどけない、無邪気な“子供”だった時期があったかというと「なかった」と言えてしまう人間です。だから「懐かしいあの頃を思い出して!」と声高に叫ぶ作品が苦手でなりません。私のような人間は佐々木さんと出発点で共感できませんので、この作品を受け入れられなくて当然ですね。

 王子小劇場のキャットウォークを大々的に使った野心的な美術でした。高い天井を生かした照明も綺麗でした。床(ステージ)に土を使ってました。スプレーで雨を降らせていました。ラストは細かい銀雪(青く光ってました)も降っていました。ピアノの生演奏もあって、しかもオリジナル曲です。前々回もそうでしたが、とても凝って作っていると思います。

 パラダイスを演じた今里真さんは詩的なセリフもしっかりと噛み締めて伝えてくださいました。元サッカリン・サーカスの役者さんで『南国熱帯蝶々挽歌』でも両性具有の妖精ような役でしたね。ナイスなキャスティングだと思います。

王子小劇場賛助公演
出演=佐々木香与子/佐々木富貴子/佐々木なふみ/今里真/田中陽介/明石修平(NATURALick☆kciRT)/小松君和(神様プロデュース)/須貝英/田保圭一
作=佐々木なふみ 演出=佐々木香与子 舞台美術=袴田長武 照明=工藤雅弘(Fantasista?ish.)  音響=島崎諒(JAPWORKS) 衣装=原田晶子 小道具=かまくら小鳥 ヘアメイク=丸山かおり 宣伝美術/写真撮影=大倉英揮 制作=柴田優子(東京ネジ) 東京ネジ工場
[料金]前売り2300円 当日2500円
東京ネジ:http://tokyoneji.amnesic.org/

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Posted by shinobu at 2005年08月10日 00:45 | TrackBack (0)