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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年04月25日

ホリプロ『ライフ・イン・ザ・シアター』04/12-30世田谷パブリックシアター

 市村正親さんと藤原竜也さんが初共演する二人芝居で、脚本がデヴィッド・マメットという必見の公演だったのですが・・・残念な出来上がりでした(マメット作品のレビュー⇒)。
 立見席にずらりとお客様が並び、本番中は笑いが耐えませんでした。出演者のファンの方は楽しめたようです。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 特にストーリーはない。二人の男優…1人は老境にさしかかりつつあり、1人は俳優になったばかりの若手…が、劇場の中のさまざまな場所…楽屋や舞台袖…で交わす会話や、舞台の上での様子などがオムニバス風につづられる。
 二人は同じ劇団に属しているのかもしれない。この劇団は、古典劇から現代劇まで比較的広範な演目をレパートリーで上演していると思われる。
 ≪ここまで≫

 出演者が2人だけのバックステージものです。舞台俳優の裏話がずっと綴られるのですが、豪華な衣装を何度も舞台袖に隠れて着替えたり、場面転換の度に大掛かりな舞台装置が移動したり、とにかく休み時間が多すぎます。転換中の音楽も大げさだったな~・・・転換自体も不要だと思いましたし、音も耳障りでした。
 衣装を頻繁に変えてくれるのは見た目に嬉しいですが、もっと言葉と体だけで見せられる脚本だと思います。市村さんと藤原さんのお2人ともが大スターだから、こんな演出になっちゃったのかしらねぇ。もったいないことです。

 私が一番悲しかったのは、舞台俳優という職業がみすぼらしく見えてしまったことです。役者ってこんなんじゃないよ!って言いたくなっちゃう。
 また「普通に生活しているのも人生で、舞台上で演技をしている時も人生なんだ」ってことをロバート(市村正親)が真剣な面持ちで力説していましたが(その演技は悪くないと思いました)、お2人ともが劇中劇のシーンでその劇中人物の人生を全然生きていないので、説得力がありませんでした。ウケ狙いのネタばっかりなんだもの(涙)。
 これは芝居なのか現実なのか?果たして私たちはロバートとジョンの劇中劇を観ている観客なのか、市村正親と藤原竜也の『ライフ・イン・ザ・シアター』を観ている観客なのか?・・・という風に、観客の私たちが自分の立場について迷いを感じるような、メタ芝居の要素が必要だったんじゃないでしょうか。でないとあんなにいっぱい劇中劇をやる意味が・・・少ないですよね。

 市村正親さんは観客サービスを目的とした演技をされているように見えて、ロバートを演じているようには感じられませんでした。何かにつけウケてましたけど、それを楽しめるのは“市村正親”を観に来たお客様です。『ライフ・イン・ザ・シアター』を観に来た観客は寂しい限り。
 藤原竜也さんはきれいだったな~。劇中劇のシーンで声を張って演技する時はあんまりでしたが、楽屋で自然な演技をされている時はとてもかっこ良かったです。声もきれい。でももっともっと演劇的世界の広がりを作れるはずだったと思います。

≪北千住、三軒茶屋、大阪、仙台、新潟、愛知、北九州、長崎≫
"A life in the theater" by David Mamet
出演=ロバート:市村正親/ジョン:藤原竜也
作=デイヴィッド・マメット 翻訳=小田島恒志 演出=ポール・ミラー 美術=堀尾幸男 照明=沢田祐二 音響=高橋巖 衣裳:=小峰リリー ヘアメイク=河村陽子 舞台監督=青木義博
26ステージ(月)休演 2月4日(土)前売開始 S席9,000円 A席7,000円 学生席5,000円
公式=http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=69

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Posted by shinobu at 2006年04月25日 21:59 | TrackBack (0)