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しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年05月12日

文学座+青年団『チェンジングルーム』05/10-14こまばアゴラ劇場

 とうとう始まりました、文学座+青年団自主企画交流シリーズ
 『チェンジングルーム』は想像していたよりもずっとずっと熱くて、むしろ暑苦しいお芝居でした。一緒になって興奮しちゃったな~、私。こういう言い方はナンですが、男性の裸体ファンの方、必見(笑)。

 色んな劇団からさまざまな役者さんが集まっていて、いわば役者さんの異種格闘技状態。観劇フリークの私にはこたえられないお楽しみでした~。
 舞台写真などが充実したブログ⇒チェンジングルーム紹介します (2006/06/12追加)

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 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 1971年英国ロイヤルコート劇場で世界初演、その後グローブ座での上演を経て、1973年にはブロードウェイにも進出。日本では文学座の坂口芳貞氏演出により1983年に文学座アトリエ、1989年紀伊國屋ホールにおいて上演され、好評を博した。
 とある炭鉱の街で行われているラグビーの試合当日の更衣室(The Changing Room)を舞台に、それぞれの人生を背負いながらも一つの目的に向かって遮二無二走り続ける男達の物語。
 ≪ここまで≫

 舞台はラグビー場付属の更衣室。観客は、試合が始まる前から終わった後までのおよそ半日間を、定点カメラになった気分で眺め続けることになります。登場するのはラグビー選手およびそのチームのオーナー、秘書、監督など。

 選手たちがぞろぞろと集まってきてウォーミングアップをし、掛け声をかけあって雄たけびをあげて、とうとう試合開始!・・・というところまでがサイッコーに楽しかった!選手たちはわざと闘争心をかきたてて興奮状態へと持っていくのですが、役者さんが本当に熱くなっていくので、それが空間全体に広がって観客の私も盛り上がりまくっちゃいました。

 用具係女の子・ハリー(山本裕子)は常に冷静で、選手たちの罵声・暴力をものともせず黙々と仕事(清掃・雑用)を続けます。人生は汚す、拭く、汚す、拭くの繰り返し。そして汚す人と拭く人は別なんですね。汚した人は汚しっぱなし。拭いても拭いても汚されて、ずっと拭き続ける人もいる・・・でもどちらが幸せかという問題じゃないんだよね~・・・などと想像しました。

 選手がラグビー場に来る前、試合に出ている最中、試合が終わって家に帰った後など、ハリーがポツンとたたずむ静かな更衣室の空気がすごく気持ちよかったです。“戦い終わって”とか“祭りの後”というような言葉がありますが、にぎやかさの後にやってくる静寂って美しいし、恐ろしいですよね。
 選手たちの熱さが本物だったし、ハリーの存在が自然でしっとり落ち着いて見ていられたので、そういう二極対立の世界観が際立って伝わってきました。欲をいえば二極じゃなくてカオスも感じたかったですね。喧騒と静寂の対立が目立って、その間(=世界そのもの)が見えづらかったように思います。

 ここからネタバレします。

 若い演劇人が本気で、体当たりで作っている熱のこもったお芝居だからこそ、もっともっと上を期待しちゃいます。そういう意味で下記、書かせていただきます。

 選手たちが試合へと向かっていくまでがあまりに面白かったし、私がほぼそれで満腹状態だったのもあって、試合が終わった後にみんながシャワーを浴びているシーンは少々退屈しちゃいました。試合の前にわざと心をひとつにすることってよくあると思いますが、試合が終わったらもっとバラバラになるんじゃないかしら。緊張が完全に解けた状態の人間って、もっともっと勝手になると思うんです。実は全然仲良くない人がいたり、知性派と肉体派で派閥争いみたいなのがあったり、全然興奮していない(どころか興奮を毛嫌いしている)人もいたりするんじゃないかな。

 監督役の高橋克明さん(文学座)が登場したとき、「あぁ高橋さんがアゴラに出てる!青年団の役者さんと一緒に!!」っていうだけで可笑しくって仕方なかったです。これはフリークならではのお楽しみ♪ こういう企画をもっともっとやって欲しいなって思います。

 でも、こういう破天荒なキャスティングだから仕方ないのかもしれませんが、役者さんの存在の仕方に良くないバラつきがあったのは残念ですね。女性オーナー(山谷典子)がオーナーに見えなかったのが一番もったいない気がしました。それもあってオーナーの秘書(田原礼子)も浮いてしまったんじゃないかな。女優さんは3人だけなので特に気になるんですよね。

 チラシの写真って、まじまじと眺めてやっとわかったんですが、これは泥まみれになった足ですね?手のバージョンもあるような。

文学座+青年団自主企画交流シリーズ第一弾 "THE CHANGING ROOM" by David Storey
出演(◎=文学座 ★=青年団)=芦原健介(スロウライダー)、井上幸太郎、太田宏★、鍛治直人◎、河村竜也★、 佐藤誠★、椎原克知◎、島田曜蔵★、下薗琢磨、菅原直樹、高橋克明◎、田中美央(俳優座)、田上豊(田上パル)、 田原礼子★、西村和宏★、バビィ(桃唄309)、山田宏平(山の手事情社)、山本裕子★、山谷典子◎、 横山祥二◎、好宮温太郎(タテヨコ企画)、渡辺陽介(フラジャイル)
演出:桜井秀峰(青年団) 作:デイヴィッド・ストーリー 翻訳:坂口玲子 舞台美術:田中英一 ベンチ制作:速水盛太郎 照明:伊藤泰行 宣伝美術:ドラゴン・ヤー 写真:山本尚明 ダイアローグライター:工藤千夏 制作:佐藤誠 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 共催:文学座・青年団
予約・当日共 一般3,000円 学生2,500円(要学生証提示)※日時指定・全席自由・整理番号付 通し券 9,000円(取り扱い先は青年団のみ)
公式=http://www.komaba-agora.com/line_up/2006_5/bs-agora.html#change

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Posted by shinobu at 2006年05月12日 11:36 | TrackBack (0)