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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年10月12日

ピチチ5『おさびしもの』10/12-16駅前劇場

 福原充則さんが作・演出されるピチチ5(クインテット)。私は大好きで、旗揚げ公演からずっと拝見しています(過去レビュー⇒)。
 ピチチ5としては初の下北沢進出になるんですね。いつもよりちょっと大きめの空間で、いつもと同じムードを味わわせていただきました(笑)。

 ⇒STUDIO VOICE 2006年6月号で紹介されました。
 ⇒fringe blog 大人割引
 ※「40代のフリーターの大人にも観に来てもらいたい」という意思表示ではないかと思いますっ。

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 5話のオムニバス形式でした。イケてないサラリーマンや低賃金のフリーター、そしていじめられっ子という、今の日本社会の底辺を生きる男の子たちの生々しい気持ちを情けな~く、みっともな~く、でもめちゃくちゃアグレッシブに描きます。前回のような劇空間としての感動までは及びませんでしたが、爆笑・苦笑しながら、最後には胸を熱くさせる高みにまで連れて行ってもらえました。

 ただ、全体としては完成に至っていないように感じました。役者さんの演技にも転換などの演出にも、もうちょっと余裕が欲しいですね。回を増すごとに進化していかれることと思います。今回は10/16(月)まで公演があっていいですね。

 ここからネタバレします。セリフはうろおぼえです。

 第一話「oh!よしこ」
 よしこちゃん(高橋美貴)に「好きだ」と告白する牧村くん(三浦竜一)。「俺の“好き”が、君の“嫌い”に負けてたまるか!」と、よしこちゃんに告白してるくせに対立する、かなりの勘違い野郎です(笑)。
 オープニングの作品としてはちょっと弱かったですね。もっとぎらぎらした熱いものが観たかったです。

 第ニ話「隻腕くん」
 飲み会が終わって風俗に行こうとする会社員たち。スケベに意味を見出すかどうかの口論。「性欲ってやつは悩ませるばかりで、人生の役にたったためしがない!」等。そしてなぜか右手(野間口徹)が登場。
 下ネタ炸裂でしたね・・・(苦笑)。ちょっと苦手でした。だって笑うに笑えないッスよ(涙)。でも、寂しさは痛いほど伝わってきました。彼らと同じだと思うのはヤだけど(笑)。

 第三話「魚の生徒」
 ある女子生徒が自殺し、その告別式に行く男子生徒たち。仲間はずれにされる地味な男の子たちや、常に発言と行動が支離滅裂な暴力教師(植田裕一)など、ステレオタイプな人物が登場する学園ものです。たくさん笑わせていただきました。
 男子生徒(野間口徹)の「行ったことがないところには、行かない」という一言が、現代のひ弱な若者を端的に表していますよね。
 実は暴力教師こそが死んだ女子生徒の恋人(=女子生徒が身ごもった子供の父親)だったというのは、ちょっと素敵なラブ・ストーリーになっていました。

 第四話「牛丼太郎高円寺店」
 吉野家よりも松屋よりも、格安で質の悪い牛丼を出す牛丼太郎(という設定です)。真面目に働く気のないフリーターたちの、ため息まじりな本音の戦い。
 下手の壁から、ピチチ5おなじみの“本物の乗り物”が登場(笑)!やっぱりここまでやってくれると爽快です。車に轢かれて天国に行く(でも帰還する)サラリーマン(三土幸敏)の言葉が切ないです。
 「俺にも奪われるものがあった!いのちだ!」「死んだままでも良かったのに」

 第五話「世界をもっと複雑に」
 第一話の牧村くんとよしこちゃんのお話に戻ります。「好きだ」と伝えることだけで満足してしまう、牧村くんの気持ちにちょっぴり共感。「世界は曖昧で複雑だ!」というセリフだけで、もう私の心は温まりました。
 そして自転車!!!乗る人間ごと下手天井から吊り下げて、空中にぶらさがります。そしてそのまま運転するごとに少しだけ前に進みましたね(笑)。へなちょこ感、脱力感を大切にしながら、全体としては強引で力任せの演出が面白いです。

出演=植田裕一(蜜)/碓井清喜/オマンキー・ジェット・シティー(ゴキブリコンビナート)/野間口徹(親族代表)/三浦竜一/三土幸敏(くねくねし)/吉見匡雄/横島裕(もざいく人間)/高橋美貴(あなざーわーくす)
脚本・演出=福原充則 照明=中村嘉宏(atSound) 照明=河上賢一 舞台監督=中西隆雄 舞台美術=岩田暁/笹野茂之 宣伝美術=岡屋出海 写真撮影=齋藤ジン 演出助手=永渕倫/迫田環 制作=三村里奈(MRco.) 企画・製作=ピチチ5
全席自由席・日時指定・整理番号付 2,500円(当日2800円) 学生割引2,000円(学生証提示)/大人割引2,000円(40才以上、身分証提示)割引券は劇団予約、または当日券のみでの取り扱いです。
公式=http://www.ne.jp/asahi/de/do/pichi.html

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Posted by shinobu at 2006年10月12日 22:51 | TrackBack (0)