2006年06月24日
さんだる『まゆみのマーチ』06/24, 25キッド・アイラック・アートホール

会場入り口の看板
さんだるは山本佳希さん(朗読者)、板垣恭一さん(演出)、小林章太郎さん(音楽・演奏)の朗読企画です(過去のレビュー⇒1、2)。
私はもう三度目なので、「いい話を聞いて泣きに行く」つもりで明大前へ(笑)。今回もやっぱり、悲しいけれど暖かいお話にほろりとさせていただけました。
会場に入るなり空間がすごく開かれている気がして、すぐにリラックスできました。同じ空間に同じメンバーが集まって、期待通りの作品を披露してくれるんですから、通いたくもなります。
今回は重松清著「卒業」(Amazon)からの一遍。全部読んだら約2時間30分になるものを、1時間20分に短縮されたそうです。
≪あらすじ≫ 登場人物の名前は こちらの書評を参考にさせていただきました。
母が危篤との連絡を受け、幸司は飛行機で故郷へ帰る。病院では妹のまゆみが待っていた。数年前に亡くなった父とベッドに横たわる母の思い出話から、約30年前の家族の風景が浮かび上がる。
元気いっぱいで小学校に入学したまゆみだったが、ある事件をきっかけに突然学校に行けなくなったのだ。それは今、中学生になって引きこもりになっている、幸司の息子・亮介の姿と重なる。
学校に行けずに家に居たまゆみに、母がいつも歌ってくれた「まゆみのマーチ」とは・・・。
≪ここまで≫
優等生のお兄ちゃんと、破天荒でちょっと問題アリの妹。二人の子供時代と現在とが交差します。Three Dewの軽やかな歌声と演奏から幕開けし、高い天井からの照明もいつも通り、物語を優しく彩ります。
ここからネタバレします。
学校の先生が生徒を傷つけてしまうってこと、私の経験上ですが、よくありました。だからまゆみがマスクをしたり、先生にお説教されるところは、息苦しくなりました。
人間は生き生きと生きたいのに、見せかけの常識とかニセの思いやりといった、本当は実体のない悪によって、命の上に黒いカバーのようなものを被せられてしまうんだな~・・・と想像しました。
お母さんの素朴な発言がいとおしかったです(セリフは完全に正確ではありません)。
「人に迷惑をかけることは、そげんいかんことですか?」
「まゆみが好き 好き 好き まゆみが好き 好き!」
(アニメ『悟空の大冒険』エンディング曲「悟空が好き好き」の替え歌)
最後のThree Dewのライブも盛り上がりました。「隣りのアンソニー」という曲を1曲だけ披露してくださったんですが、客席から自然と手拍子が生まれかけていました。私もすっごく楽しくて、一緒にノっちゃった。会場で販売されている自主制作のCDには収録されていないようで残念(てゆーか私は前回公演の時に買ったのよね)。
重松清著(新潮社刊)「卒業」より
朗読=山本佳希 演出=板垣恭一 音楽、生演奏=Three Dew(小林章太郎・小林佐和子・小林佑子) 照明=坂本明浩 制作協力=池田風見 制作=宮田さゆり 企画・製作=さんだる 上演協力=株式会社 新潮社
キッドアイラックアートホール=http://www.kidailack.co.jp/
BASE内=http://www16.ocn.ne.jp/~base/01.html
Three Dew=http://www.kjps.net/user/threedew/
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【舞台│阪神淡路大震災】実行委員会『舞台|阪神淡路大震災』06/23-27東京芸術劇場 小ホール1
初演を見逃して残念に思っていたら、全国ツアーとして帰ってきてくれました。東京公演初日には中学生の団体も客席に。上演時間は約1時間30分。
BACK STAGEのレポートあり⇒初演、再演
オープニングから息が苦しくなって涙がボロボロ・・・。地震災害のドキュメンタリー演劇作品として必見だと思います。
6/26(月)、27(火)はまだ空席があるようです。どうぞお早めにご予約を!当日券の有無については公演当日に劇場ロビーにお問い合わせください。⇒03-5391-2111
全国ツアーの記録(再演の上演台本を含む)が書籍になっています(Amazon)。劇場ロビーで特別割引販売をしていました。
私は大阪出身ですが震災の時は東京にいたので実体験はしていません。でも震災前の神戸を知っていましたし、地元の友人の体験談はほぼオンタイムで聞いていました。だから何を観ていても友達の顔、声、言葉、そして私の知っている神戸の風景が思い出されて、涙がどんどん溢れてきてしまいました。10年前の1月17日に私が何を感じ、何をしていたのか。ボランティアの若者の姿にそれを重ね合わせて、自分の無関心を恥じました。
作・演出の岡本貴也さんが神戸公演本番寸前のインタビューでおっしゃっていたこと↓
「伝えるべきは震災の知識ではないと思います。震災の中の人間、心の動きそのものを描き、感じてもらうことこそ、震災の記憶を残し、風化させないことにつながると考えています。」
(書籍「舞台 阪神淡路大震災全記録」250ページ/NHK神戸 西ヶ谷力哉氏の特別寄稿より)
この公演には素晴らしいキャッチコピーがついています。
“……新聞やテレビでは伝わらない。けれど、演劇にはそれができる……”
ここからネタバレします。
少しゆるやかな暗転とともに、地震が起きた瞬間の轟音から始まります。なんて、なんて長いんでしょう。真っ暗闇でこんなにも長い間、揺れていたんですね。この瞬間だけでも私はこの公演の意義があると思いました。
揺れが治まった時、目の前に広がった惨状。ひとときの静寂の後、すぐに襲ってきた業火。情けなくなるほどうまく運ばない救助活動。救いたくても救えなかった命。避難所生活の実態。
ボランティアの若者と被災者との間の大きな認識の差については、私の友人が炊き出しに行ったりしていたので少しは耳に入っていました。でも、こうやってひとつのシーンとして演じて見せてくださったおかげで、熱と実体のある情報として私の中に入ってきてくれました。
ラストシーンは新潟です。神戸で震災に遭った人たちがボランティアで助けに来て、自衛隊も10年前よりはずっと早く現地入りしていました。この作品が神戸と新潟をつなぎ、被災地で暮す人と私とをつないでくれました。
ドキュメンタリー演劇としては、冒頭で書きましたとおり必見の作品ですが、ひとつの演劇作品としての感想も書いておこうと思います。
前半の役者さんの演技は圧巻です。例えば、生き埋めになった息子を助けようとする母親を、男性が火の手から逃がそうとする(息子から引き離そうとする)シーンは、その周りの住人を演じる方々も含めて、大熱演でした。叫び声も、うろたえ走り回る様子も、全身全霊かけて表現してくださっているように見えました。
ただ、早口でどなるために言葉が聞き取れない人もパラパラといらっしゃいましたね。後半は少しずつわざとらしさが目に付いてきて残念。演出のせいもあるかと思いますが。
カーテンコールの演出については、20人もの出演者を一人ずつクローズアップさせる必要はないように思いました。構成上、お客様に2度の拍手をもらうことになっていましたが、すっきりと終わった方が、ドキュメンタリーとしての印象をより強く残すことができる気がします。
≪新潟、盛岡、仙台、神戸・西宮、東京 ※学校公演(2005年)新潟1高校、岩手5中学校≫
出演=以倉里江子、井上由紀、岩下貴子、上田秀和、上村敬治、魚谷佐知子、岡出美穂、荻原政樹、尾前憲一、五辻真吾、佐藤ゆず、塩田憲義、志田健治、高橋幸生、杉田稔之、野地将年、藤波恵、藤野友美子、星ようこ、松本昇大、間宮知子(声)、※高石ともや(歌)は降板。
脚本・演出=岡本貴也(神戸出身・劇団タコあし電源) 照明=藤田典子 音響=玖島博喜 美術デザイン=木村文洋 録音=窪田健策 舞台監督=間庭隆治、和田豊 チーフ・プロデューサー=岡本貴也 プロデューサー=田崎奈央、五十嵐智夫(JIN-X) 広報=五十嵐葉子 制作=志田健治 制作助手/近藤侑里子、石坂いつか、岡田圭二 製作=【舞台|阪神淡路大震災】実行委員会
前売り3500円/当日4000円(全席指定) 高校生以下、500円引き
劇団タコあし電源=http://tacoashi.com/
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