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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年05月22日

パルコ『魔法の万年筆』05/12-06/12パルコ劇場

 稲垣吾郎さん主演のお芝居です。作・演出はラッパ屋の鈴木聡さん。音楽は本多俊之さんが手がけられます。出演者だけでなく装置も衣裳も超ゴージャス~。笑いがいっぱいのドタバタ・ラブコメでした。上演時間は休憩15分を挟む2時間45分。

 CoRich舞台芸術!『魔法の万年筆

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 舞台は1920年代のニューヨーク。ジャズと狂乱の時代。
 自由を求める人々が、音楽・文学・映画・演劇とさまざまな分野におけるエンターテインメントで、空前の活況を見せようとしていた時代。若き小説家のパーカー(稲垣吾郎)も、時代の渇望に応えようと、傑作を生み出すことに取り組んでいた。
 しかし、なかなか小説を書けないパーカーは、傑作を書くのにふさわしい万年筆を捜し、担当編集者(阿南健治)にお金を借りて、たった5ドルの魔法の万年筆を手に入れる。
 すると、NYの小説界の大流行作家となり、プライベートも順調に…。
 しかし…。
 ≪ここまで≫

 舞台装置がじゃんじゃか転換して豪華なお芝居でした。衣裳もきれいだし、役者さんも超コミカルな演技で楽しませてくれるし、演劇を初めて観るお客様にはサービス満点のエンタテインメント作品だと思います。前半はちょっとエッチで、それも鈴木さんらしくって好き。
 音楽が良かったですね~。ヴォーカルはミナコ“ムーキー”オバタさん。パワフルでした。そうそう、歌詞が面白かった。「ニューヨーク、渋谷だけど、ニューヨーク」とか。

 でも全体的には物足りなかったな~。大味すぎ、というか。鈴木聡さん作・演出のパルコ作品だと『サクラパパオー』や『最悪な人生のためのガイドブック』の方が好きですね。

 ここからネタバレします。

 自称小説家の若者パーカー(稲垣吾郎)は、自分を支えてくれた恋人デルタ(西牟田恵)を捨てて、金も名誉も実力もある大作家モンブラン(山崎一)の娘セーラー(久世星佳)と結婚します。セーラーの兄(役名失念・河原雅彦)はちゃらんぽらんなダメ男なので、モンブランはパーカーに財産の全てを残して突然死。
 大金持ちになったパーカーですが、魔法の万年筆を無くしてから全く筆が進まなくなります。女遊び(秘書の三鴨絵里子と浮気)や無駄遣いに呆けている内に、パーカーの魔法の万年筆を手に入れたセーラーの兄がベストセラー作家になり・・・。 

 役名はすべて万年筆メーカーの会社名なんですね。パーカーの万年筆を会場の観客2名にプレゼントする企画が実施中でした。すご~い。

 デルタは伝説の万年筆作りの名人(小林隆)の娘で、パーカーに裏切られて心を病み、男として生きる決心をして父の跡を継いでいました。最後はパーカーが改心し、デルタとも心を通じ合わせることができるようになった・・・かと思いきや、そこでセーラーの兄がパーカーを銃殺してしまいます。まさか死んじゃうとは思わなかったな~。

 セーラーの「(私たちは)悲しい兄妹なのよ!」というセリフは、ちょっとベタ過ぎると思いました。そんなこと言わなくても悲しいシーンだったと思うんですよね。 
 死んだパーカーがすぐにむっくりと起き上がったのは良かったな~。「生きている内は(愛してると)言えなかったけど、死んだら言えた。でも死んじゃったら何にもならないから、生きている内にしよう!」おバカな展開に見せつつ、ちょっとイイことを言ってくれるから鈴木さんの作品が大好きです。
 
≪東京、大阪≫
出演=稲垣吾郎、西牟田恵、三鴨絵里子、久世星佳、山崎一、阿南健治、小林隆、河原雅彦
脚本・演出=鈴木聡 音楽=本多俊之 美術=二村周作 照明=高見和義 音響=高橋巖 衣裳=黒須はな子 ヘアメイク=永嶋麻子 佐藤裕子 アクション指導=渥美清 演出助手=則岡正昭 舞台監督=小林清隆 今野健一 音楽制作=岡田こずえ 歌=ミナコ“ムーキー”オバタ 宣伝デザイン=田部良子 宣伝写真=吉田多麻希 製作=山崎浩一(パルコ) 宣伝=吉田由紀子 制作=山家かおり(Me&Herコーポレーション) 尾形真由美(パルコ) 市瀬玉子 プロデューサー=祖父江友秀(パルコ) 製作=(株)パルコ 企画制作=(株)パルコ/(株)Me&Herコーポレーション
【発売日】2007/04/22 8,400円(全席指定・税込)未就学児童入場不可
http://www.parco-play.com/web/page/information/maho/

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Posted by shinobu at 2007年05月22日 23:07 | TrackBack (0)