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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年06月05日

新国立劇場演劇『夏の夜の夢』05/31-06/17新国立劇場 中劇場

 ジョン・ケアードさんが演出されるシェイクスピアの『夏の夜の夢』(過去レビュー⇒)。村井国夫さん、麻実れいさんら豪華キャストです。チョウソンハさんのパック役も楽しみにしていました。
 上演時間は約3時間20分(20分の休憩を含む)。ちょっと長かったですが、本当に夢を見せてくださいました♪お子様にもお薦めできるかも。

 ⇒CoRich舞台芸術『夏の夜の夢

 白(人間世界、女)と黒(妖精の森、男)のコントラストが鮮やかな衣裳・装置でした。生演奏も楽しく、新国立劇場ならではの豪華な舞台です。ダンスも歌も笑いもあって贅沢。満足しましたね。
 言葉を大切にされている演出でした。脚本はほぼノーカットだそうです。観たことがないシーンもあって、はじめて『夏の夜の夢』のことをわかったかもしれないと思いました。人間と妖精、男と女、夢と現実など、二項対立が鮮やかな戯曲なんですね。そしてそれらが混ざり合う・・・光と闇とその間(重なり)の甘美な夢を感じることができました。

 妖精世界はタキシード風衣裳のオーベロン(村井国夫)組とバレエのチュチュを来たティターニア(麻実れい)組が対立します。麻実さんの脚線美はまたもや悩殺もの!スーツ萌えな私はパック(チョウソンハ)のネクタイ&ジャケットwith羽にも萌えましたね(笑)。

 人間カップル(ライサンダー、ハーミア、ディミートリアス、ヘレナ)はヘレナ役の小山萌子さんが良かったです。でも後半は大人しくてちょっと残念。
 ボトム(吉村直)をはじめとする道化のおじさま方が可愛らしかった~。ロバのかぶりものは絶品ですね。
 パック(チョウソンハ)は期待どおり、はじけてました(笑)。ほんと目が離せない。でもまだまだイケるよねって思いました。

 パンフレットの役者紹介欄に「俳優(ダンサー)になろうと思った、あるいは、演じる(踊る)ことに興味をもつようになったのはいつごろ、どうして?」という質問があり、一人一人の答えに感動しました。「あなたはいつ、“夢”を見たの?」ということですよね。その“夢”がかなった舞台で、私たちに“夢”を見せてくれているのです。休憩時間に読んで感涙。

 ここからネタバレします。

 白と黒に分かれていた世界が、町人たちの御前芝居で混ざり合います。3組の花嫁と客人たちなどキャストほぼ全員が入りみだれて踊るシーンは、元気にどんちゃかわんさか浮かれ騒ぎ、晴れ晴れしたハッピームードに盛り上がます。混沌の中の、生命のパワーを感じました。

 装置は巨大なまわり舞台で、真っ白な人間界からまっ暗闇の森へと場面転換して展開します。最後の転換でなんと舞台裏が現れました。正気に戻って役者の顔になった出演者たちがぶら~んと並んで、みんなで客席を見つめています。
 そこで「パックは嘘をつきません」というパックのセリフを、チョウソンハさんがとんがり耳の特殊メイクをはぎとりながら語り掛けます。つくりもの(嘘)である舞台裏を公開して、俳優が俳優として登場し、今までその場で生まれ、はじけて、広がっていた劇(夢)世界を、現実世界の視点から俯瞰して観客と共有します。「ほら、夢は目の前にあったでしょ!そして今も、あなたは私たちと一緒に夢を見ているんです!」と言ってくれたように思いました。

出演=坂上真倫、一弾丸、森川次朗、柴一平、西田健二、村井国夫、麻実れい、チョウソンハ、細見大輔、石母田史朗、小山萌子、宮菜穂子、青山達三、大島宇三郎、吉村直、大滝寛、酒向芳、水野栄治、神田沙也加、松田尚子、JuNGLE  ※江守徹が降板し、代役に村井国夫
作:ウィリアム・シェイクスピア 翻訳:松岡和子 演出:ジョン・ケアード 美術・衣裳・ヘアメイク:スー・ブレイン 照明:中川隆一 音楽:イロ―ナ・セカッチ 音楽監督:久米大作 音響:黒野尚 振付:広崎うらん 演出助手:大江祥彦 美術助手:ロイ・ベル 衣裳助手:林なつ子 ヘアメイク助手:佐藤裕子 舞台監督:澁谷壽久
【発売日】2005/04/15 S席6,300円 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円 当日学生券=50%割引
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000124.html

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Posted by shinobu at 2007年06月05日 14:06 | TrackBack (0)