2007年06月12日
M&Oplays+ペンギンプルペイルパイルズ プロデュース『ワンマン・ショー』06/07-17シアタートラム
倉持裕さんが岸田國士戯曲賞を受賞された戯曲の再演です。初演の時に評判を聞きながらどうしても観に行けず、苦々しい思いをしました。再演してくださって嬉しいです。上演時間は2時間弱。
⇒CoRich舞台芸術!『ワンマン・ショー』
≪あらすじ≫ チラシより。
懸賞マニアの果て無き応募と、ぐるぐると旅する箱をめぐる、不思議で怖い物語。
≪ここまで≫
※あらすじというより作品のキャッチコピーみたいですが、何の知識もない状態で観るのが楽しいのだろうと思います。
斜めになった四角い枠が数個、入れ子構造になった抽象美術でした。壁が大胆にスライドして場面転換するのが面白いです。色合いもきれい!
音楽(サケロック)が良かったですね~。この作品のために初演の時に作られたそうですので、ばっちり合っているのでしょう。倉持さんの世界、好きだな~。
お話を追っていく分にはまるで推理小説のようですし、会話の言葉もひとつひとつが面白いです。でもちょっと退屈しちゃいました。たぶん役者さんの演技が今の私にはフィットしなかったんじゃないかと思います。ひとりずつが独立していて、あまり関わっていないように見えました。
ここからネタバレします。
「自分が立っている場所には自分しか立てないのだから、そこから眺める風景は自分にしか見えない、独特な、かけがえのないものなんだ。」ということを受け取りました。同時に、「自分が他人と一緒になったり重なり合ったりは決してしない。人間は独立していて孤独な存在だ」という意味も感じました。きっとこの作品も観た観客の人数分の解釈があってしかるべきで、だからこそ面白いんですよね。『ワンマン・ショー』というタイトルは本当にかっこいい。
ただ、懸賞マニア(小林高鹿)のように他人の名前をかたったり、自分のプロフィールを創作していってしまうと、かけがえのない自分を失うことになります。
時系列が逆になっていたり、実在すると思っていた人が実は幽霊だったり(小島聖)。一人っ子の懸賞マニアっていうのもただの妄想かもしれないし、手が取れる(ぼくもとさきこ)のも本当に手が取れたのかどうか・・・。何もかもがはっきりとわかってくるようでいて、実は曖昧になっていくのが楽しかったです。
「私のことを決めつけて」と連呼する女(小島聖)の言葉が面白かったです。
≪東京(三軒茶屋)、大阪、富山、福井、新潟、東京(亀戸)≫
第48回岸田國士戯曲賞受賞作品
出演:小島聖・水野美紀・長谷川朝晴・小林高鹿・ぼくもとさきこ・玉置孝匤・内田慈・近藤智行・吉川純広
作・演出:倉持裕 舞台監督=橋本加奈子 美術=中根聡子 照明=清水利恭 音響=高塩顕 音楽=SAKEROCK 衣裳=松本夏記(ミシンロックス) 演出部=野口毅、金子晴美 演出助手=相田剛志 宣伝美術=坂村健次 宣伝写真=江隈麗志 宣伝ヘアメイク=大和田一美 池上タミ子(アペレア) 宣伝スタイリスト=田中美和子 チラシ衣裳協力=Spick and Span チラシイラスト=今枝大輔 WEB製作=いのくちあきこ ステッカー製作=雨堤千砂子(WAGON) 制作助手=松本恵美子 吉田裕美 制作=大矢亜由美、土井さや佳 企画=ペンギンプルペイルパイルズ 提携=世田谷パブリックシアター 主催・製作=(株)森崎事務所M&O plays
前売り開始:4月8日(日)前売5,500円 / 当日5,800円
http://www.penguinppp.com/
http://www.morisk.com/play/show/index.html
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東京グローブ座/シーエイティプロデュース『ノー・マンズ・ランド』06/01-19東京グローブ座
入り口の大看板
舞台は1993年の旧ユーゴスラビア。ボスニア紛争を描く映画「ノー・マンズ・ランド」(2001年公開)の舞台化です。主演はV6の坂本昌行さん(Wikipedia)。演出は鈴木勝秀さんです。
上演時間は約1時間45分。中盤までで泣けちゃったな。あらすじなどはチケットスペース内のページでどうぞ。充実しています。
⇒CoRich舞台芸術!『ノー・マンズ・ランド』
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
1993年、舞台は旧ユーゴスラビア。ボスニア紛争の真っ只中。戦いの疲れを癒すべく、つかの間の休息を取っていたボスニア軍の兵士たちは、いきなりの攻撃で目を覚ます。セルビア軍の陣地に迷い込んでしまっていたのだ。肩に傷を負いながらも何とか逃げ出したボスニア兵・チキ(坂本昌行)は、ノー・マンズ・ランド(中間地帯)にある建物に逃げ込む。
ノー・マンズ・ランド=誰のものでもない土地では、そこにいる全ての者が攻撃対象となってしまう場所である。そのノー・マンズ・ランドに、セルビア兵・ニノ(内田滋)が兵士と共にボスニア兵の生存者の有無を確認しに来る。とっさに身を隠すチキ。生存者がいないことを確認すると、老兵士はボスニア兵(市川しんぺー)の死体の下に地雷を仕掛けた。ボスニア兵が仲間の死体を動かそうとすると爆発する、という仕組みだ。その2人の様子を、息を潜めて見つめていたチキは攻撃に転じ、老兵士を撃ち殺し、ニノにも怪我を負わせる。しかし、チキはとどめを刺すことをやめる。
そこへ、どこからかうめき声が聞こえてきた。死んでいると思っていたボスニア兵・ツェラが
生きていたのだ。しかしツェラは身動きを取ることができない。何故なら彼の下には地雷が仕掛けられているから・・・。この状況から抜け出すため、チキとニノは民族の壁を超え力を合わせる・・・。
そして彼らを見守り国際社会の世論を盾に振舞う国連軍兵士、ジェーン(浅野温子)の存在。彼女は彼らの助けになるのか?
≪ここまで≫
互いに武器を向け合う命がけの緊迫の時間と、ひとまず休戦と決めたのんびり穏やかな時間との対比に泣けます。1993年・・・ほんの少し前のお話です。
「まさか自分の国がこんな風になるとは思わなかった。」
いつか私がそう思わないように。
ここからネタバレします。
敵対する若者同士がともにローリング・ストーンズの歌を歌うシーンはたまりません。泣ける。
浅野温子さんが登場してからはコントみたいだった(笑)。
≪東京、大阪≫
出演:坂本昌行(チキ役) 内田滋(ニノ役) 市川しんぺー(ツェラ役) 浅野温子(ジェーン役)
NO MAN'S LAND 作:ダニス・タノヴィッチ 演出・台本:鈴木勝秀 美術:二村周作 音楽:横川理彦 照明:原田保 音響:井上正弘 衣裳:尾崎由佳子 ヘアメイク:スタジオAD 演出助手=長町多寿子 舞台監督:二瓶剛雄 舞台製作:加賀屋吉之輔 宣伝・票券:インタースペース 制作協力:ビターズ・エンド 企画:シーエイティプロデュース 主催・製作:東京グローブ座/シーエイティプロデュース
全席指定 S¥8,500 A¥7,500 B¥5,500
http://ints.co.jp/no_mans_land/index.htm
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