2007年07月13日
劇団フライングステージ『サロン~彼女の生き方、ゲイの生き方~』07/12-17シアターグリーンBIG TREE THEATER
桜沢エリカさんの人気漫画『サロン』を関根信一さんが演出されます。脚本も舞台用に書き加えられ、関根さんならではの世界を見せていただけました。
上演時間は約2時間30分休憩なし。少々長いですが、使われる音楽がツボだったりもして、私は楽しかったです。
⇒fringe blog『これはいい企画だ』
⇒CoRich舞台芸術!『サロン』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
田舎の温泉宿に育った15歳の少女─直は、いつも夢で“ばらの匂いのするパリ”、そして“エッフェル塔”を見続けている。
「なぜ自分はパリに生まれなかったんだろう」と、退屈な日々を送っている毎日で、しまいには母親の愛人にも手を出されそうになってしまう。「ここには居場所がない」そう思う直は自分の居場所を捜し続けていた。
ある時、電車に乗っている彼女は「この線路がパリまで続いていればいいのに」と思ったまま眠りについてしまう。
ふと目が覚めると、そこは東京。夢の中でのパリのエッフェル塔は東京タワーという形で目の前に現れた。
昔、東京へ出て行った従兄弟を思い出し、彼女は代官山のマンションを訪れてみると、そこには見知らぬ男が出てきて、初対面にも関わらず、直を快く部屋へ招き入れる。しばらくすると、直の従兄弟は帰ってくるが、その見知らぬ男とお帰りのキスをする現場を目撃してしまい、あまりのショックで気を失ってしまう。
それから、彼女とそこに不思議と集まってくるゲイ達の「サロン」の物語が始まる。
≪ここまで≫
原作を読んでから伺ったので(←私にしては珍しい♪)、どういう脚色をされているのか、誰がどの役なのかなども楽しめました。“サロン”が舞台にしっかり存在していて、私は漫画よりも感情移入ができましたね。
関根さんをはじめ、出演者の方々は何度も着替えて楽しませてくださいます。ヒロイン直(なお)役の菜月チョビさんも、もちろんキュートなハスキー・ヴォイスを披露してくださいました。
唯史役の數間(かずま)優一さん。美形なんですよね~。イケメンであることがとても生かされていて、観ていて嬉しかったです。
ここからネタバレします。
『三文オペラ』の「モリタート」(だったよね?)がBGMでかかって、それだけで涙が出そうになっちゃった。「君の瞳に恋してる Can't take my eyes off of you 」(←音が鳴ります)は個人的に好きで好きでたまらない曲で、直(菜月チョビ)が堂々と歌うシーンは聴きごたえがありました。
10年経ってノーマ(関根信一)の「サロン」もなくなり、東京の仲間関係は様変わりしていました。当たり前に目の前に、いつもそばにあったものが、突然消えてなくなるんですよね。そうやって人も世界もどんどんと変わっていくことをサラリと描き、「それでも欲しいなら求めればいいんだよ」と優しく背中を押された気がしました。同じものを求めても決して叶うことはないんだってことも、ちゃんと含みつつ。
女装をしなくなったノーマはノンケの吾郎(伊庭拓哉)と暮らしていました。ノーマが「誰かを激しく求める恋愛ではなく、ただ一緒に居たいと思う気持ち」について語ったのにジーンと来ました。
ファッション・ショー「シンデレラ」のシーンでは、豪華な衣裳と歌を楽しませていただけましたが、歌う人だけじゃなくて観客役の人々も舞台上に居る演出の方が良かったんじゃないかな~と思いました。“関根さん&菜月さん・オン・ステージ”というだけで楽しめる方もいらっしゃると思いますが、できれば劇世界の中のイベントとして受け取りたかったです。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:桜沢エリカ/菜月チョビ/関根信一/樺澤良(プロデューサー)
ゲイの人々を描いた桜沢エリカさんの漫画は、90年代からゲイ・コミュニティーに大きな影響を与えていたんですね。
出演=菜月チョビ/関根信一/數間優一/今井克己/石関準/早瀬知之/野口聖員/森澤友一朗/坂本遼/鈴木綾/安井実生/しいたけを/ますだいっこう/西田夏奈子/伊庭拓哉/羽田真/大門伍朗
原作:桜沢エリカ 【作・演出】関根信一 【美術・衣裳】小池れい 【照明】黒尾芳昭 【音響】中村嘉宏 【舞台監督】中西輝彦 【宣伝美術】武田雲 【撮影】鏡田伸幸/サトウカオル 【ビジュアルレコーディング】宇田誠之 【WEB】有賀純子 【制作】三枝黎/伊藤愛/遠ちあき 【プロデューサー】樺澤良
【発売日】2007/05/24 全席指定席…前売り3,500円 当日3,700円 中高生2,500円 昼ギャザあり
http://seisakusya.jp/stage/stage/index070716.html
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【演劇教育】こまばアゴラ劇場・(有)アゴラ企画 「ワークショッププログラム開発のための研究講座」参加者募集
こまばアゴラ劇場で主催する「ワークショッププログラム開発のための研究講座」の募集要項が発表になりました。
募集人数:10名程度、参加費無料、締め切りは7月20日(金)です。
先日のシンポジウムは「演劇教育でガッコーを面白く!」の会のキックオフ集会だったのですが、その場でおっしゃっていたことが早々と実現されるようです。素晴らしい実行力!
こちらのページで募集要項と申込用紙がダウンロードできます。
下記、こまばアゴラ劇場ホームページより転載いたします。
■こまばアゴラ劇場「ワークショッププログラム開発のための研究講座」参加者募集のお知らせ(主催:こまばアゴラ劇場・(有)アゴラ企画)
近年、演劇の現場で培われた手法を、ワークショップを通して、社会の様々な分野で展開していくことの重要性が増しています。特に教育分野では、地域社会との協力も視野に入れながら、「コミュニケーション・ティーチャー」と呼ばれる演劇のプロが授業に参加して、子どもたちが持つ「学ぶこと」への意欲を引き出していく活動に大きな注目が集まっています。
こまばアゴラ劇場では、2003年から2005年に「オリジナルのワークショッププログラムを創る研究会」を運営し、大きな反響を呼びました。その成果を受けて、今年度より、新たな研究会を組織します。この会では、国内外の様々なアーティストや学識経験者を講師としたワークショップやアートマネジメント講座を開催する予定です。
隔週で講師を招いて行うワークショップ・講習会や各自の実践の場としての研究会に参加し、将来、コミュニケーション・ティーチャーとして、表現教育の現場での活躍をめざす方々からのご応募をお待ちしております。
■実施期間 2007年8月~2008年3月
■開催日時
【ワークショップ・講習会】
原則として、隔週水または木曜日の18時~22時 *初回は8月15日(水)
【研究会】
9月以降参加者の予定に合わせて定期的におこなう
■会場 こまばアゴラ劇場5階稽古場・スタジオ走り穂、都内稽古場など
■講師 「オリジナルのワークショッププログラムを創る研究会」のメンバーを中心とする
■参加費 無料
■対象
コミュニケーション・ティーチャーを目指すアーティスト
教育現場に携わる方
原則として毎回参加できる方
■募集人数 10名程度(応募者多数の場合、選考あり)
■締め切り 7月20日(金)
■発表日 7月下旬
■申し込み方法 指定の申し込み用紙(PDF形式/word形式)に記入の上、こまばアゴラ劇場まで、FAXまたはEメールでご送信ください。
FAX: 03-3467-2984 Eメール:agora-ws07(アットマーク)komaba-agora.com
公式=http://www.komaba-agora.com/wsken2007.html
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