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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年11月03日

散歩道楽『西国分寺物語』10/31-11/04サンモールスタジオ

 太田善也さんが作・演出される散歩道楽。太田さんの作・演出作品は青年座公演で拝見し、役者さんとしては何度か舞台でお見かけしています。でも劇団公演は初見です。
 上演時間は約2時間5分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『西国分寺物語

 舞台は2005年。西国分寺に平和に暮らす息吹家の居間。ふすまの外に縁側がある純和風のリアルな美術です。
 息吹家は父、母、長男&長男の嫁、長女、次男、次女、そして父方の祖母という7人家族。アパートを経営しているので、アパートの住人や近所の人なども登場して、わいわいと平和でにぎにぎしいムード。

 始まってから人物紹介・状況説明などなどが一通りある内(約30分ほど)は、わざとドタバタなコメディーにしあげているように感じて話の中に入っていけなかったんですが、ある意外な出来事が起こり、前のめりになりました。いわゆるアットホームなお茶の間ファミリー・ドラマかと思いきや、どす黒い落とし穴が隙を突くように待っていたというか(笑)。「一筋縄ではいかないよん」と言われたように感じ、(不謹慎なんだけど)楽しくなりました。

 笑いも多いし全体的に楽しげな会話劇なのですが、裏にどす黒いものが常にあるように感じます。それが散歩道楽の独特の世界なのかもしれません。でも、役者さんの演技やドタバタ具合の演出も含めて、あまりバランスが良くないように思いました。

 ここからネタバレします。

 頑固な父は、ぬぼーっと家に侵入してきたニートっぽい若者に殴り殺されます。倒れた時に父の手が机からぬるっと落ちるのがすごく良かったです。不謹慎なんですが「キた!」って思いました。

 父亡き後、母が狂ったようにマンション建設反対運動を繰り広げるのですが、わざと面白おかしく大げさに演出しているのが、うまく機能したりしなかったり。

 父親の事件の判決がきちんと出るまで結婚はしないと誓った長女とその恋人でしたが、2年も経つとさすがに早く結婚したいと思い始めます。でも兄をはじめとする家族全員(次女を除く)が、(結果的に)長女に結婚を思いとどまらせるように持って行きました。これは腑に落ちなかったですね。だって長女は35歳だし(2年後だったら37歳か)。出産のことを考えたら延期なんて勧めないと思うんですが・・・。そういえば兄夫婦も子供をつくることに興味がなさそうでした。家族団らんもののお芝居で子供についての言及がないのは、ちょっとおかしい気がしました。

出演=名取幸政(青年座) 山本与志恵(青年座) 前田こうしん(道学先生) ザンヨウコ(貴婦人) 郷志郎(散歩道楽) 石川美帆 辻川幸代(ニュアンサー) 竹原千恵(散歩道楽) 斉藤佑介(サワズカムパニー) 坂口候一(81プロデュース/一の会) 藤本樹子 椎名茸ノ介 キムユス 菊池美里(トリコ劇場) 山本珠乃 いしいせつこ(散歩道楽) 蘭胡蝶(散歩道楽) 天野幹也 鉄炮塚雅代 植木まなぶ
作・演出/太田善也 舞台監督/赤坂有紀子 舞台美術/田中敏恵 照明/柳本友紀 音響/志水れいこ 音楽/高田泰介(PLECTRUM)・野口耕一郎 写真/相川博昭 宣伝美術/海老澤光子 演出助手/橋場ふみえ 助手/フレミング BIRD's(神馬ゆかり 久保文子 蛭田真知子) 制作/散歩道楽 制作協力/ケアレ*スミス 企画・製作/散歩道楽・アップフロントワークス 主催/散歩道楽・オデッセー
[前売]3,000円 [当日]3,200円 /日時指定・全席自由 11/1(木)14:00のみ [前売]2,500円 [当日]3,200円
http://www.sanpodouraku.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 14:02 | TrackBack

劇団東京ヴォードヴィルショー・京極圭プロデュース第二弾『ビデオスターの悲劇』10/31-11/04ザ・ポケット

 劇団東京ヴォードヴィルショー所属の役者・京極圭さんがプロデュースする公演です。脚本・演出はKAKUTAの桑原裕子さん。

 1985年の大学の寮を舞台に、明るい下ネタがいっぱい(笑)。上演時間は約2時間5分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ビデオスターの悲劇

 ≪あらすじ≫
 1985年の東京のボロ大学寮。男子寮だが女人禁制ではなく、連れ込みも思いっきり可。映画科の学生が素人のポルノ映画賞に応募しようと撮影をはじめる。
 ≪ここまで≫

 こういう開けっぴろげな下ネタ、得意じゃないんです・・・ごめんなさい、もーそれに尽きます。桑原裕子さんの脚本・演出ですが、下ネタだからか、堤泰之さん(プラチナ・ペーパーズ)の作風に似てるな~と思いました。

 役者さんの演技の種類にバラつきがあって(プロデュース公演によくありますが)、例えばヴォードヴィルショーの方とKAKUTAの方の差がよく出ていました。どちらが良い悪いではないですが気になりました。

 ここからネタバレします。

 真面目ホモ学生(幸野友之)とビデオ収集ヲタク(若狭勝也)のキスシーンは絶品でした。演技も真剣で息もあってるし、笑いも確実。
 「友情、同情、欲情を愛情と勘違いする」という話題も面白いです。「じゃあ愛情って何なのよ」って思いますよね。「欲情でもいいじゃん」、とかね(笑)。

出演=京極圭、奈良崎まどか、村田一晃、金澤貴子、垣内裕一、若狭勝也、原扶貴子、川本裕之、中原三千代、植田裕一、幸野友之、中谷健智、田中完 声の出演=高山奈央子
脚本・演出=桑原裕子(KAKUTA) 美術=田中敏恵 照明=宮野和夫 音響=石神保 舞台監督=坂野早織 演出助手=野澤爽子(KAKUTA) 映像=メリケンサック 小道具協力=高津映画装飾(株) 宣伝美術=山田健三 宣伝写真=山田健三 舞台写真=渡部愛(劇団IQ5000) 記録撮影=齋藤耕路((株)ユニコーン) 運搬=帯瀬運送 制作=石井琴子 水渕歩知 製作=(有)東京ヴォードヴィルショー
【発売日】2007/09/26 前売3200円・当日3500円(全席指定)
http://www.vaudeville-show.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 12:37 | TrackBack

青年団若手自主企画Vol.35「西村企画」『ライン』10/31-11/06アトリエ春風舎

 青年団の西村和宏さんが演出される「西村企画」。脚本は鈴木大介さんです(過去レビュ⇒)。

 上演時間は約1時間40分。なんと軽~いオムニバス、でした。そもそも西村さんと鈴木さんはサラダボールというユニットで短編ばかりを上演されていたそうです。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ライン

 チラシにもあるとおり、ドストエフスキーの『罪と罰』が下地になっています(なっていない短編もあり)。
 そもそも短編オムニバスという形式があまり好みではないので、全体を楽しめたかというとあんまり。でも現代口語演劇を得意とする青年団の若い役者さんが、『罪と罰』の文語調の日本語をおっきな声で話すのには爆笑しました。

 ここからネタバレします。

 短編のタイトル↓
「囚人」
「タイムマシーン」セーラー服。宇田川千珠子さんの表情がオモシロ可愛い。
「ソーニャ」
「死なない大臣」
「スヴィドリガイロフ」ピストルをつきつける3連発。文語が面白い。
「老人ホーム」トランプの仕込み。
「ポルフィーリイ」
「放課後」
「兄弟」
「ラスコーリニコフ」
「囚人2」


 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演=西村和宏(赤い詰襟)、多田淳之介(元・巨人の桑田ルック)

 青年団の演出家であるお2人が、青年団に所属していることで自分達がいかに恵まれているかをしみじみと語られました。「本当に贅沢をさせてもらっている」という感謝の気持ちと、それゆえの覚悟のようなものが感じられました。多田さんの「贅沢な環境じゃないと面白いものは生まれない」という発言にも納得。

 脚本と演出の関係について、多田さんが野球のグローブを使ってたとえ話をされたのがとても面白かったです。
 ⇒ご本人がブログでさらに詳しい説明をされています。

出演=鈴木智香子、村井まどか、伊澤勉(客演)、宇田川千珠子、近藤強
脚本=鈴木大介(サラダボール) 演出=西村和宏  照明=岩城保 舞台美術=濱崎賢二 衣装=兼松光 当日運営=佐藤誠 制作=西村企画 ソウゴウプロデューサー=平田オリザ 企画制作=青年団・(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催=(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 
【発売日】2007/09/30 予約・当日共 2000円 学生 1500円
http://saladball.org

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 11:54 | TrackBack

【お知らせ】11月3日(土)夜にFM西東京「たけがき2」に出演します

 FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に出演いたします。毎月第一土曜日のレギュラーです。

 風琴工房『砂漠の音階』についてお話し、11月に観られるお薦めお芝居を3本ご紹介します。

 西東京市およびその周辺地域でお聴き頂けます。
 11月3日(土)21:30~22:00(の内の約10分間)
 FM 84.2MHz

 ⇒PodCastingあり!放送終了後にアップされます(数日後だったりも)。

Posted by shinobu at 01:38 | TrackBack