2007年11月08日
東宝『恐れを知らぬ川上音二郎一座』11/07-12/30シアタークリエ
シアタークリエという新しい劇場(旧芸術座跡)のこけら落とし公演は、三谷幸喜さんの新作書き下ろし&演出で、テレビなどで活躍されている役者さんが揃った豪華キャスト。チケットは完売。
プレビュー2日目にうかがいました。上演時間は約3時間30分(休憩20分を含む)。
⇒CoRich舞台芸術!『恐れを知らぬ川上音二郎一座』
とりあえず新しい劇場がですね・・・東京宝塚劇場の向かいの大きなビルの1階にエントランスがあるんですが、劇場自体は地下2階にあるんです。劇場へはエレベーターで下に行きます。ロビーと通路が驚くべき狭さ!目を疑いました。休憩時間はドリンクやフードを買うお客様の4列とトイレに並ぶ人の列で、すし詰め状態。劇場の中の通路も細く、ロビーに出るまでも一苦労。息苦しくてたまらないので、休憩時間(20分)はずっと外に出てました。・・・しばらく行きたくないですね。
シアタークリエのエントランス
≪あらすじ≫ 公式サイトより。
今から108年前の明治32年。役者兼演出家兼プロデューサー兼劇団主催者の川上音二郎は、妻の貞奴や劇団員を連れてアメリカ巡業の旅に出ます。言葉の通じない異国での公演は悪戦苦闘の連続。挙句に悪徳マネージャーに金を持ち逃げされ、まさに踏んだりけったり。ボロボロの状態で辿り着いたボストンの街で、音二郎が目にしたのは、イギリスの名優ヘンリー・アーヴィングが演じる「ヴェニスの商人」。大入り満員の客席に、音二郎は決意します。「よし俺たちもこれをやろう!」そして彼らは、なんとたった一晩の稽古で、日本版「ヴェニスの商人」をでっち上げてしまうのです。観客はどうせ外人だからと、台詞もデタラメ。言葉に詰まったら「スチャラカポコポコ」で切り抜けようという、はっきり言って無茶苦茶な公演。音二郎一座、起死回生のこの舞台、果たして成功するのか?
「恐れを知らぬ川上音二郎一座」は、この驚愕のボストン公演(実話です)のエピソードを基に、明治の破天荒な演劇人川上音二郎と、彼の妻で日本の「女優」第一号となった貞との夫婦愛を描く、愛と勇気と喝采の物語です。
≪ここまで≫
川上音二郎と貞やっこの話は聞いたことがあって、『駅・ターミナル』にも登場していました。実話ってことがすごいんですよね~。
んーと、作品については薄く平たく広がってるような感じで、私にはあまり楽しめなかったです。
瀬戸カトリーヌさんの悦に入った叫び声と、ムダに(笑)俊敏な動きが笑えました。
ここからネタバレします。
堺正章さんの口上で開幕した時は『彦馬がゆく』を彷彿とさせ、ちょっとじーんと来たんですけどね。
実際の客席を劇中の客席と見立てるのは、新しい劇場のこけら落とし公演として良いアイデアだな~と思いました。観客もばんばん拍手して盛り上がってました。
『ヴェニスの商人』でアントーニオが2人いたり(小林隆&今井朋彦)、旗持ち(堺正章)がバサーニオなど何役も1人で演じたり、盗人(阿南健治)が逃げても何度も戻ってきたり、そういうドタバタは楽しめないわけではないですが、それ以上のものができれば観たかったです。
Fearless Otojiro's company
出演:ユースケ・サンタマリア、常盤貴子、戸田恵子、堺雅人、堺正章、浅野和之、今井朋彦、堀内敬子、阿南健治、小林隆、瀬戸カトリーヌ、新納慎也、小原雅人、ベーカー・ウィリアム・ヒュー
作・演出:三谷幸喜 美術:堀尾幸男 照明:服部基 衣裳:黒須はな子 音響:井上正弘 ヘアメイク:河村陽子 邦楽:杵屋五七郎 鳥羽屋長秀 音楽:荻野清子 プロダクション・アソシエイト:佐藤万里 舞台監督:松坂哲生 宣伝美術:タカハシデザイン室 CGオペレーション:Studio Gumbo 題字:武田双雲 プロデューサー:小林香 小嶋麻倫子 スーパーヴァイザー:宮崎紀夫
【発売日】2007/09/01 全席指定 12,000円(プレビュー公演 全席指定 11,000円)
http://www.tohostage.com/theatre_crea/otojiro/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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文学座『殿様と私~殿、踊りましょうぞ~』
マキノノゾミさんが初めて文学座に書き下ろされたそうです。演出は西川信廣さん。『殿様と私』って映画『王様と私』から来てるんですよね?(笑)
出演者が8人だけの文学座公演で劇場が紀伊國屋サザンシアターというのは、すごくリッチな気分(なぜかしら)。
上演時間が2時間45分(休憩15分を含む)と長かったですが、退屈せず楽しむことが出来ました。安心してリラックスして、あまり何も考えないで笑っていられたからかもしれません。こういう観劇、久しぶりだったかも。
⇒CoRich舞台芸術!『殿様と私』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
1886年(明治19年)、東京・麻布鳥居坂の白河義晃子爵邸。当主の白河義晃は急速に西洋化する日本になじめず、酒浸りの日々を送っていた。ある日、外務卿・井上馨の書生と白河家の家令雛田源右衛門の間に一悶着が起きた。雛田は時代遅れのちょん髷をからかわれたばかりか、因循姑息な白河子爵は華族の資格なしと罵倒されたのである。それを聞いた義晃は怒り心頭に発し、これまた時代遅れの討ち入りを決意。しかし、〈白河家を守るには鹿鳴館に乗り込み、見事なダンスを披露して和魂洋才の手本を示すこと〉という息子義知の提言に、お家のためならやむを得ずと渋々承知の義晃。米国人のアンナ・カートライト夫人を指南役に、義晃のダンス修行が始った。さて、その成果は・・・。
≪ここまで≫
華族である白河家の居間は和洋折衷の美しいお部屋。衣裳も豪華で、役者さんが着物の所作もきっちりこなしてくださいます。時代物のストレート・プレイはこうでないとね~♪と嬉しくなりました。
英語がわからない華族当主(たかお鷹)と、日本語がわからない米国人ダンス教師(富沢亜古)の会話ですから、当然成立しません。すべて日本語で話すのが面白いです。
ちょうど映画『長州ファイブ』を見たばかりだったので、私にはタイムリーだったかもしれません。文明が必ずしも人を幸せにするわけではないことをしみじみ感じておりましたので、カートライト夫人が話すリベラルな意見を、引いたところから客観的に受け取ることができました。目新しいものに飛びついて昔を切り捨てていくことって、自分も無自覚にやっているなと振り返りました。
白河家当主・白河義晃役のたかお鷹さんがすごくキュートで、ワハハと笑わせていただきました。
陸軍中尉(義晃の息子)役の城全能成さんと英国海軍大尉役の星智也さん(背高っ!)が、絵に描いたような美男子として登場し、いかにもなエリート2枚目路線をガツンと演じられていたのが面白かったです。宝塚歌劇のヒーローなみでした(笑)。
ここからネタバレします。
部屋の奥は廊下で、廊下の向こうには中庭があります。紅葉がものすごくきれいでした。いっせいに、でもゆっくりと灯るランプも良かった。
わかりあえない者同士(義晃とカートライト夫人)が自らの母国語で交互に話し合うシーンでは、お互いに意味は全くわからないのだけれど、人種の優劣などない対等な関係が見えました。
ただ、お話には少々疑問も残りました。例えば娘(松山愛佳)がアメリカに行くことを、義晃があんなに簡単に許すわけないんじゃないかと思いました。
≪東京、兵庫、新潟≫
白河義晃(子爵 白河家当主)……たかお鷹/白河義知(義晃の息子 陸軍中尉)……城全能成 /白河雪絵(義晃の娘)……松山愛佳/雛田源飢右衛門(白河家の家令)……加藤武/雛田カネ(源右衛門の妻)……寺田路恵/熊田三太郎(アンナ専属の車夫・通訳)……浅野雅博/ジョン・ラング(英国海軍大尉)……星智也 /アンナ・カートライト(米国人 鉄道技師の妻)……富沢亜古
【脚本】マキノノゾミ 【演出】西川信廣 【美術】奥村泰彦 【照明】金英秀 【音楽】上田亨 【音響効果】中嶋直勝 【衣裳】山田靖子 【振付】室町あかね 【舞台監督】寺田修 【演出補】北則昭 【制作】伊藤正道 【票券】松田みず穂
【発売日】2007/10/01 一般5,500円 ユース3,800円 中・高校生2,500円 ユース(25歳以下)、中・高校生は劇団扱いのみ
http://www.bungakuza.com/tonosama07/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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